外国人が会社設立した後に使える補助金と助成金|雇用が要件になる強み
この記事を読んでほしい方
外国籍の方で、日本での会社設立を終えた、あるいは目前という段階の方に向けた記事です。在留資格の要件で常勤職員の雇用が求められるということは、雇用系の助成金と噛み合いやすいということでもあります。会社設立の後に狙える支援を、雇用を軸に整理します。
在留資格「経営・管理」では、1人以上の常勤職員を雇用することが求められます。人を雇うことが前提になっているなら、厚生労働省系の助成金は最初から視野に入れておく価値があります。補助金と合わせて、会社設立の後の支援を並べます。

補助金の要件に、国籍の条件はほとんどない

最初に確認しておきます。国の補助金の多くは、対象を「中小企業者」や「小規模事業者」と定めています。線引きは資本金の額、常時使用する従業員の数、業種で決まり、代表者の国籍を条件にしている制度はほとんどありません。
日本で会社設立をして法人になっていれば、外国籍の方が代表であっても対象になり得ます。ここは安心してよい部分です。ただし、日本国内に事業所があり、法人として活動していることが前提になります。
注意したいのは資本金の額です。在留資格「経営・管理」では資本金または出資の総額が3,000万円以上とされていますが、補助金の側では中小企業者の枠を資本金で区切っています。業種によって上限が違うため、狙う制度ごとに枠に収まるかを確かめてください。
会社設立の後、補助金を狙う前に確かめること
- 1自社の資本金と従業員数が、その制度の対象の枠に収まるか
- 2日本国内に事業所があり、実態を示せるか
- 3登記事項証明書と法人名義の口座が用意できているか
- 4申請書類を日本語で作成できる体制があるか
もうひとつ、法人としての活動の実態も見られます。会社設立の登記だけ済ませて事業が動いていない状態では、申請しても評価されません。売上がまだ小さくても、事業を進めている記録が残っていることが大事です。契約書、請求書、問い合わせの記録。会社設立の直後から残しておいてください。
出典:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
雇用が要件だからこそ、雇用系の助成金が噛み合う

在留資格の要件で常勤職員を雇うことになるなら、その雇用に関する支援を最初から組み込んでおくのが自然です。厚生労働省系の助成金は、要件を満たせば受けられるものが多く、補助金より見通しが立ちやすい面があります。
代表的なのがキャリアアップ助成金です。有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の方の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇の改善に取り組んだ事業主を助成する制度です。各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出することが求められます。
もうひとつがトライアル雇用助成金です。一般トライアルコースは、就業経験の不足などで就職が難しい方を、ハローワーク等の紹介を受けて原則3か月のトライアル雇用として受け入れる制度で、支給額は対象者1人あたり月額最大4万円(最長3か月)です。

重要なのは順番です。先に採用してしまってから申し込むことはできません。会社設立の直後に人を雇う予定があるなら、募集をかける前に都道府県労働局やハローワークに相談してください。
雇用系の助成金は種類が多く、コースごとに要件が細かく分かれています。会社設立の直後に全部を読み込むのは現実的ではないので、まず自社の採用の予定を労働局やハローワークの窓口で伝え、当てはまりそうなコースを教えてもらうのが早道です。そのうえで公表資料を読むと、要点が頭に入ります。
出典:キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)
採用の前に整えておく三つ

雇用系の助成金を狙うなら、採用の前に会社の側を整えておく必要があります。会社設立の直後は何もかもこれからという状態なので、この準備が後回しになりがちです。

社会保険については、事業所が健康保険・厚生年金保険に適用されることになった場合、事実の発生から5日以内に新規適用届を日本年金機構へ提出します。会社設立の直後に来る期限のなかでも、いちばん短いものの一つです。
就業規則や労働条件の書面は、助成金の要件であると同時に、外国籍の代表者にとっては日本の労働のルールを学ぶ機会にもなります。社会保険労務士に一度見てもらうと、あとの手戻りが減ります。
人件費は自前で払える前提にする
雇用系の助成金も後払いです。取り組みを終えてから支給されるため、会社設立の直後の人件費を助成金で賄うことはできません。給与と社会保険料の会社負担分は、自前の資金で払える計画にしておいてください。
出典:新規適用の手続き(日本年金機構/2026-09-03 確認)
事業への投資には、補助金を当てる

人の話と並行して、事業への投資には補助金を当てていきます。会社設立の直後に相性がよいのが、小規模事業者持続化補助金です。
創業型は、中小企業庁の説明によれば、創業後1年以内の小規模事業者等(創業後、事業開始前の事業者も対象)の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とし、自ら策定した経営計画にもとづく販路開拓等の取組を支援するものです。会社設立の日が要件そのものになる枠です。
一般型も含め、この制度では地域の商工会議所・商工会への相談と計画書の確認が申請の前提になっています。外国籍の方にとっては、日本語での相談が必要になる場面です。日本語で動ける常勤職員がいると、ここが進みます。
| 制度 | 狙い | 入口 |
|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(創業型) | 創業後1年以内の販路開拓 | 商工会議所・商工会への相談 |
| 小規模事業者持続化補助金(一般型) | 販路開拓・広報 | 同上 |
| ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 新製品・新サービスの開発、設備投資 | 公募回ごとの電子申請 |
| デジタル化・AI導入補助金 | 業務システムの導入 | 登録された支援事業者と共同申請 |
| 自治体の創業補助金 | その地域での創業 | 市区町村・都道府県の窓口 |
どの補助金を狙うか迷ったら、会社設立の直後は販路開拓から入るのが取りかかりやすい選択です。設備投資の制度は金額が大きいぶん審査も厳しく、準備にも時間がかかります。まず小さな一本を通して実績を作り、そこから大きな制度に進むという順番も現実的です。
出典:小規模事業者持続化補助金(創業型)について(中小企業庁/2026-09-03 確認)
申請の言葉の壁を、どう越えるか

外国籍の方にとって、補助金の申請でいちばん重いのは言葉です。公募要領は数十ページの日本語で、申請様式も事業計画書も日本語で作成します。会社設立の直後にこれを一人でこなすのは、負担が大きすぎます。
現実的な進め方は三つあります。日本語で動ける常勤職員に担当してもらう。商工会議所や商工会の窓口で相談しながら進める。専門家に伴走してもらう。どれか一つに絞らず、組み合わせるのが確実です。
- 公募要領は「対象者」「対象経費」「審査の観点」の三か所から読む
- 計画書の骨格は母国語で作り、日本語に直してから見てもらう
- 商工会議所・商工会の相談は無料で使える
- 電子申請にはGビズIDが要る。取得に時間がかかる
国の補助金の多くは、電子申請システムのJグランツから申し込みます。Jグランツを使うにはGビズIDのアカウントが必要で、書類を郵送する方式では1〜2週間かかることがあります。会社設立の登記が済んだら、補助金を決める前でも申請しておいてください。
用語のリストを作る
地味ですが効く方法です。公募要領を読みながら、分からない語を書き出してリストにしておく。二本目の申請から、読む速度がまったく変わります。会社設立の直後の一本目は時間がかかりますが、そこで作った資産は残ります。
出典:Jグランツ ネットで簡単!補助金申請(デジタル庁/2026-09-03 確認)
自治体の支援は、住所地で決まる

市区町村や都道府県の支援も、外国籍であることを理由に対象外にする制度はほとんどありません。条件になるのは住所地です。会社設立の本店をどこに置いたかで、使える支援が決まります。
特に押さえておきたいのが特定創業支援等事業の証明です。会社設立の前に受けるものなので、すでに登記を終えた方には間に合いませんが、これから設立する方は検討する価値があります。証明を受けると登録免許税が半額になります。
すでに会社設立を終えている場合でも、自治体の創業補助金や家賃の補助といった制度が残っていることがあります。創業から何年以内という区切りがあるものが多いので、早めに市区町村の産業振興の担当課に問い合わせてください。
外国籍の方向けの相談体制については、自治体によって差があります。多言語の相談窓口を設けているところもあれば、日本語のみのところもあります。事前に電話で確かめてから訪問すると、無駄足になりません。
自治体によっては、地域の産業や雇用に貢献する事業者を対象にした独自の補助金を用意しています。外国籍の代表者による事業が、地域の国際化や観光に結びつく場合、そうした枠に当てはまることもあります。会社設立の場所を決めるとき、自治体が力を入れている分野も見ておくと選択肢が増えます。
出典:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁/2026-09-03 確認)
支援を重ねるときの注意

補助金と助成金、国と自治体。目的や対象経費が重ならなければ、重ねて受けられることがあります。会社設立の直後は使えるものを全部並べて、重ならない組み合わせを探すのが得策です。
ただし、同じ経費に二重に支援を受けることは認められません。申請書には他の制度への申請状況を書く欄があり、ここは正直に書いてください。隠して両方から受け取ると、あとで返還を求められます。
Q. 補助金と雇用系の助成金は、両方受けられますか。
A. 目的と対象経費が重ならなければ可能なことがあります。人件費の扱いには特に注意し、経費を分けた根拠を残してください。
Q. 在留資格の申請に、補助金の採択は有利に働きますか。
A. 在留資格の審査は所定の要件で判断されます。補助金の採択そのものが要件になっているわけではありません。
Q. 会社設立から時間が経つと、使える制度は減りますか。
A. 創業何年以内という区切りのある制度は対象から外れます。一方で、決算を通すと出せる書類が増え、狙える制度も出てきます。
Q. 日本語ができないと、補助金は無理でしょうか。
A. 申請は日本語ですが、商工会議所の相談や専門家の伴走を使えば進められます。日本語で動ける常勤職員がいると、さらに現実的になります。
出典:ものづくり補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
まとめ|雇用の要件を、支援の入口として使う

在留資格の要件で人を雇うことになるのは、資金の面では負担です。ただ、その雇用に対して支援する制度が用意されているのも事実です。会社設立の計画に、最初から雇用系の助成金を組み込んでおいてください。
この記事の要点
- 1補助金の対象は資本金・従業員数・業種で決まる。国籍はほぼ関係ない
- 2雇用が要件になるなら、雇用系の助成金と噛み合う
- 3採用の前に、労働保険・社会保険・就業規則を整えておく
- 4事業への投資には補助金。創業後1年以内を対象にした枠がある
- 5言葉の壁は、日本語で動ける職員・商工会議所・専門家の組み合わせで越える
この記事は執筆時点で確認した公表資料をもとにした一般的な整理です。制度の要件は年度ごとに変わり、在留資格の判断は個別性が高いものです。会社設立の後の支援を具体的に検討する段階では、所管の窓口と専門家にご確認ください。
出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)
会社設立を終えた方へ
会社設立と在留資格の手続きを終えたところで、力を使い果たしている方も多いはずです。ただ、支援の制度は会社設立から時間が経つほど選択肢が減るものが少なくありません。落ち着いたら、まず市区町村の産業振興の担当課と、地域の商工会議所に一度顔を出してみてください。無料で相談でき、その地域で使える制度を一通り教えてもらえます。言葉に不安があれば、日本語で動ける方に同席してもらう形でも構いません。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。
- タケバ会計事務所|会社設立の補助金・助成金おすすめ5選
会計事務所が、会社設立時に使える支援を5つに絞り、条件と申請手順をまとめています。
- freee|会社設立時に最適な助成金・補助金は?
会社設立の前後で使える補助金と助成金を、金額・条件・申請方法の順に一覧でまとめた解説ページです。
- マネーフォワード クラウド会社設立|創業・会社設立で使える補助金・助成金まとめ
国の制度と東京都の創業助成金を並べて、会社設立の支援メニューを整理しています。
- ベンチャーサポート|会社設立時に使える補助金・助成金11選
会社設立の時期に絞って11の制度を挙げ、申請の流れと注意点まで説明しています。
- HTM税理士法人|会社設立でお得な助成金・補助金一覧
税理士事務所の視点で、会社設立に使える補助金を申請方法まで含めて並べています。
- 創業手帳|会社設立時に申請できる補助金・助成金とは
会社設立のタイミングで申請できる制度に絞って、要件と流れをまとめています。
- マネーフォワード|合同会社の設立前後に使える補助金・助成金10選
合同会社という形に絞って、設立の前後で使える支援を10件並べています。
- 就労ビザステーション|経営管理ビザと外国人会社設立手続き
経営・管理の在留資格と、外国人の会社設立の手続きの関係を説明しています。
- 税理士法人FLAGS|会社設立の補助金・助成金ガイド
名古屋の税理士による解説で、創業資金の不安に沿って申請条件と種類を整理しています。
- 第一綜合事務所|外国人が会社設立を日本で行う方法
行政書士法人が、外国人の会社設立の条件・手続き・必要書類を整理しています。
この記事は、会社設立の補助金を調べるうえで役に立ちましたか。
押した数はこの端末にも記録され、同じ記事では一度だけ数えます。




