株式会社と合同会社、補助金の受けやすさは変わるのか|会社設立の形の選び方
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会社設立の形を株式会社と合同会社のどちらにするか迷っていて、その選択が補助金の受けやすさに響くのか気になっている方に向けた記事です。結論から言えば補助金の要件で会社の形が問われる場面はほとんどありません。ただし、まったく影響しないわけでもありません。どこが効いて、どこが効かないのかを分けて説明します。
会社設立の相談でよく出るのが、「合同会社だと補助金で不利になりませんか」という質問です。多くの制度は中小企業者や小規模事業者という枠で対象を決めていて、会社の形そのものを条件にはしていません。とはいえ、費用や資金調達の場面では違いが出ます。補助金の側から見た会社設立の形の選び方を整理します。

01補助金の対象は「会社の形」ではなく「規模」で決まる

国の補助金の多くは、対象を「中小企業者」や「小規模事業者」と定めています。この線引きは、資本金の額と常時使用する従業員の数、それに業種で決まります。会社設立のときに株式会社を選んだか合同会社を選んだかは、原則として関係ありません。
つまり、合同会社で会社設立をしたから補助金が受けられない、ということは基本的にありません。逆に、株式会社にしたから通りやすくなることもありません。ここは安心してよい部分です。
補助金の対象を決めているもの
- 1資本金の額(業種ごとに上限が決まっています)
- 2常時使用する従業員の数
- 3業種(製造業・卸売業・小売業・サービス業などで基準が違います)
- 4法人か個人か(法人限定の制度はあります)
注意したいのは、四つ目です。法人であることを条件にする制度はあります。この場合、株式会社でも合同会社でも構いませんが、個人事業のままでは対象外になります。会社設立をするかどうかが分かれ目になる、という形です。
資本金を大きくしすぎると外れることがある
会社設立のときに資本金を大きく見せたくなることがありますが、補助金の側から見ると逆効果になる場合があります。中小企業者の枠から外れると、支援の対象そのものから外れます。会社設立の資本金は、信用と支援の両方を見て決めてください。
出典:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
02会社設立の費用は、形によってはっきり違う

補助金の受けやすさは変わらなくても、会社設立にかかる費用ははっきり違います。ここは支援を待つより先に効く、確実な差です。
ここで言う費用は、法律で決まっている法定費用のことです。専門家に依頼する報酬や、印鑑の作成費用は別に乗ってきます。会社設立の総額を見積もるときは、法定費用と実費・報酬を分けて並べてください。補助金の対象になり得るのは、このうち事業を始めてからの支出です。
株式会社の場合、定款の認証が必要です。認証手数料は資本金の額等が100万円未満なら3万円で、発起人が全員自然人で3名以下、発起設立、取締役会を置かない、という条件をすべて満たすときは1万5千円になります。加えて登録免許税が最低15万円かかります。
合同会社は定款の認証が要りません。登録免許税の最低額も6万円です。どちらも紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款にすればかかりません。

差は10万円強です。補助金を1本取るより確実で、審査もありません。会社設立の直後の手元資金を考えると、この差は小さくありません。
出典:会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026-09-03 確認)
03証明による軽減は、どちらの形でも効く

市区町村の特定創業支援等事業の証明を受けると、会社設立の登記にかかる登録免許税が半額になります。これは株式会社でも合同会社でも同じように効きます。株式会社なら15万円が7万5千円、合同会社なら6万円が3万円です。
割合で見ると同じ半額ですが、金額の差は残ります。合同会社を選び、さらに証明を取ると、会社設立の法定費用は3万円まで下がります。会社設立の入口の費用をできるだけ抑えたい方には、この組み合わせが効きます。
証明は会社設立の前にしか取れない
注意点は時期です。この証明は創業を予定している段階から市区町村の支援を受けて取るもので、会社設立の登記が済んだあとでは間に合いません。会社の形を迷っている段階で、並行して市区町村の窓口に相談しておくと無駄がありません。

出典:産業競争力強化法、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則(中小企業庁/2026-09-03 確認)
04資金調達と信用の面では、差が出ることがある

補助金の要件では差がつかなくても、その周辺では差が出ます。ひとつは取引先の反応です。業種によっては、取引の条件として株式会社であることを求められる場合があります。もうひとつは出資です。合同会社は株式を発行しないため、外部からの出資を受け入れる設計が株式会社ほど整っていません。
融資については、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金のように、法人か個人かを問わず利用できる制度があります。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内です。会社の形で門前払いになるものではありません。
| 場面 | 株式会社と合同会社で差が出るか |
|---|---|
| 国の補助金の対象要件 | ほとんど差はない(規模と業種で決まる) |
| 自治体の創業補助金 | ほとんど差はない(住所地と時期で決まる) |
| 会社設立の法定費用 | 差が出る(10万円強) |
| 外部からの出資 | 差が出る(株式会社のほうが受け入れやすい) |
| 取引先の与信・取引条件 | 業種によって差が出ることがある |
| 融資の可否 | 会社の形では決まらない |
あとから株式会社に変えることもできる
合同会社で会社設立をしておいて、事業が育ってから株式会社へ組織変更する道もあります。手続きと費用はかかりますが、入口の費用を抑えて始めたい場合の選択肢です。補助金の支援を受けながら育てて、必要になった時点で形を変える、という進め方も現実的です。
もうひとつ、金融機関との付き合いの面でも覚えておきたいことがあります。会社設立の直後は決算の実績がないため、どの形で設立していても、審査で見られるのは事業計画と自己資金の準備状況です。会社の形を整えることより、計画の中身を詰めるほうが融資にも補助金にも効きます。
出典:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
05補助金の申請書で会社の形が出てくる場所

実際に補助金を申請するとき、会社の形はどこに出てくるのでしょうか。ほとんどは事実の記載としてで、評価には関わりません。
- 申請者の基本情報(商号・所在地・法人番号)
- 添付する登記事項証明書(会社設立の事実の確認に使われます)
- 決算書(会社設立の直後で決算未了なら、その旨を記載します)
- 役員の情報(合同会社では代表社員・業務執行社員と表記します)
呼び方が違うだけで、求められる中身は同じです。合同会社の場合は「代表取締役」ではなく「代表社員」と書く、といった書き分けが必要になる程度です。
会社設立の直後は、決算書がない
会社設立から一度も決算を迎えていない場合、決算書を出せません。多くの制度では、その場合の代替書類が公募要領に書かれています。開業届や事業計画書、資金繰り表などで代えることが多いので、対象外だと早合点せず、公募要領の「提出書類」の項を確かめてください。
出典:Jグランツ ネットで簡単!補助金申請(デジタル庁/2026-09-03 確認)
06迷ったときの決め方

ここまで見てきたとおり、補助金の受けやすさで会社設立の形を決める理由はほとんどありません。では何で決めるか。事業の側から決めるのが結局いちばん納得がいきます。

判断の材料として、もう一段だけ具体的に考えてみてください。今後3年のあいだに、外部の人にお金を出してもらう場面がありそうか。取引先から会社の形を問われる業界か。この二つに「いいえ」なら、会社設立の入口は合同会社で十分に回ります。「はい」があるなら、株式会社を選んでおくと後の手戻りが減ります。
外部からの出資を予定しているなら株式会社、当面は自己資金と融資で回すなら合同会社、というのがおおまかな線引きです。補助金の支援はどちらでも同じように狙えるので、この判断に補助金を持ち込む必要はありません。
Q. 合同会社だと補助金の審査で不利になりますか。
A. 審査の観点に会社の形は含まれないのが一般的です。不利にはなりません。
Q. 会社設立の直後でも補助金を申請できますか。
A. 登記事項証明書が出せる状態になっていれば申請できる制度が多くあります。決算書がない場合の代替書類は公募要領で確認してください。
Q. 資本金はいくらにすべきですか。
A. 補助金の側からは、中小企業者の枠を超えないことが目安になります。取引や許認可の要件もあるため、両方を見て決めてください。
出典:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁/2026-09-03 確認)
07会社設立の後にかかり続けるお金と、支援の届き方

会社設立の形を比べるとき、入口の費用ばかりが話題になります。ただ実際に効いてくるのは、会社設立のあとに毎年かかり続けるお金のほうです。ここにも形による違いがあり、補助金の支援が届く部分と届かない部分が分かれます。
法人には、赤字であっても納める法人住民税の均等割があります。額は自治体と資本金の規模で決まり、会社の形では変わりません。一方、株式会社には役員の任期があるため、任期が来るたびに役員変更の登記が必要になります。合同会社には任期がないので、この手間と登録免許税がかかりません。
| 続く費用 | 株式会社 | 合同会社 | 支援の届き方 |
|---|---|---|---|
| 法人住民税の均等割 | かかる | かかる | 補助金の対象にはならない |
| 役員変更の登記 | 任期ごとに必要 | 任期がないため原則不要 | 対象にならない |
| 決算公告 | 必要 | 不要 | 対象にならない |
| 税理士などへの報酬 | 業務量による | 業務量による | 制度による |
| 設備・システムの更新 | 業務量による | 業務量による | 補助金の主戦場 |
表のとおり、会社を維持するための固定的な費用に補助金が届くことはまずありません。補助金の支援が向かうのは、事業を前に進めるための投資です。会社設立の形を選ぶときは、補助金で埋められない部分をどれだけ軽くできるかという視点で見ると判断しやすくなります。
会社設立の直後にやることは、形が違っても同じ
届出の面では、株式会社も合同会社も差がありません。税務署へは法人設立届出書を設立の日以後2か月以内に出します。社会保険は、事業所が適用されることになった場合、事実の発生から5日以内に新規適用届を日本年金機構へ提出します。人を雇うなら労働保険の手続きも同じように必要です。
この届出を済ませておかないと、補助金や助成金の申請で求められる書類がそろいません。会社設立の形で迷った時間の分だけ、この作業が後ろにずれます。形の判断は早めに区切って、手続きに入るほうが結果的に支援を受けやすくなります。
出典:C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁/2026-09-03 確認)
08まとめ|補助金では差がつかない。差がつくのは費用と資金調達

会社設立の形は、補助金の受けやすさをほとんど左右しません。対象を決めているのは資本金と従業員数と業種であって、株式会社か合同会社かではないからです。心配して形を変える必要はありません。
この記事の要点
- 1補助金の対象は資本金・従業員数・業種で決まる。会社の形はほぼ関係ない
- 2会社設立の法定費用は形で10万円強の差が出る
- 3特定創業支援等事業の証明による半額は、どちらの形でも効く
- 4外部からの出資を予定するなら株式会社が向く
- 5会社設立の直後で決算書がない場合の代替書類は、公募要領に書かれている
会社設立の形で悩む時間があるなら、その時間を市区町村の窓口への相談や、公募要領の読み込みに回したほうが、受け取れる支援は増えます。金額と要件は執筆時点で確認したものです。制度は変わりますので、申請の前に必ず所管の窓口と最新の資料をご確認ください。
出典:商業・法人登記の申請書様式(法務局/2026-09-03 確認)
形を決めかねている方へ
会社設立の形は、一度決めるとしばらく変えにくい部分です。それだけに慎重になりますが、補助金という切り口ではほとんど差がつかないことは知っておいてください。差がつくのは入口の費用と、資金の集め方です。どちらを重く見るかは事業によって違います。もし判断がつかないときは、会社設立の手続きに詳しい専門家と、補助金の支援に詳しい窓口の両方に聞いてみてください。見ている角度が違うので、二つ聞くと輪郭がはっきりします。
99他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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