会社設立の前に整える自己資金|通帳の見せ方と出どころの説明
この記事を読んでほしい方
会社設立の前に融資を受けたい方、自己資金をどう見せればいいか分からない方に向けた記事です。
通帳は、金額だけを見られるわけではありません。どう貯まったかを見られます。

自己資金は、額より経緯を見られる

会社設立の前に融資を相談すると、通帳の提示を求められます。
見られているのは残高だけではありません。
どのように貯まったか、その経緯です。
毎月こつこつ積み上げた形跡があれば、計画性の裏づけになります。
逆に、相談の直前に大きな金額が一度で入っていると、必ず出どころを聞かれます。
会社設立の準備は、この点でも早く始めたほうが有利です。
通帳の履歴は、後から作れません。
補助金の支援を受ける段階よりも前に、ここを整えておいてください。
日本政策金融公庫は創業計画書の様式と記入例を公開しています。自己資金の欄がどこにあるかを、先に見ておいてください。
補助金の申請でも、資金の裏づけを問われる場面があります。会社設立の前に整えた通帳は、そこでも使えます。
通帳をまとめる作業は、今日からできます。複数の口座に分かれているなら、一つに寄せてください。分散していると、総額を示すだけで説明が要ります。会社設立の前の数か月で、そこを整えておくと相談が短く済みます。
出典:創業計画の書き方|START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)
借りたお金を、自己資金として見せない

やってはいけないことが一つあります。
他から借りたお金を、一時的に口座へ入れて自己資金に見せることです。
通帳の履歴を見れば、たいてい分かります。
分かったときに失うのは、その融資だけではありません。
その金融機関との関係そのものです。
会社設立の後も、資金の相談は続きます。
最初の一回で信用を落とすのは、割に合いません。
親から借りたのなら、借りたと言ってください。
贈与なら贈与と言えば済む話です。
会社設立の後に補助金の支援を受けるときも、同じ金融機関と付き合うことになります。最初の印象は残ります。
一時的な入金は、資金を見せるためのものだと受け取られます。実際にそうでなくても、説明できなければ同じです。会社設立の前に大きな入出金があるなら、その理由を言えるようにしておいてください。
会社設立の資金は、一度きりの話ではありません。立ち上げて、回して、足りなくなればまた相談する。その繰り返しです。最初の相談で正直に話しておけば、二度目からは早く進みます。逆に一度ごまかすと、その後の支援がすべて重くなります。
出典:創業計画書セルフチェック(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)
親族からの支援は、形をはっきりさせる

会社設立の資金を親族から出してもらう方は多くいます。
問題は、その形をはっきりさせているかです。
贈与なら、返済の義務がありません。自己資金として扱われます。
貸付なら、返済の義務があります。負債として見られます。
曖昧なままにしておくと、審査で説明できません。
贈与であれば、税の扱いも確認しておいてください。
金額によっては贈与税の対象になります。
会社設立の前に、書面で残しておくのが確実です。
支援してくれる相手のためにも、そのほうがいいはずです。
親族からの支援は、会社設立の前後で最も多い資金の出どころです。だからこそ、形を決めておいてください。補助金の申請の場面でも、負債の有無は聞かれます。
書面といっても、複雑なものは要りません。誰から誰へ、いくら、いつ、返すのか返さないのか。これが書いてあれば足ります。会社設立の前に一枚作っておけば、後の支援の相談でも使えます。
出典:各種書式ダウンロード 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)
自己資金と資本金は、別のもの

自己資金と資本金は、よく混同されます。
自己資金は、あなたが用意できるお金の総額です。
資本金は、そのうち会社設立のときに会社へ払い込む額です。
全額を資本金にする必要はありません。
資本金の額は、登記事項として公開されます。
取引先や金融機関から見られる数字です。
一方で、資本金の額によって税や届出の扱いが変わる場面もあります。
会社設立の前に、税理士や窓口へ相談して決めてください。
後から変えるには、手続きと費用がかかります。
資本金の額は、補助金の要件に関わることもあります。中小企業者や小規模事業者の定義に、資本金の額が使われるためです。会社設立の前に、狙っている補助金の定義を見ておいてください。
資本金を大きく見せたい気持ちは分かりますが、手元の資金が薄くなります。会社設立の直後に必要なのは、見た目より現金です。バランスで決めてください。
出典:商業・法人登記申請手続(法務局/2026-09-03 確認)
生活費を、事業の資金と分ける

見落とされがちなのが、生活費です。
会社設立の直後から、給料が出るとは限りません。
売上が立って入金されるまでには、数か月かかることもあります。
その間の生活費を事業の資金から出してしまうと、資金がすぐに尽きます。
創業計画書にも、生活費を含めた収支の見通しを書く欄があります。
自己資金の一部は、生活費として別に置いておいてください。
何か月分を置くかは、業種と回収の周期によります。
会社設立の前に、そこまで計算しておくのが安全です。
生活費を確保しておくと、補助金の入金を待つ間も動けます。会社設立の直後は、この余裕があるかどうかで判断が変わります。
何か月分を置くかは、業種によります。飲食のように現金が毎日入る商売と、請求から入金まで二か月かかる商売では、必要な厚みが違います。会社設立の前に、自分の回収の周期を書き出してください。そこから逆算すれば、置いておく額が決まります。
出典:創業計画の書き方|START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)
自己資金が少なくても、道はある

自己資金が十分でない方もいます。
その場合でも、使える制度はあります。
経済産業省の案内では、創業関連保証は事業を営む前であっても利用可能な制度とされています。
信用保証協会による100パーセント保証で、最大3,500万円の資金調達が可能とされています。
保証対象者には、創業計画段階にあり今後創業する者が含まれます。
担保は無担保、保証料率は各信用保証協会所定とされています。
つまり、会社設立の前でも相談できるということです。
利用については、近くの金融機関または信用保証協会に問い合わせるよう案内されています。
自己資金の額だけで諦めないでください。
融資と補助金は、併用できる場面が多くあります。会社設立の前に融資で立ち上げ、後から補助金で設備を足す。この形が現実的です。
制度の条件は年度で変わります。会社設立の時期によって使える枠も変わるので、相談の時点の内容を窓口で確かめてください。ここに書いた内容も、確認した時点のものです。
出典:創業期に利用可能な信用保証制度について(経済産業省/2026-09-08 確認)
自己資金は、補助金を使うときにも効く

自己資金が必要なのは、融資のためだけではありません。
補助金は後払いの制度です。
先に自分で発注して払い、実績を報告してから補助金が入ります。
つまり、いったんは全額を自分で立て替える必要があるということです。
補助率が三分の二であっても、その場では十割を払います。
入金までの数か月を、手元の資金で持ちこたえられるか。
ここで足りなくなる方が、実際にいます。
会社設立の前に自己資金を整えておくのは、補助金の支援を受けるための準備でもあります。
補助金の額が大きいほど、立て替える額も大きくなります。
つなぎの資金を融資でまかなう方法もあります。会社設立の前の相談で、そこまで話しておいてください。
立て替えの期間は、実績の報告から入金までを含めて考えてください。報告を出してから確認があり、そこから支払いになります。会社設立の直後の資金の計画では、この期間を長めに見ておくのが安全です。
出典:小規模事業者持続化補助金(創業型)について(中小企業庁/2026-09-03 確認)
会社設立の前に、揃えておく書類

相談に行く前に、次を揃えておいてください。
- 自己資金が入っている口座の通帳(記帳を済ませておく)
- 創業計画書(数字が入ったもの)
- 開業までにかかる費用の見積り
- 毎月の支出の見込み(家賃・人件費・仕入れ・生活費)
- 他に借入があれば、その残高が分かるもの
日本政策金融公庫は創業支援の情報をまとめたページを持っています。相談の前に一度目を通しておいてください。
揃っていれば、その場で話が進みます。
Q. 自己資金はいくら必要ですか。
A. 制度により考え方が異なります。窓口で必要額をご確認ください。
Q. 通帳はいつから見られますか。
A. 一定期間さかのぼって履歴を見られるのが通例です。早めに整えてください。
Q. 親からもらったお金は自己資金ですか。
A. 贈与なら自己資金として扱われます。貸付なら負債です。形をはっきりさせてください。
Q. 自己資金を全額、資本金にしますか。
A. その必要はありません。生活費と運転資金を残してください。
Q. 自己資金がほとんどありません。
A. 創業関連保証など、会社設立の前から使える制度があります。まず相談してください。
この書類は、後の補助金の申請でもほぼそのまま使えます。会社設立の前に一度作っておけば、二度手間になりません。
通帳は記帳を済ませてから持って行ってください。未記帳のままだと、その場で確認できません。会社設立の前の相談は時間が限られています。細かいことですが、ここで時間を落とさないようにしてください。
出典:あなたの創業は、どこから? START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
まとめ|通帳は、会社設立の前から作る

自己資金の見せ方は、会社設立の前の数か月で決まります。
この記事の要点
- 1自己資金は額より経緯を見られる。通帳の履歴は後から作れない
- 2借りたお金を自己資金として見せない。信用を失う
- 3親族からの支援は、贈与か貸付かをはっきりさせて書面に残す
- 4自己資金と資本金は別。全額を資本金にしない
- 5自己資金が少なくても、創業関連保証など会社設立の前から使える制度がある
会社設立の前にできることは、思っているより多くあります。自己資金の整理も、その一つです。動き出す前の数か月を、無駄にしないでください。
少額から始めた方が、後から補助金の支援を受けて設備を足していく。会社設立の現場では、この形がいちばん多く見られます。
制度を横断して探すなら、J-Net21のような支援情報のサイトも使えます。会社設立の準備のうちに見ておいてください。
この記事は2026年9月時点で日本政策金融公庫、経済産業省、法務局の公表内容にあたって確認した内容です。審査の見方は金融機関により異なります。必ず窓口でご確認ください。
出典:J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)
通帳を開くのが不安な方へ
自己資金の話になると、身構える方が多くいます。額が少ないと断られるのではないか、と。ただ、窓口が見ているのは金額の大小だけではありません。その人がどう準備してきたかです。少額でも積み上げた形跡があれば、それは評価されます。会社設立の前の数か月を、その形を作る時間に使ってください。今日から一つの口座にまとめるだけでも違います。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。
- リープアル|会社設立時の資本金の決め方|消費税・信用・融資から考える
資本金1,000万円の線引きと、その前後で変わることを説明しています。
- サン共同税理士法人|会社設立時の資本金はいくらがよい?
資本金の水準を、税・融資・取引先の目線から比べています。
- タケバ会計事務所|会社設立の資本金とは?平均額や決め方の目安
資本金の平均額と、税金で損しないための考え方をまとめています。
- 千代田税理士法人|会社設立前後に使える補助金・助成金
会社設立の前と後で分けて、それぞれの時期に申請できる支援を解説しています。
- freee|資本金とは?会社設立時に必要な金額の決め方や注意点
会社設立時の資本金の決め方と、税や信用への影響を整理しています。
- 起業コンパス|川崎市の創業融資と支援
川崎市の創業融資と助成金・補助金を紹介しています。
- 亀田税理士事務所|大阪市の会社設立と補助金・助成金
大阪市・東大阪市・堺市を対象に、会社設立と創業融資の支援を案内しています。
- V-Spirits|横浜市の創業融資制度と申請手順
横浜市の融資・補助金制度と申請の手順を説明しています。
- 起業コンパス|埼玉県の創業融資まとめ
埼玉県の創業融資と助成金・補助金を整理しています。
- 行政書士事務所|兵庫県での創業融資の使える制度と審査のポイント
兵庫県で使える創業融資を制度ごとに解説しています。
この記事は、会社設立の補助金を調べるうえで役に立ちましたか。
押した数はこの端末にも記録され、同じ記事では一度だけ数えます。




