不動産会社の設立にかかるお金|補助金が届く部分と届かない部分
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不動産業で会社設立を考えている方に向けた記事です。不動産業は免許のための負担が大きく、そこに補助金はほとんど届きません。何にいくらかかり、どの部分なら支援を受けられるのか。一次情報で確認した金額とあわせて整理します。
不動産業の会社設立は、他の業種と違って宅地建物取引業の免許が要ります。この免許に伴う負担が、資金計画の大部分を占めます。まず全体像を見てから、支援の話に入ります。

会社設立の費用は、他の業種と同じ

まず、会社設立そのものの費用は他の業種と変わりません。株式会社なら定款の認証手数料と登録免許税、合同会社なら登録免許税だけです。
株式会社の定款認証手数料は、資本金の額等が100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、300万円以上で5万円です。登録免許税は資本金の0.7%と15万円の高いほう。合同会社なら定款の認証が不要で、登録免許税の最低額は6万円です。
市区町村の特定創業支援等事業の証明を受けると、この登録免許税が半額になります。株式会社なら最低15万円が7万5千円、合同会社なら6万円が3万円です。紙の定款をやめて電子定款にすれば、収入印紙4万円もかかりません。
会社設立の費用を下げる三つ
- 1市区町村の証明を取って登録免許税を半額にする
- 2電子定款にして収入印紙4万円を省く
- 3会社の形を選ぶ(合同会社なら登録免許税の最低額が6万円)
ただし、不動産業では取引先や信用の面で株式会社を選ぶ方が多くいます。費用だけで決める話ではありません。
株式会社の定款認証手数料には、減額される仕組みもあります。発起人の全員が自然人で3人以下、定款に発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける旨の記載があること、定款に取締役会を置く旨の記載がないこと。この三つをすべて満たすと1万5,000円になります。
出典:産業競争力強化法、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則(中小企業庁/2026-09-03 確認)
重いのは、宅建業免許に伴う負担

不動産業の会社設立で資金計画の大部分を占めるのが、宅地建物取引業の免許に伴う負担です。営業保証金の供託が原則で、その金額が大きいのです。
千葉県が公表している内容によれば、営業保証金は本店1,000万円、支店500万円とされています。会社設立の直後にこの金額を用意するのは、多くの方にとって現実的ではありません。
そこで多く使われるのが保証協会への加入です。保証協会に加入する場合の弁済業務保証金分担金は、本店60万円、支店30万円とされています。営業保証金と比べると負担が大きく下がります。

どちらにしても、この負担に補助金は届きません。事業を営むための保証であって、事業を伸ばす投資ではないからです。
保証協会に加入する場合、分担金のほかに入会金や年会費といった費用がかかります。これらも補助金の対象にはなりません。会社設立の資金計画では、分担金だけでなく協会への費用も見込んでおいてください。
どちらを選ぶかは、手元資金の状況で決まることがほとんどです。会社設立の直後に1,000万円を供託できる方は限られます。保証協会に加入する道を前提に、資金計画を立てるのが現実的です。
出典:宅地建物取引業に係る営業保証金等について(千葉県/2026-09-04 確認)
免許の申請にも期限がある

宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受ける必要があります。二以上の都道府県に事務所を置く場合は大臣免許、一の都道府県のみなら知事免許です。
免許を受けた後にも期限があります。千葉県の案内によれば、免許を受けた日から3か月以内に、免許権者へ営業保証金の供託をおこなった旨の届出をしなければならないとされています。
つまり、会社設立の登記が終わり、免許を受けたら、そこから三か月のうちに保証金の手当てを済ませる必要があります。資金の準備が間に合わないと、営業を始められません。
免許の申請から交付までにも期間がかかります。会社設立の登記が終わってすぐ営業できるわけではないので、その間の家賃や人件費を見込んでおいてください。この期間の運転資金は、補助金では埋まりません。
出典:建設産業・不動産業:宅地建物取引の免許について(国土交通省/2026-09-04 確認)
補助金が届くのは、免許を取った先

会社設立の法定費用にも、営業保証金にも、免許の申請費用にも補助金は届きません。補助金が向かうのは、事業を始めてからの投資です。
| 支出 | 例 | 支援の届き方 |
|---|---|---|
| 会社設立の法定費用 | 登録免許税・定款認証手数料 | 補助金は対象外。証明と電子定款で下げる |
| 免許の申請費用 | 宅建業免許の申請にかかる費用 | 補助金は対象外 |
| 営業保証金・分担金 | 供託または保証協会への納付 | 補助金は対象外 |
| 事務所の準備 | 内装・什器・看板 | 制度による |
| 販路開拓 | ウェブサイト・広告・反響獲得 | 補助金の対象になりやすい |
| 業務の仕組み | 顧客管理・物件管理のシステム | 補助金の対象になりやすい |
表の下二つが補助金の出番です。小規模事業者持続化補助金は、自ら策定した経営計画にもとづく販路開拓等の取組を支援する制度で、申請にあたっては地域の商工会議所・商工会への相談と計画書の確認が必須とされています。
業務の仕組みをシステムに載せるなら、デジタル化・AI導入補助金が当てはまります。登録されたIT導入支援事業者と申請者が協議を重ね、共同で申請内容を作成して事務局へ提出する形をとります。
不動産業では、反響を集める仕組みへの投資が事業の伸びに直結します。ウェブサイト、物件情報の掲載、広告。こうした支出は販路開拓として説明しやすく、補助金の計画書も書きやすい部類です。会社設立の後に検討してください。
出典:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
開業前の資金は、融資で用意する

営業保証金や分担金、事務所の準備費用は、免許を受ける前後に必要になります。補助金は後払いなので、この時期の資金にはなりません。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内、元金の据置期間は5年以内に設定できます。
都道府県の制度融資も選択肢です。会社設立の登記が済んでいなくても相談できる制度が多くあります。事業計画と自己資金の状況が見える形になっていれば話は進みます。
不動産業は開業前の支出が大きい業種です。会社設立の準備の早い段階で、金融機関に相談しておいてください。どのくらい借りられそうかが分かると、事務所の規模も決めやすくなります。
融資の相談では、免許にかかる費用の内訳も示せるようにしておいてください。営業保証金か分担金か、保証協会への費用はいくらか。数字が具体的だと、資金の使いみちが伝わりやすくなります。
出典:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
事務所の要件が、支援の対象にも関わる

宅地建物取引業の免許では、事務所についての要件があります。継続的に業務をおこなえる場所であることが求められ、自宅の一室やバーチャルオフィスでは認められないことがあります。
この要件は、支援の面にも関わります。自治体の創業補助金では、事業所の実態を示す書類として賃貸借契約書を求められることがあるためです。免許のために整えた事務所が、そのまま支援の要件を満たすことになります。
会社設立の本店をどこに置くかで、使える自治体の支援も変わります。免許の要件と支援の対象、両方を満たす場所を選んでください。
あわせて、事務所ごとに専任の宅地建物取引士を置く必要があります。人の要件も、会社設立の計画に組み込んでおいてください。
事務所の契約は、会社設立の前だと個人名義になります。設立後に法人名義へ切り替えられるかを貸主に確かめておいてください。免許の申請でも、自治体の支援の申請でも、契約の名義が問われる場面があります。
出典:建設産業・不動産業:宅地建物取引業について(国土交通省/2026-09-04 確認)
資本金は、免許と支援の両方から決める

不動産業の会社設立では、取引先や金融機関の目を意識して資本金を厚くしたくなります。ただ、大きくしすぎると補助金の対象から外れることがあります。
国の補助金の多くは、対象を中小企業者や小規模事業者と定めています。線引きに使われるのが資本金の額と常時使用する従業員の数、そして業種です。業種によって基準が違うので、自分の業種でどう区切られているかを確かめてください。
あわせて、資本金1,000万円以上だと、基準期間がない設立1期目・2期目でも消費税の納税義務が免除されません。国税庁が公表している内容です。営業保証金の話と混同しやすいので、分けて考えてください。
資本金は、免許の信用、取引先の目、補助金の枠、消費税の扱い。この四つを並べて決めることになります。会社設立の前に、税理士と支援の窓口の両方に相談しておくと判断しやすくなります。
会社設立の後に資本金を変えることもできますが、増資も減資も登記が必要で費用がかかります。最初の設計で、四つの観点を並べて決めておくほうが結果的に安く済みます。
出典:ものづくり補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
開業までの段取りを、時間で並べる

不動産業は、会社設立の登記が終わっても免許が下りるまで営業できません。この期間の運転資金を見込んでおく必要があります。

大臣免許の申請はオンラインでも受け付けられるようになっています。国土交通省が免許申請等のオンライン化について案内していますので、手続きの方法は最新の情報を確かめてください。
会社設立の登記から免許が下りるまでの間も、事務所の家賃や人件費は出ていきます。この期間の資金を、融資と自己資金で用意しておいてください。
出典:不動産業:宅地建物取引業の免許申請等のオンライン化について(国土交通省/2026-09-04 確認)
まとめ|免許の負担は自前、補助金は開業の先

不動産業の会社設立は、免許に伴う負担が大きい業種です。営業保証金も分担金も補助金では埋まりません。融資と自己資金で用意する前提で計画を組んでください。
この記事の要点
- 1営業保証金は本店1,000万円・支店500万円。保証協会なら分担金が本店60万円・支店30万円
- 2免許を受けた日から3か月以内に、供託等の届出が必要
- 3会社設立の法定費用は、証明と電子定款で下げられる
- 4補助金が届くのは、販路開拓や業務のシステム化といった開業の先の投資
- 5資本金は、免許の信用・補助金の枠・消費税の扱いを並べて決める
この記事の金額は、執筆時点で国土交通省や千葉県などの公表内容にあたって確認したものです。制度の要件や金額は改正されることがあります。会社設立を進める前に、免許権者と所管の窓口でご確認ください。
出典:小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)
不動産業で会社設立を考えている方へ
不動産業は、会社設立の費用より免許に伴う負担のほうがずっと大きい業種です。そこに補助金は届きません。だからこそ、融資の相談を早めに始めてください。そのうえで、会社設立の法定費用は市区町村の証明と電子定款で下げ、補助金は開業後の販路開拓に回す。この役割分担ができていれば、資金計画は組めます。免許の要件については、免許権者の窓口で必ず確かめてください。
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