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会社設立したての実績ゼロで補助金の事業計画書をどう書くか|審査で見られる場所

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

会社設立を済ませたばかりで、補助金の事業計画書を前にして手が止まっている方に向けた記事です。売上の実績も、去年の数字もない。その状態で何を書けば審査に耐えるのか、という話をします。文章の上手さの話ではなく、審査する側が確かめたいことから逆算する書き方をまとめました。

補助金の申請でいちばん時間を取られるのが事業計画書です。会社設立の直後は書ける実績がなく、何から手を付ければいいのか分からなくなります。ただ、審査で見られている場所は決まっています。そこを外さなければ、実績がなくても通る計画は書けます。

補助金の事業計画書を組み立てる順番
補助金の事業計画書を組み立てる順番

審査は「良い事業か」ではなく「政策に合うか」を見ている

審査は「良い事業か」ではなく「政策に合うか」を見ている|会社設立の補助金と支援
審査は「良い事業か」ではなく「政策に合うか」を見ている

事業計画書を書くとき、多くの方が「自分の事業がいかに良いか」を伝えようとします。気持ちは分かるのですが、補助金の審査はそこを主に見ていません。見ているのは、その事業が制度の狙いに合っているかどうかです。

補助金は、政策目標を実現するための支援です。販路開拓を後押ししたい制度なら販路開拓の計画を、生産性を上げたい制度なら生産性の話を求めます。会社設立したばかりの熱意を書き込んでも、制度の狙いから外れていれば評価されません。

書き始める前にやること

  • 1公募要領の「審査の観点」の項を先に読む
  • 2そこに並んだ言葉を、自分の計画のどこで受けるか決める
  • 3受けきれない観点があれば、その制度は見送る判断もする

最後の一行が大事です。会社設立の直後は使える時間が限られています。どうしても噛み合わない制度に何十時間もかけるより、合う制度に絞ったほうが結果は出ます。補助金は数を撃つものではありません。

公募要領は「読む」より「引く」

公募要領は数十ページあります。通読しようとすると心が折れるので、引くものとして扱ってください。まず目次から「補助対象者」「補助対象経費」「審査の観点」の三つを開く。ここだけで、自分が対象かどうかと、何を書けばいいかがほぼ分かります。

もうひとつ、審査の観点は制度の性格をそのまま映しています。販路開拓を後押しする制度なら「新たな顧客層にどう届けるか」を、生産性を上げる制度なら「工程のどこがどれだけ短くなるか」を見ています。会社設立の直後で書ける材料が少なくても、観点に沿って一つずつ答えていけば、形にはなります。

出典小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)

会社設立したてでも書ける「根拠」の作り方

会社設立したてでも書ける「根拠」の作り方|会社設立の補助金と支援
会社設立したてでも書ける「根拠」の作り方

実績がないことは、会社設立の直後なら当たり前です。審査側もそれは分かっています。問われているのは実績そのものではなく、この計画が絵空事でない根拠があるかです。根拠は、実績以外からも作れます。

実績のかわりに使える根拠
根拠の種類 集め方 書き方の例
見込み客の声 知人・前職の取引先に聞く 「同業3社に聞いたところ、いずれも同じ工程で時間を取られていた」
公的な統計 官公庁の公表資料 「その市の事業所数は◯◯で、うち◯割が同じ課題を抱えている」
自分の経験 前職での担当業務 「前職で同じ工程を7年担当し、作業時間を◯割減らした経験がある」
先行事例 同業他社の公開情報 「同じ仕組みを入れた同業では、対応件数が伸びたと公表されている」
試作・テスト 小さく試した結果 「知人3社に試してもらい、2社から継続の意向を得た」

会社設立の前に前職の経験があるなら、それは立派な根拠です。「実績ゼロ」と書かず、「この分野で◯年の経験がある」と書いてください。補助金の支援は、事業を伸ばせる見込みのある人に向けられています。見込みの材料を出すのが計画書の役目です。

根拠として使う数字は、出どころを書いてください。「◯◯省の令和◯年の調査によれば」と一行添えるだけで、読み手の受け取り方が変わります。出どころのない数字は、書かないほうが安全です。

出典J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)

補助金で買うものと、その先の変化をつなげる

補助金で買うものと、その先の変化をつなげる|会社設立の補助金と支援
補助金で買うものと、その先の変化をつなげる

事業計画書でよく弱くなるのが、補助金で買うものと、その結果起きる変化のつながりです。「機械を買います」「システムを入れます」だけでは、何が良くなるのか読み手に伝わりません。

つなぎ方は単純です。買うもの → それで何ができるようになるか → その結果どの数字が動くか、を三段で書きます。会社設立の直後で数字が小さくても構いません。小さくても、動く筋道が見えていれば評価されます。

買うものと変化を、三段でつなぐ|会社設立の補助金
補助金で買うものと事業の変化をつなぐ図

実績報告で測れる数字にしておく

見落とされがちですが、計画書に書いた数字は、事業を終えたあとの実績報告で報告することになります。会社設立の直後に見栄えのする数字を置くと、あとで自分の首を絞めます。自社で測れて、根拠を説明できる数字にしてください。

  • 測り方が決まっている数字にする(誰が、いつ、どうやって数えるか)
  • 外部要因で動く数字は避ける(景気や季節で振れるもの)
  • 達成できなかったときの説明が付く範囲に置く

出典デジタル化・AI導入補助金(旧 IT導入補助金)のご案内(中小機構/2026-09-03 確認)

経費の書き方でつまずかないために

経費の書き方でつまずかないために|会社設立の補助金と支援
経費の書き方でつまずかないために

事業計画書の後半は経費の話になります。ここで対象外の経費を積んでしまうと、採択されても減額されます。会社設立の直後は買いたいものが多いので、特に注意が要ります。

経費を書く前に確かめること|会社設立の補助金
補助金の経費を書く前のチェックリスト

特に多いのが、汎用品の扱いです。事務用のパソコンを1台買うだけ、といった支出は対象外とされることが一般的です。ただし、業務の仕組みとして入れるソフトやシステムの一部であれば、扱いが変わることがあります。単体で買うのか、仕組みとして入れるのかで書き方が変わります。

会社設立の費用そのもの、たとえば登録免許税や定款の認証手数料は、補助金の対象外とされるのが通例です。ここは別の支援、たとえば特定創業支援等事業の証明による軽減で下げる道を検討してください。

交付決定の前に発注した経費は対象外になることがあります。採択の通知が来ても、交付決定までは発注を待つのが安全です。

経費の一覧を作ったら、一行ずつ「これは審査の観点のどれに効くか」を確かめてください。どの観点にも紐づかない経費は、審査する側から見れば必要性が伝わりません。会社設立の直後に買いたいものと、計画に必要なものを分ける作業でもあります。

出典小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)

商工会議所・商工会の確認を、味方にする

商工会議所・商工会の確認を、味方にする|会社設立の補助金と支援
商工会議所・商工会の確認を、味方にする

小規模事業者持続化補助金では、地域の商工会議所・商工会への相談と、計画書の確認が申請の前提になっています。手続きが一段増えるので面倒に感じますが、会社設立の直後にはむしろありがたい仕組みです。

担当者は、その地域で何本もの計画書を見ています。読んで意味が通らないところ、根拠が足りないところを指摘してもらえます。提出前に第三者に読んでもらえる機会だと考えると、価値が変わります。

持って行くと話が早いもの

  • 登記事項証明書(会社設立が済んでいることの確認に使われます)
  • 何をする事業かを書いた1枚(箇条書きで構いません)
  • 補助金で買いたいものと、おおよその金額
  • 会社設立の日と、今の売上の状況

締切の直前は相談が混みます。確認に時間がかかることを前提に、締切の1か月前には一度目の相談をしておくのが安全です。会社設立の直後で地域とのつながりが薄い時期でも、この相談が最初の接点になります。

支援を受ける側として一言だけ。担当者に丸投げすると、良い計画書にはなりません。自分の言葉で書いたものを持って行き、そこに手を入れてもらう。この順番だと、審査に耐える文章になります。

出典小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)

読みやすさが、そのまま評価に効く

読みやすさが、そのまま評価に効く|会社設立の補助金と支援
読みやすさが、そのまま評価に効く

審査する人は、限られた時間で多くの計画書を読みます。内容が良くても、読み取るのに時間がかかる書き方だと不利になります。会社設立の直後は伝えたいことが多くなりがちですが、削る勇気が要ります。

読みにくくなる書き方と、その直し方
読みにくい書き方 直し方
前置きが長く、結論が最後に来る 各項目の1行目に結論を置く
専門用語をそのまま使う 業界の外の人が読む前提で、一度かみ砕く
数字の根拠がない 出どころを一行添える
1文が3行以上ある 一文一義に切る
図が一つもない 流れや金額の内訳は図にする

図の効き目は大きいです。文章で三段落かかる説明が、簡単な図一つで伝わることがあります。凝ったものは要りません。手書きを取り込んだ程度でも、あるとないとでは読みやすさが違います。

提出の前に、声に出して読む

地味ですが効きます。声に出して読むと、つながりが切れているところで必ずつっかえます。会社設立の準備で疲れているときほど、文章のねじれに気づけなくなります。時間がなければ、審査の観点に対応する部分だけでも読み返してください。

出典Jグランツ ネットで簡単!補助金申請(デジタル庁/2026-09-03 確認)

落ちたときに、次へつなげる

落ちたときに、次へつなげる|会社設立の補助金と支援
落ちたときに、次へつなげる

補助金は審査があるので、落ちることがあります。会社設立の直後に落ちると気持ちが沈みますが、書いた計画書は無駄になりません。次の公募回に出し直せますし、別の制度にも使い回せます。

落ちたときにやることは二つです。ひとつは、公募要領の審査の観点をもう一度読み、自分の計画のどこが受けきれていなかったかを探すこと。もうひとつは、商工会議所などで読んでもらい、外から見て弱いところを聞くことです。

Q. 同じ計画で次の回に出し直せますか。

A. 多くの制度で可能です。ただし前回と同じ内容のままでは結果も同じになりがちです。指摘された点を直してから出してください。

Q. 不採択の理由は教えてもらえますか。

A. 制度によります。得点や講評が返る制度もあれば、結果だけの制度もあります。返らない場合は、審査の観点と自分の計画を突き合わせて自己点検してください。

Q. 落ちたら会社設立の資金計画はどうなりますか。

A. 補助金は後払いなので、もともと当てにしない前提で組むのが安全です。融資など返済のある資金と組み合わせて、補助金は上乗せとして扱ってください。

補助金の支援は、事業を進める後押しであって、事業の前提ではありません。落ちても事業が続く計画になっているか。会社設立の段階でそこを確かめておくと、結果に振り回されずに済みます。

出典ものづくり補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)

まとめ|実績の代わりに、筋道を書く

まとめ|実績の代わりに、筋道を書く|会社設立の補助金と支援
まとめ|実績の代わりに、筋道を書く

会社設立したばかりで実績がないことは、補助金の申請で決定的な不利にはなりません。審査が確かめたいのは過去の数字そのものではなく、この事業が前に進む筋道が立っているかどうかです。筋道は、実績がなくても書けます。

この記事の要点

  • 1審査は「良い事業か」より「制度の狙いに合うか」を見ている
  • 2実績の代わりに、見込み客の声・統計・前職の経験を根拠にする
  • 3買うもの → できること → 動く数字、を三段でつなぐ
  • 4対象経費は思ったより狭い。会社設立の費用そのものは通常対象外
  • 5商工会議所・商工会の確認は、提出前の下読みの機会として使う

最後にもう一度。この記事の内容は執筆時点の制度を前提にしています。審査の観点も対象経費も、公募回ごとに変わります。書き始める前に、必ず最新の公募要領を開いてください。判断に迷う部分は、商工会議所や所管の窓口に確認するのが確実です。会社設立の直後は時間が足りません。迷う時間を減らすために、聞ける先を早めに作っておいてください。

出典経営革新支援(中小企業庁/2026-09-03 確認)

書き始められない方へ

事業計画書は、白紙を前にしている時間がいちばん長くなります。まず「誰の、どんな困りごとを解くのか」を一文だけ書いてみてください。そこさえ決まれば、あとの項目はその一文を支える材料集めになります。会社設立の直後は、本業だけで手一杯のはずです。全部を一人で書ききる必要はありません。商工会議所の窓口や、補助金の申請に慣れた人の手を借りながら、自分の言葉の部分だけ守る。その進め方でも、審査に耐える計画書は作れます。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。

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