不動産会社の設立と宅建業免許を、同じ線の上で進める
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不動産業で会社設立をする方に向けた記事です。会社設立の登記と宅建業免許の申請は別の手続きですが、同じ線の上で進めないと日程が崩れます。そこに支援の準備を重ねる方法を、順番の観点から整理しました。
不動産業では、会社設立の登記が終わってから免許を申請します。免許が下りるまで営業できないので、その期間の資金も要ります。手続きと支援を一枚の予定表に置いてください。

免許の要件が、会社設立の設計を決める

不動産業の会社設立では、免許の要件が先にあります。定款の目的、事務所の場所、人の体制。どれも免許を取れる形にしておく必要があります。
宅地建物取引業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けなければなりません。二以上の都道府県に事務所を置く場合は大臣免許、一の都道府県のみなら知事免許です。
会社設立の定款には、宅地建物取引業を営むことが分かる目的を書いておく必要があります。設立の後に目的を追加すると変更の登記が要るので、最初から入れておいてください。
会社設立の前に決めておくこと
- 1定款の目的に、宅地建物取引業を営む旨を入れる
- 2事務所として使える場所を確保する
- 3事務所ごとに専任の宅地建物取引士を置く体制を作る
- 4営業保証金を供託するか、保証協会に加入するかを決める
四つ目は資金計画に直結します。千葉県が公表している内容によれば、営業保証金は本店1,000万円・支店500万円、保証協会に加入する場合の弁済業務保証金分担金は本店60万円・支店30万円とされています。
定款の目的は、免許権者が見る書類です。書き方に決まった言い回しがあるので、会社設立の前に免許権者の窓口や行政書士に確かめておくと安全です。設立してから書き直すと、変更の登記で費用がかかります。
出典:建設産業・不動産業:宅地建物取引の免許について(国土交通省/2026-09-04 確認)
証明は、会社設立の登記より前に取る

不動産業の会社設立でも、市区町村の特定創業支援等事業の証明は使えます。証明を受けると、会社設立の登記にかかる登録免許税が半額になります。
株式会社なら最低15万円が7万5千円、合同会社なら6万円が3万円です。免許の負担が大きい業種だからこそ、下げられるところは下げておきたいところです。
ただし、この証明は会社設立の登記が済んでからでは取れません。受講の回数や期間が市区町村ごとに定められていて、証明書の発行にも日数がかかります。免許の準備と並行して、1〜3か月前から動いてください。
証明にはもうひとつ効き目があります。無担保・第三者保証人なしの創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できるようになる扱いです。開業前の支出が大きい不動産業では、この点も効きます。
証明を取る過程で受けるセミナーや個別相談も、会社設立の準備として役に立ちます。事業計画の作り方や資金の考え方を無料で相談できる機会です。不動産業は開業前の支出が大きいので、資金計画を見てもらう価値があります。
出典:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁/2026-09-03 確認)
事務所は、免許と支援の両方から選ぶ

宅地建物取引業の免許では、事務所についての要件があります。継続的に業務をおこなえる場所であることが求められ、自宅の一室やバーチャルオフィスでは認められないことがあります。
この要件は支援の面にも関わります。自治体の創業補助金では、事業所の実態を示す書類として賃貸借契約書を求められることがあるためです。免許のために整えた事務所が、そのまま支援の要件を満たすことになります。
会社設立の本店をどこに置くかで、使える自治体の支援も変わります。証明が取れる市区町村かどうか、独自の補助金があるかどうか。免許の要件と支援の対象、両方を満たす場所を選んでください。
契約の名義にも注意が要ります。会社設立の前は法人が存在しないので個人名義で結ぶことになります。設立後に法人名義へ切り替えられるかを、貸主に事前に確かめておいてください。
同じ都道府県内でも、市区町村によって支援の厚みは違います。事務所の候補が複数あるなら、それぞれの市区町村に電話して、証明の可否と独自の補助金の有無を聞いてみてください。三十分ほどで違いが見えてきます。
出典:建設産業・不動産業:宅地建物取引業について(国土交通省/2026-09-04 確認)
登記が終わってからの手続きが続く

会社設立の登記が完了すると、届出と免許の申請が同時に走ります。どちらも期限があるので、順番を決めておいてください。

登記事項証明書は、免許の申請でも法人口座の開設でも補助金の申請でも求められます。登記が完了したら、まず複数通取得しておくと手戻りが減ります。
大臣免許の申請はオンラインでも受け付けられるようになっています。国土交通省が免許申請等のオンライン化について案内していますので、手続きの方法は最新の情報を確かめてください。
都道府県と市区町村への法人設立の届出も必要です。地方税に関するもので、提出先と期限は自治体によって異なります。会社設立の直後は同時に多くの期限が来るので、一覧にして消し込んでいくのが確実です。
出典:C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁/2026-09-03 確認)
免許が下りるまでの期間を、資金で埋める

不動産業では、免許が下りるまで営業を始められません。会社設立の登記が終わっても、その間は売上がゼロのまま家賃や人件費が出ていきます。
この期間の資金は、補助金では埋まりません。補助金は後払いで、事業を終えて報告してから入金されるからです。融資と自己資金で用意することになります。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、元金の据置期間は5年以内に設定できます。据置を使えば、免許が下りるまでの返済負担を抑えられます。
都道府県の制度融資も選択肢です。会社設立の登記が済んでいなくても相談できる制度が多くあります。免許にかかる費用の内訳を示せるようにして、早めに相談してください。
この期間の長さは、免許の区分や申請の状況によって変わります。会社設立の資金計画を立てるときは、免許権者に標準的な処理期間を聞いておいてください。想定より長引くこともあるので、余裕を見ておくのが安全です。
出典:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
補助金の準備は、免許を待たずに始められる

補助金の準備は、免許が下りるのを待つ必要がありません。会社設立の登記が済んだ段階から、土台を作れます。
国の補助金の多くは、電子申請システムのJグランツから申し込みます。GビズIDのアカウントが必要で、書類を郵送する方式では1〜2週間かかることがあります。登記が済んだらすぐ申請しておいてください。
あわせて、記録の仕組みを作っておいてください。売上と経費を月ごとに集計できる形にし、領収書と請求書を整理して保管する。免許を待っている期間にこの作業を済ませておくと、営業が始まってから楽になります。
地域の商工会議所・商工会にも顔を出しておいてください。小規模事業者持続化補助金では、相談と計画書の確認が申請の前提とされています。締切前は混み合うので、早めにつながりを作っておく意味があります。
免許を待っている期間は、事業の準備に充てられる貴重な時間でもあります。事業計画を練り、記録の仕組みを整え、窓口とのつながりを作る。営業が始まってからでは、こうした作業に時間を割けなくなります。
出典:Jグランツ ネットで簡単!補助金申請(デジタル庁/2026-09-03 確認)
人を雇うなら、免許の体制と助成金を同時に見る

不動産業では、事務所ごとに専任の宅地建物取引士を置く必要があります。自分が資格を持っていない場合、採用が免許の要件そのものになります。
人を雇うなら、雇用の助成金も同時に見ておいてください。キャリアアップ助成金では、各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出することが求められます。トライアル雇用助成金の一般トライアルコースは、ハローワーク等の紹介を受けて雇い入れることが前提です。
ただし、免許の要件を満たすための採用は急ぐことが多く、助成金の手順と噛み合わないこともあります。無理に合わせると免許の申請が遅れます。優先するのは免許のほうです。
採用の前に労働保険と社会保険の加入手続きを済ませておく必要もあります。会社設立の直後は期限の短い手続きが重なるので、社会保険労務士に相談する選択も検討してください。
専任の宅地建物取引士を確保できるかどうかは、会社設立の可否そのものに関わります。自分で資格を取るのか、採用するのか。会社設立の計画を立てる段階で決めておいてください。採用にする場合は、その人件費も資金計画に入れる必要があります。
出典:キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)
免許を取った後に、補助金が効いてくる

免許が下りて営業が始まると、ようやく補助金の出番です。不動産業で効きやすいのは、反響を集める仕組みへの投資です。
小規模事業者持続化補助金は、自ら策定した経営計画にもとづく販路開拓等の取組を支援する制度です。ウェブサイト、広告、物件情報の見せ方。こうした支出は販路開拓として説明しやすく、計画書も書きやすい部類です。
創業まもない時期を対象にした創業型もあります。中小企業庁の説明によれば、創業後1年以内の小規模事業者等(創業後、事業開始前の事業者も対象)を対象としています。会社設立の日が要件そのものになる枠です。
Q. 営業保証金は補助金の対象になりますか。
A. なりません。事業を営むための保証であって、事業を伸ばす投資ではないためです。
Q. 免許の申請費用は対象になりますか。
A. 対象外とされるのが一般的です。会社設立の法定費用と同じ扱いです。
Q. 事務所の内装は対象になりますか。
A. 制度によります。公募要領の対象経費の項でご確認ください。
Q. 免許が下りる前に申請できますか。
A. 制度によります。事業を営んでいることが前提の制度もあるので、事務局に確かめてください。
出典:小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)
まとめ|免許を軸に、支援を重ねる

不動産業の会社設立では、免許の要件が全体の設計を決めます。定款の目的、事務所、人の体制、そして保証金。この四つを満たす形を作ってから、支援を重ねてください。
この記事の要点
- 1定款の目的に、宅地建物取引業を営む旨を入れておく
- 2市区町村の証明は会社設立の登記の前にしか取れない
- 3事務所は、免許の要件と自治体の支援の対象を両方満たす場所を選ぶ
- 4免許が下りるまで営業できない。その期間の資金は融資で用意する
- 5補助金の準備は免許を待たずに始められる。GビズIDは早めに取る
この記事の内容は、執筆時点で国土交通省や千葉県などの公表内容にあたって確認したものです。免許の要件や手続きは改正されることがあります。会社設立を進める前に、免許権者の窓口でご確認ください。
出典:宅地建物取引業に係る営業保証金等について(千葉県/2026-09-04 確認)
手続きを始める方へ
不動産業の会社設立は、登記だけで終わりません。免許の申請、保証金の手当て、届出。やることが多く、しかも期限が絡み合います。それでも、免許の要件を先に固めてから会社設立の設計に入るという順番さえ守れば、大きな手戻りは避けられます。市区町村の証明だけは登記の前にしか取れないので、そこだけ忘れずに。免許の細かい要件は、必ず免許権者の窓口で確かめてください。
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