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不動産会社の設立でつまずく場面|免許・資金・支援の順番を間違えない

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

不動産業で会社設立を進めている方、あるいはこれから始める方に向けた記事です。この業種は免許・資金・支援の三つが絡み合うぶん、順番を間違えると手戻りが大きくなります。つまずきやすい場面を先にまとめました。

不動産業の会社設立でつまずくのは、制度を知らないからではありません。免許の要件を後から知った、資金の手当てが間に合わなかった、支援の期限を過ぎていた。どれも順番の問題です。

不動産会社設立でつまずきやすい場面
不動産会社設立でつまずきやすい場面

場面①|定款の目的を書き忘れる

場面①|定款の目的を書き忘れる|会社設立の補助金と支援
場面①|定款の目的を書き忘れる

会社設立の定款には、宅地建物取引業を営むことが分かる目的を書いておく必要があります。ここを書き忘れると、免許の申請の段階で止まります。

設立の後に目的を追加することはできますが、変更の登記が必要で費用がかかります。しかも登記が完了するまで免許の申請が進みません。会社設立の日程が丸ごと後ろにずれます。

書き方にも決まった言い回しがあります。会社設立の前に、免許権者の窓口や行政書士に確かめておくと安全です。

将来やる可能性のある事業も、あわせて目的に入れておくと後の手間が減ります。ただし許認可が必要な事業を書く場合は要件の確認が要ります。

会社設立の登記が終わってから免許の申請に進むという順番なので、定款の不備はそこで初めて分かります。免許権者に事前相談ができる場合は、定款の案の段階で見てもらうと確実です。補助金の申請でも定款の写しを求められることがあるので、整った形にしておく価値があります。

出典建設産業・不動産業:宅地建物取引の免許について(国土交通省/2026-09-04 確認)

場面②|事務所が要件を満たさない

場面②|事務所が要件を満たさない|会社設立の補助金と支援
場面②|事務所が要件を満たさない

宅地建物取引業の免許では、事務所についての要件があります。継続的に業務をおこなえる場所であることが求められ、自宅の一室やバーチャルオフィスでは認められないことがあります。

会社設立の費用を抑えようとして自宅を本店にすると、免許の段階で行き詰まることがあります。事務所を借り直すことになれば、費用も時間も余計にかかります。

自治体の支援でも同じです。創業補助金では、事業所の実態を示す書類として賃貸借契約書を求められることがあります。免許の要件と支援の対象、両方を満たす場所を選んでください。

契約の名義にも注意が要ります。会社設立の前は法人が存在しないので個人名義で結ぶことになります。設立後に法人名義へ切り替えられるかを、貸主に事前に確かめておいてください。

事務所の候補を探す段階で、免許権者に要件を確かめておいてください。写真や間取りで判断してもらえることもあります。会社設立の前にこの確認を済ませておけば、借りてから慌てずに済みます。

出典建設産業・不動産業:宅地建物取引業について(国土交通省/2026-09-04 確認)

場面③|証明を取らずに登記してしまう

場面③|証明を取らずに登記してしまう|会社設立の補助金と支援
場面③|証明を取らずに登記してしまう

市区町村の特定創業支援等事業の証明は、会社設立の登記が済んでからでは取れません。免許の準備に集中していると、この期限を見落とします。

証明を受けると、会社設立の登記にかかる登録免許税が半額になります。株式会社なら最低15万円が7万5千円、合同会社なら6万円が3万円です。審査がなく、証明さえあれば登記のその日に効きます。

受講の回数や期間は市区町村ごとに定められていて、証明書の発行にも日数がかかります。免許の準備と並行して、1〜3か月前から動いてください。

証明にはもうひとつ効き目があります。無担保・第三者保証人なしの創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できるようになる扱いです。開業前の支出が大きい不動産業では、この点も効きます。

証明を取る過程で受けるセミナーや個別相談も、会社設立の準備として役に立ちます。事業計画の作り方や資金の考え方を無料で相談できる機会です。補助金の計画書を書くときの土台にもなります。

創業支援等事業計画の認定を受けている市区町村は、中小企業庁が一覧で公表しています。事務所の候補が複数あるなら、それぞれの市区町村が入っているかを確かめてください。免許の要件と証明の可否、両方を満たす場所が理想です。

出典産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁/2026-09-03 確認)

場面④|保証金の手当てが間に合わない

場面④|保証金の手当てが間に合わない|会社設立の補助金と支援
場面④|保証金の手当てが間に合わない

免許を受けた後にも期限があります。千葉県の案内によれば、免許を受けた日から3か月以内に、免許権者へ営業保証金の供託をおこなった旨の届出をしなければならないとされています。

営業保証金は本店1,000万円・支店500万円です。保証協会に加入する場合の弁済業務保証金分担金は、本店60万円・支店30万円とされています。どちらを選ぶかで用意する金額がまったく変わります。

この選択は免許の申請より前に決めておく必要があります。会社設立の計画を立てる段階で、加入を予定する協会に相談しておいてください。分担金のほかに入会金や年会費といった費用もかかります。

補助金はこの負担に届きません。事業を営むための保証であって、事業を伸ばす投資ではないからです。融資と自己資金で用意する前提で計画を組んでください。

保証協会に加入する場合、審査や手続きにも日数がかかります。免許を受けてから動き始めると3か月に間に合わないことがあるので、会社設立の計画の段階で協会に相談しておいてください。

出典宅地建物取引業に係る営業保証金等について(千葉県/2026-09-04 確認)

場面⑤|営業できない期間を見込んでいない

場面⑤|営業できない期間を見込んでいない|会社設立の補助金と支援
場面⑤|営業できない期間を見込んでいない

会社設立の登記が終わっても、免許が下りるまで営業できません。その間も事務所の家賃や人件費は出ていきます。ここを見込んでいないと、資金が尽きます。

免許の申請から交付までの期間は、免許の区分や申請の状況によって変わります。会社設立の資金計画を立てるときは、免許権者に標準的な処理期間を聞いておいてください。

さらに、免許が下りてもすぐに売上が立つわけではありません。反響が入り、内見があり、契約に至るまでには時間がかかります。営業開始からの数か月も、売上が読めない期間として見込んでください。

この期間を埋めるのが融資です。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、元金の据置期間は5年以内に設定できます。据置を使えば、売上が立つまでの返済負担を抑えられます。

この期間を短くする工夫もあります。会社設立の登記が済んだらすぐ免許を申請できるよう、必要書類を先にそろえておくことです。登記事項証明書は登記の完了後すぐ取得できます。

免許を待っている期間は、補助金の準備に充てられる時間でもあります。GビズIDを取り、商工会議所に顔を出し、記録の仕組みを整える。営業が始まってからでは、こうした作業に時間を割けなくなります。

出典新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

支援の側でつまずく場面

支援の側でつまずく場面|会社設立の補助金と支援
支援の側でつまずく場面

免許の話が片づいても、支援の側でつまずくことがあります。不動産業に限らず共通する落とし穴ですが、免許の負担で手元が薄い分、影響が大きくなります。

支援の側でつまずく場面|会社設立の補助金
支援の側でつまずく場面

国の補助金の多くは、電子申請システムのJグランツから申し込みます。GビズIDのアカウントが必要で、書類を郵送する方式では1〜2週間かかることがあります。会社設立の登記が済んだら、制度を決める前でも申請しておいてください。

三つ目も不動産業では起きやすい失敗です。免許の手当てで資金を使い切ってしまうと、補助金の立て替えができません。資金計画の段階で、この分を確保しておいてください。

補助金は後払いで、しかも審査があります。会社設立の直後に補助金を当てにして発注すると、不採択のときに資金が回らなくなります。補助金は上乗せとして扱い、事業が回る計画を融資と自己資金で作っておいてください。

出典Jグランツ ネットで簡単!補助金申請(デジタル庁/2026-09-03 確認)

人の要件でつまずかないために

人の要件でつまずかないために|会社設立の補助金と支援
人の要件でつまずかないために

不動産業では、事務所ごとに専任の宅地建物取引士を置く必要があります。自分が資格を持っていない場合、採用が免許の要件そのものになります。

この採用は急ぐことが多く、雇用の助成金の手順と噛み合わないことがあります。キャリアアップ助成金では各コースの実施日の前日までに計画の提出が求められ、トライアル雇用助成金の一般トライアルコースはハローワーク等の紹介を受けて雇い入れることが前提です。

無理に助成金の手順に合わせると、免許の申請が遅れます。優先するのは免許のほうです。助成金は次の採用で検討してください。

採用の前に労働保険と社会保険の加入手続きを済ませておく必要もあります。会社設立の直後は期限の短い手続きが重なるので、社会保険労務士に相談する選択も検討してください。

専任の宅地建物取引士を確保できるかどうかは、会社設立の可否そのものに関わります。自分で資格を取るのか、採用するのか。会社設立の計画を立てる段階で決めておいてください。採用にする場合は、その人件費も資金計画に入れる必要があります。

出典キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)

つまずいたときに、どうするか

つまずいたときに、どうするか|会社設立の補助金と支援
つまずいたときに、どうするか

つまずいてしまった場合、取り返せるものとそうでないものがあります。分けて考えてください。

Q. 定款の目的を書き忘れました。

A. 変更の登記で追加できます。費用と日数はかかりますが、取り返せます。

Q. 証明を取らずに登記してしまいました。

A. その会社設立については取れません。ただ、設立後に使える自治体の制度や国の補助金は残っています。

Q. 事務所が要件を満たしませんでした。

A. 借り直すことになります。免許権者に、どこが足りないのかを具体的に確かめてください。

Q. 交付決定の前に発注してしまいました。

A. 多くの制度で対象外になります。気づいた時点で事務局に相談してください。

Q. 採用してから助成金を知りました。

A. その方については使えないコースがあります。次の採用で検討してください。

取り返せないのは、証明と、採用の順番です。どちらも会社設立や採用の前にしか動けません。逆に言えば、この二つさえ押さえておけば大きな取りこぼしは避けられます。

つまずいた経験は、次の判断で活きます。どこで要件を外したのかが分かっていれば、二回目からは同じところで止まりません。会社設立の一年目は、免許と支援の使い方を覚える期間だと考えることもできます。

出典小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)

まとめ|免許を軸に、期限のあるものから片づける

まとめ|免許を軸に、期限のあるものから片づける|会社設立の補助金と支援
まとめ|免許を軸に、期限のあるものから片づける

不動産業の会社設立は、免許・資金・支援の三つが絡み合います。どれも期限があり、順番を間違えると手戻りが大きくなります。

この記事の要点

  • 1定款の目的に宅地建物取引業を営む旨を入れる。後から直すと登記が要る
  • 2事務所は免許の要件と自治体の支援の対象を両方満たす場所を選ぶ
  • 3市区町村の証明は会社設立の登記の前にしか取れない
  • 4免許を受けた日から3か月以内に、営業保証金の供託等の届出が必要
  • 5免許が下りるまでの運転資金を見込む。補助金では埋まらない

この記事の内容は、執筆時点で国土交通省や千葉県などの公表内容にあたって確認したものです。免許の要件や手続きは改正されることがあります。会社設立を進める前に、免許権者の窓口でご確認ください。

出典不動産業:宅地建物取引業の免許申請等のオンライン化について(国土交通省/2026-09-04 確認)

これから進める方へ

不動産業の会社設立は、確かめることが多い業種です。ただ、つまずく場所はだいたい決まっています。この記事の五つを予定表に書き込んでおくだけで、大きな手戻りは避けられます。分からないことが出たら、免許権者の窓口と市区町村の産業振興の担当課に電話してみてください。担当が違うので、両方に聞く必要があります。どちらも無料です。

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