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新会社設立の資金計画|自己資金・融資・補助金をどう組み合わせるか

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

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新しく会社設立をするにあたって、いくら用意すればいいのか見当がつかない方に向けた記事です。補助金を当てにしていいのか、融資はいくらまで借りられるのか、自己資金はどれくらい要るのか。三つの役割を分けて考えると、金額の当たりが付けやすくなります。

会社設立の資金計画でつまずくのは、性格の違うお金を一緒に数えてしまうからです。自己資金、融資、補助金。この三つは入ってくる時期も、返す必要の有無も違います。分けて積み上げると、見通しが立ちます。

会社設立の資金を三つに分けた図
会社設立の資金を三つに分けて積んだ図

01三つのお金は、性格がまったく違う

三つのお金は、性格がまったく違う|会社設立の補助金と支援
三つのお金は、性格がまったく違う

会社設立の資金計画を立てるとき、まず押さえておきたいのが三つのお金の性格の違いです。ここを混ぜると、資金繰りの見通しが狂います。

自己資金は、いますぐ使えるお金です。返す必要もありません。ただし金額には限りがあり、使い切ると手元が薄くなります。融資は返す必要がありますが、まとまった額をまとめて用意でき、時期も選べます。

補助金は、返す必要はありませんが後払いです。事業費の全額をいったん自社で払い、実績を報告して確認が済んでから、補助率の分だけ戻ります。会社設立の直後の手元を厚くする性格のものではありません。

三つのお金の性格
自己資金 融資 補助金
いつ使えるか すぐ 申込から実行まで数週間〜 事業を終えたあと
返す必要 なし あり なし
金額の上限 自分の持ち分まで 審査による 制度の上限と補助率まで
確実性 確実 審査による 審査による
会社設立の前に使えるか 使える 相談できる 対象外のことが多い

表を見て分かるとおり、会社設立の直後に頼りになるのは自己資金と融資です。補助金は一番外側に置いて、入れば助かる、入らなくても回る形にしておいてください。

もうひとつ、三つのお金には「調達にかかる時間」という違いもあります。自己資金は自分の判断ですぐ動かせますが、融資は申込から実行まで数週間かかり、補助金は公募の時期に縛られます。会社設立の日程を決めるときは、いちばん時間のかかるものに合わせて逆算してください。

出典J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)

02自己資金は、金額よりも「どう貯めたか」が見られる

自己資金は、金額よりも「どう貯めたか」が見られる|会社設立の補助金と支援
自己資金は、金額よりも「どう貯めたか」が見られる

会社設立の資金のうち、自己資金は単に手元にあるお金という以上の意味を持ちます。融資の審査では、その人の計画性を示す材料として見られるからです。

毎月こつこつ貯めてきたお金と、直前に誰かから振り込まれたお金では、受け取られ方が違います。通帳の履歴でその経緯が見えるためです。会社設立を考え始めた時点から、計画的に準備しておくと審査で説明しやすくなります。

  • 会社設立を決めたら、事業用の準備資金を分けて貯め始める
  • 通帳の履歴が説明できる形にしておく
  • 親族からの援助がある場合は、その旨を正直に伝える
  • 手元をすべて使い切らない。生活資金は別に確保する

最後の一つは見落とされがちです。会社設立の直後は売上が読めません。事業の資金と生活の資金は分けて考えてください。生活が立ち行かなくなると、事業の判断まで狂います。

資本金と自己資金は別のもの

会社設立の資本金は、会社に払い込んだお金です。払い込んだ後は会社のお金になり、事業に使えます。一方、手元に残しておく生活資金は個人のお金です。この区別を最初に付けておかないと、あとで混乱します。

融資の面談では、自己資金の額そのものより、なぜその金額なのかを説明できるかが問われます。会社設立に向けて何年前から準備してきたのか、生活費をどれだけ残しているのか。数字の背景を自分の言葉で言えるようにしておいてください。支援を受ける側としての姿勢が伝わります。

出典START 政策金融公庫の創業支援 Q&A(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

03融資は、会社設立の前から相談できる

融資は、会社設立の前から相談できる|会社設立の補助金と支援
融資は、会社設立の前から相談できる

創業融資は、会社設立の登記が済んでいなくても相談を始められます。事業計画と自己資金の状況が見える形になっていれば、話は進みます。早めに相談しておくと、どのくらい借りられそうかの見当がつき、事業の規模も決めやすくなります。

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内、元金の据置期間は5年以内に設定できます。

据置期間があるのは、会社設立の直後にとって大きな意味を持ちます。売上が立つまでのあいだ、元金の返済を待ってもらえるからです。ただし利息は発生しますので、据置期間中も資金は出ていきます。

融資の相談から実行までの流れ|会社設立の補助金
融資の相談から実行までの流れ

注意したいのは、補助金の採択を前提にした返済計画は好まれないという点です。補助金が入らなくても返せる計画を示すほうが、話は前に進みます。

出典新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

04補助金は、立て替えられる範囲で申請する

補助金は、立て替えられる範囲で申請する|会社設立の補助金と支援
補助金は、立て替えられる範囲で申請する

補助金を資金計画に入れるとき、いちばん大事なのは立て替えの視点です。事業費の全額を自社で払い、後から補助率の分だけ戻ります。手元にその全額を用意できるかが、実際の可否を分けます。

たとえば事業費が150万円、補助率が3分の2の制度なら、いったん150万円を払い、後から100万円が戻る形になります。会社設立の直後にこの150万円を用意できるかどうかを、申請の前に確かめてください。

さらに、対象外と判断された経費が出れば、その分は戻りません。見積もりの段階では通ると思っていたものが、実績報告で落とされることもあります。会社設立の直後は余力が小さいので、戻る額を少なめに見ておくのが安全です。

補助率と上限額は制度と公募回によって異なります。実際の額は必ず最新の公募要領でご確認ください。

立て替えの資金をどこから出すかも、あらかじめ決めておいてください。自己資金を取り崩すのか、融資の枠を残しておくのか。会社設立の直後に急に決めようとすると選択肢が狭まります。申請する前に、資金の出どころまで含めて計画にしておくのが安全です。

なお、補助金の入金は法人名義の口座に振り込まれます。会社設立の直後に口座の開設が遅れていると、支援の申請そのものが進みません。登記が済んだらすぐ動いてください。

出典小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)

05会社設立の費用そのものは、工夫で下げる

会社設立の費用そのものは、工夫で下げる|会社設立の補助金と支援
会社設立の費用そのものは、工夫で下げる

資金計画のうち、会社設立の登記にかかる費用は補助金の対象になりません。ここは工夫で下げる部分です。

株式会社の場合、定款の認証手数料が資本金の額等が100万円未満で3万円。発起人が全員自然人で3名以下、発起設立、取締役会を置かない、をすべて満たすときは1万5千円です。紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款にすればかかりません。登録免許税は最低15万円です。

合同会社なら定款の認証が不要で、登録免許税の最低額は6万円です。さらに市区町村の特定創業支援等事業の証明を受けると、登録免許税が半額になります。株式会社なら7万5千円、合同会社なら3万円です。

会社設立の法定費用は、選び方でここまで変わる|会社設立の補助金
会社設立の形と証明の有無による法定費用の違い

この差は審査なしで確定します。補助金を1本取るより手堅い、と考えてよい部分です。ただし証明は会社設立の前にしか取れませんので、時期には注意してください。

この工夫で浮いた分は、そのまま運転資金に回せます。会社設立の直後の数万円から十数万円は、決して小さくありません。補助金の支援を待つより先に、確実に手元に残る金額を作っておくという考え方です。

出典産業競争力強化法、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則(中小企業庁/2026-09-03 確認)

06月ごとの支出を並べて、必要額を出す

月ごとの支出を並べて、必要額を出す|会社設立の補助金と支援
月ごとの支出を並べて、必要額を出す

必要な資金の額は、月ごとの支出を並べれば出せます。会社設立の直後は売上が読めないので、売上ゼロで何か月耐えられるかという見方をしてください。

月ごとに出ていくお金を並べる|会社設立の補助金
月ごとに出ていくお金の一覧

人を雇う場合は、社会保険料の会社負担分が毎月出ていきます。会社設立の直後で売上が小さくても、この負担は発生します。社会保険については、事業所が適用されることになった場合、事実の発生から5日以内に新規適用届を提出することになります。

法人住民税の均等割は、赤字でもかかります。額は自治体と資本金等の規模で決まります。会社設立の資本金を大きくすると、この固定費も上がることがあります。

六か月ぶんを目安にする

月ごとの支出が出たら、その六か月ぶんを目安に必要額を考えてみてください。事業の内容によって適切な月数は変わりますが、会社設立の直後に売上がすぐ立つ前提で組むのは危険です。

表を作るときは、売上を楽観的に入れないことがこつです。売上をゼロにしたまま、何か月耐えられるかを見る。そのうえで、想定する売上を入れて余裕がどれだけ生まれるかを見る。この二段で見ると、必要な資金の幅がつかめます。

出典C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁/2026-09-03 確認)

07補助金の入金までの期間を、計画に織り込む

補助金の入金までの期間を、計画に織り込む|会社設立の補助金と支援
補助金の入金までの期間を、計画に織り込む

補助金を資金計画に入れるなら、入金までの期間も見込んでおく必要があります。申請から入金まで、半年前後になることも珍しくありません。

公募の締切から採択の発表まで、そこから交付決定まで、事業の実施期間、実績報告から確認まで。それぞれに時間がかかります。デジタル化・AI導入補助金では、事業スケジュールとして締切と交付決定の予定日が公表されており、締切から交付決定まで1か月以上を見込む回もあります。

補助金の入金までに挟まる段階|会社設立の補助金
補助金の入金までに挟まる段階

この期間を融資でつなぐ、というのが現実的な組み立て方です。据置期間を使えば、会社設立の直後の返済負担も抑えられます。補助金が入ったら、その分を繰上返済に回すか、次の投資に充てるかを選べます。

この期間があるからこそ、補助金を資金繰りの柱に置けないわけです。逆に言えば、立て替えの体力さえあれば、補助金は事業を一段押し上げる支援になります。会社設立の直後に無理をするより、体力がついてから狙うという判断も現実的です。

出典事業スケジュール(中小機構/2026-09-03 確認)

08数字を人に見せると、抜けが見つかる

数字を人に見せると、抜けが見つかる|会社設立の補助金と支援
数字を人に見せると、抜けが見つかる

会社設立の資金計画は、一人で作ると必ず偏ります。楽観的になりすぎるか、慎重になりすぎるか。どちらにしても、外から見てもらうと抜けが見つかります。

見てもらう相手は複数いると理想的です。日本政策金融公庫や金融機関は返済の観点から、商工会議所や商工会は事業の観点から、税理士は税と経理の観点から見てくれます。同じ表を見ても、指摘される場所が違います。

  • 金融機関 → 返済の見通し、自己資金の準備の経緯
  • 商工会議所・商工会 → 事業計画との整合、補助金の使いどころ
  • 税理士 → 税と社会保険の負担、決算期の設定
  • 市区町村の窓口 → その地域で使える支援

ここで作った資金繰り表は、補助金の申請でも在留資格の申請でも土台になります。会社設立の準備の早い段階で一度作っておけば、あとは場面ごとに整えるだけで済みます。二度手間にはなりません。

相談はどれも無料で受けられる窓口があります。会社設立の準備で費用がかさむ時期だからこそ、使えるものは使ってください。

出典小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)

09まとめ|三つを分けて積めば、必要額は出る

まとめ|三つを分けて積めば、必要額は出る|会社設立の補助金と支援
まとめ|三つを分けて積めば、必要額は出る

会社設立の資金計画は、性格の違う三つのお金を分けて積むところから始まります。自己資金はすぐ使えるお金、融資は返すお金、補助金は後から戻るお金。混ぜて数えると、必ずどこかで足りなくなります。

この記事の要点

  • 1自己資金・融資・補助金は、入る時期も返す義務も違う
  • 2自己資金は金額だけでなく、貯めてきた経緯が見られる
  • 3融資は会社設立の前から相談できる。据置期間を使える
  • 4補助金は後払い。立て替えられる範囲で申請する
  • 5会社設立の法定費用は補助金ではなく、工夫と証明で下げる

この記事の金額と条件は、執筆時点で一次情報にあたって確認したものです。融資の条件も補助金の要件も変わります。会社設立の資金計画を固める段階では、必ず金融機関と所管の窓口でご確認ください。

出典新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

金額の当たりが付かない方へ

会社設立にいくら必要かという問いに、一般的な答えはありません。事業の内容と規模で変わるからです。ただ、月ごとの支出を並べて六か月ぶんを見るという方法は、どんな事業でも使えます。まずその表を作ってみてください。作ってみると、自分が何を心配していたのかがはっきりします。そのうえで金融機関や商工会議所に見てもらえば、抜けているところを教えてもらえます。

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