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旅行会社の設立と四つの登録区分|基準資産額が会社設立の設計を決める

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

旅行会社の設立を考えている方に向けた記事です。資本金より先に決めることがあります。

旅行業には四つの区分があります。どれを選ぶかで、用意する資産の額が三十倍違います。

旅行業の登録区分と基準資産額
旅行業の登録区分と基準資産額

旅行業は、登録がないと営めない

旅行業は、登録がないと営めない|会社設立の補助金と支援
旅行業は、登録がないと営めない

旅行会社の設立を考えるとき、会社設立の手続きより先に確かめることがあります。

旅行業の登録です。

観光庁の案内では、旅行業法は旅行業等を営む者について登録制度を実施し、あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに、旅行業協会の適正な活動を促進することにより、旅行業務に関する取引の公正の維持、旅行の安全の確保および旅行者の利便の増進を図ることを目的としているとされています。

つまり、登録を受けずに旅行業を営むことはできません。

会社設立をしただけでは、事業を始められないということです。

しかも、登録には財産の要件があります。

その額が、会社設立の設計を左右します。

資本金をいくらにするかを決める前に、この記事を読んでください。

順番を間違えると、後から資本金を増やすことになります。

補助金を探すのは、この先の話です。旅行会社の設立では、まず登録の要件を満たすことが先決になります。会社設立の支援制度も、登録が下りて事業を始めてからが本番です。

旅行会社の設立を志す方の多くは、旅行が好きで、企画に自信があります。ただ、この業種は財産の要件が重いほうです。会社設立の支援制度をいくら調べても、その部分は埋まりません。補助金より先に、資金の裏づけを作ってください。

出典:旅行業法(観光庁/2026-09-09 確認)

四つの区分と、登録する先

四つの区分と、登録する先|会社設立の補助金と支援
四つの区分と、登録する先

旅行業には区分があります。

観光庁の案内では、旅行業者等は業務の範囲により、第一種旅行業者、第二種旅行業者、第三種旅行業者、地域限定旅行業者、旅行業者代理業者に区分されるとされています。

登録する先も分かれています。

第一種旅行業者については観光庁長官が、第二種・第三種旅行業者および旅行業者代理業者については都道府県知事が、それぞれ登録を行っているとされています。

つまり、どの区分を選ぶかで申請する窓口が変わるということです。

旅行会社の設立で第一種を目指すなら、国が相手になります。

第二種以下なら、都道府県です。

会社設立の準備では、まずどの区分で登録するかを決めてください。

そこから、必要な額と手続きが決まります。

会社設立の場所によって、都道府県の窓口も変わります。市区町村の創業の支援を受けるなら、住所地の窓口もあわせて確かめてください。補助金の情報も、そこから入ります。

出典:旅行業法概要(観光庁/2026-09-09 確認)

基準資産額は、施行規則で決まっている

基準資産額は、施行規則で決まっている|会社設立の補助金と支援
基準資産額は、施行規則で決まっている

財産の要件を見ます。

旅行業法施行規則第三条は、基準資産額が次の区分に従い、当該各号に定める額以上であることと定めています。

  • 第一種旅行業を営もうとする者|三千万円
  • 第二種旅行業を営もうとする者|七百万円
  • 第三種旅行業を営もうとする者|三百万円
  • 地域限定旅行業を営もうとする者|百万円

第一種と地域限定では、三十倍の差があります。

旅行会社の設立で、この差は決定的です。

三千万円を用意できる方は多くありません。

逆に、百万円なら手が届きます。

会社設立の資本金は、この額を満たせるように設計することになります。

会社設立の資本金は、補助金の要件でも見られることがあります。中小企業者や小規模事業者の定義に資本金の額が使われるためです。旅行会社の設立では、登録の要件と支援の要件の両方から決めてください。

地域限定旅行業は、主たる営業所の所在地の市町村と隣接する市町村などに範囲が限られます。そのぶん基準資産額も低く抑えられています。会社設立の後に扱う範囲が広がったら、上の区分へ変更するという道もあります。まず小さく始めるという選択は、支援の面でも理にかなっています。

出典:旅行業法施行規則(昭和四十六年運輸省令第六十一号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)

基準資産額は、純資産とは違う

基準資産額は、純資産とは違う|会社設立の補助金と支援
基準資産額は、純資産とは違う

注意すべき点があります。

基準資産額は、単純な純資産ではありません。

施行規則第四条では、基準資産表に計上された資産の総額から、負債の総額と営業保証金の額に相当する金額を控除した額とされています。

そして、資産からは創業費その他の繰延資産および営業権が除かれます。

つまり、会社設立の費用を繰延資産として計上していると、その分は資産として数えられないということです。

さらに、営業保証金の額まで引かれます。

新規登録の申請で保証社員となることが確実であるときは、弁済業務保証金分担金の額を控除するとされています。

旅行会社の設立では、この引き算を先に計算してください。

資本金の額をそのまま基準資産額だと思っていると、足りなくなります。

会社設立の費用を創立費として繰延資産に計上する処理は、税務では一般的です。ただ、旅行業の登録ではその分が資産から除かれます。会社設立の直後に登録を申請するなら、この扱いを税理士と相談してください。補助金の会計処理とはまた別の論点です。

出典:旅行業法施行規則(昭和四十六年運輸省令第六十一号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)

営業保証金も、別に要る

営業保証金も、別に要る|会社設立の補助金と支援
営業保証金も、別に要る

基準資産額とは別に、営業保証金があります。

旅行業法第七条は、旅行業者は営業保証金を供託しなければならないと定めています。

観光庁の資料では、前事業年度における取引の額が400万円未満の場合、営業保証金の額は第一種が7,000万円、第二種が1,100万円、第三種が300万円、地域限定が15万円とされています。

取引額400万円未満というのは、会社設立の直後がまさにこの区分です。

第一種で7,000万円という額は、創業では現実的ではありません。

地域限定なら15万円です。

この差も、区分を選ぶうえで大きな材料になります。

旅行会社の設立では、基準資産額と営業保証金の両方を用意することになります。

合計でいくら要るかを、先に計算してください。

補助金は後払いなので、この供託の資金には使えません。会社設立の段階では、融資か自己資金で用意することになります。

供託は、法務局に現金または有価証券を預ける手続きです。預けた分は事業に使えません。会社設立の資金計画では、この拘束される額を別枠で見ておいてください。

出典:営業保証金制度の概要(観光庁/2026-09-09 確認)

供託の届出をしないと、始められない

供託の届出をしないと、始められない|会社設立の補助金と支援
供託の届出をしないと、始められない

手続きの順番も定められています。

旅行業法第七条では、旅行業者は営業保証金の供託をしたときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を届け出なければならないとされています。

そして、旅行業者はこの届出をした後でなければ、その事業を開始してはならないとされています。

つまり、登録を受けただけでは営業できません。

さらに、登録の通知を受けた日から十四日以内に届出をしないときは、催告がおこなわれます。

その期間内に届出をしないときは、登録を取り消すことができるとされています。

旅行会社の設立では、登録が下りてからも気を抜けないということです。

供託する資金を、その時点で用意しておく必要があります。

会社設立の資金計画に、必ず入れてください。

会社設立から登録、供託、開業までが一本の線でつながっています。補助金の申請は、その線が引き終わってからです。

出典:旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)

登録の有効期間は五年

登録の有効期間は五年|会社設立の補助金と支援
登録の有効期間は五年

登録は、一度取れば終わりではありません。

旅行業法第六条の二は、旅行業の登録の有効期間は登録の日から起算して五年とすると定めています。

有効期間の満了の後も引き続き旅行業を営もうとする者は、有効期間の更新の登録を受けなければならないとされています。

更新のときにも、基準資産額の要件を満たしている必要があります。

つまり、会社設立のときだけ用意すればいいという話ではありません。

五年後にも、同じ水準を保っている必要があります。

旅行会社の設立では、この長さを見込んで区分を選んでください。

背伸びして上の区分を取っても、更新で維持できなければ意味がありません。

満了の日までに更新の申請があれば、通知があるまでの間は効力を有するとされています。

会社設立から五年というのは、補助金の創業枠が使える期間ともほぼ重なります。支援を受けながら、更新に耐える体力をつけてください。

五年ごとの更新は、事業を続ける限り繰り返されます。会社設立の時点で無理のない区分を選べば、その負担も軽くなります。

出典:旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)

会社設立の前に決めておくこと

会社設立の前に決めておくこと|会社設立の補助金と支援
会社設立の前に決めておくこと

旅行会社の設立では、次の順で決めてください。

  1. 扱いたい旅行の範囲から、登録の区分を決める
  2. その区分の基準資産額を確かめる(三千万円・七百万円・三百万円・百万円)
  3. 営業保証金の額を確かめる(7,000万円・1,100万円・300万円・15万円)
  4. 旅行業協会に入るかどうかを検討する(分担金は五分の一)
  5. 基準資産額の計算で、繰延資産と営業保証金が引かれることを織り込む
  6. そのうえで、会社設立の資本金の額を決める

日本政策金融公庫は創業計画書の様式と記入例を公開しています。必要な資金と調達の方法を書く欄があるので、そこに落とし込んでください。

Q. 区分はいくつありますか。

A. 第一種、第二種、第三種、地域限定、旅行業者代理業に区分されるとされています。

Q. 基準資産額はいくらですか。

A. 第一種三千万円、第二種七百万円、第三種三百万円、地域限定百万円です。

Q. 営業保証金も要りますか。

A. 要ります。取引額400万円未満なら第一種7,000万円、第二種1,100万円、第三種300万円、地域限定15万円です。

Q. 登録はどこに申請しますか。

A. 第一種は観光庁長官、第二種・第三種・旅行業者代理業者は都道府県知事です。

Q. 登録の期限はありますか。

A. 有効期間は登録の日から起算して五年です。更新の登録が必要です。

この六つが決まれば、会社設立の設計も自然に決まります。補助金は、その後に並べてください。

出典:創業計画の書き方|START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)

まとめ|区分が、会社設立の設計を決める

まとめ|区分が、会社設立の設計を決める|会社設立の補助金と支援
まとめ|区分が、会社設立の設計を決める

旅行会社の設立では、区分を先に決めてください。

この記事の要点

  • 1旅行業は登録制度。登録を受けずに営むことはできない
  • 2区分は第一種・第二種・第三種・地域限定・旅行業者代理業。第一種は観光庁長官、第二種以下は都道府県知事が登録
  • 3基準資産額は第一種三千万円、第二種七百万円、第三種三百万円、地域限定百万円(施行規則3条)
  • 4基準資産額は資産の総額から繰延資産と営業権を除き、負債と営業保証金の額を控除して計算する
  • 5登録の有効期間は五年。更新のときも要件を満たす必要がある

補助金は、登録が下りて事業が動き出してからの話です。旅行会社の設立では、まず登録の要件を満たすことに集中してください。支援はその後から効いてきます。

制度を横断して探すなら、J-Net21のような支援情報のサイトも使えます。旅行業の登録とあわせて見てください。

この記事は2026年9月時点で観光庁、旅行業法、旅行業法施行規則にあたって確認した内容です。要件は改正されることがあります。必ず観光庁と登録行政庁でご確認ください。

出典:J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)

資本金をいくらにするか迷っている方へ

旅行会社の設立では、資本金を先に決めてはいけません。登録の区分によって、必要な基準資産額が三十倍も変わるからです。第一種なら三千万円、地域限定なら百万円。しかも基準資産額は、繰延資産を除き、営業保証金まで引いて計算します。まず扱いたい旅行の範囲を決め、そこから区分を選び、最後に資本金を決める。この順番だけは守ってください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

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