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個人の資産と契約を法人へ移す|会社設立で引き継げるもの・引き継げないもの

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

会社設立を決めて、手元の車や機械や契約をどうするかで止まっている方に向けた記事です。

事業は続いても、人格は変わります。移すには、そのつど手続きが要ります。

法人へ移せるもの・移し方に注意が要るもの
法人へ移せるもの・移し方に注意が要るもの

事業は続くが、人格は変わる

事業は続くが、人格は変わる|会社設立の補助金と支援
事業は続くが、人格は変わる

法人成りをしても、やっている仕事は変わりません。

同じ場所で、同じ客に、同じものを売ります。

ところが、書類の上では別の人格になります。

個人事業主の自分と、会社は別です。

設立の登記が完了すると、法人としての登記事項証明書が取れるようになります。

その時点から、会社は独立した主体として扱われます。

つまり、個人が持っているものを会社が使うには、移すか借りるかの手続きが要るということです。

何もしなければ、会社は何も持っていません。

会社設立の直後に、この整理をしてください。

会社設立の後に補助金を申請するときも、この整理が効いてきます。設備の補助金では、その設備を誰が持っているかが問われます。個人名義のまま会社が使っている状態だと、支援の対象として説明しにくくなります。会社設立の段階で、名義を揃えておいてください。

会社設立をしたのに、実態は個人事業のままという会社があります。口座も契約も個人名義のままで、法人としては何も持っていない。この状態だと、補助金の申請でも融資の相談でも説明に詰まります。会社設立の直後に、移すものを移してください。

出典商業・法人登記申請手続(法務局/2026-09-03 確認)

移し方は、三つある

移し方は、三つある|会社設立の補助金と支援
移し方は、三つある

個人の資産を法人で使うには、大きく三つの方法があります。

  1. 譲渡|個人が会社へ売る。会社は代金を払う
  2. 現物出資|資本金の払込みに代えて、財産を出す
  3. 賃貸|個人が所有したまま、会社へ貸す

譲渡がいちばん分かりやすい形です。

会社設立の直後は現金が細いので、いったん未払いにしておくこともあります。

現物出資は、会社法上の手続きが伴います。

金銭以外の財産を出資する場合は、定款への記載が必要とされています。

賃貸なら、所有権はそのままです。

会社が個人に賃料を払う形になります。

どれを選ぶかで、税の扱いも変わります。

会社設立の直後に手元を厚くしたいなら、賃貸という形も有効です。買い取る現金が要らないためです。補助金は後払いなので、支援が入るまでの資金を残しておく意味があります。

現物出資は、金額が大きいと検査役の調査が問題になることがあります。会社設立の手続きが重くなるので、実務では譲渡や賃貸で済ませることが多くあります。補助金の支援を急ぐなら、手続きの軽い形を選んでください。

出典C1-4 内国普通法人等の設立の届出(国税庁/2026-09-03 確認)

棚卸資産と、固定資産

棚卸資産と、固定資産|会社設立の補助金と支援
棚卸資産と、固定資産

まず、在庫です。

仕入れた商品や材料は、棚卸資産として個人が持っています。

会社設立の日に、そのまま会社の在庫になるわけではありません。

譲渡するなら、その時点の金額で売ることになります。

個人側では、その分が売上として立ちます。

つまり、会社設立をした年の個人の所得が増えるということです。

機械や車両などの固定資産も、同じ考え方です。

帳簿価額で移すのか、時価で移すのかという論点が出てきます。

ここは判断が分かれるところなので、税理士に確かめてください。

自己判断で決めると、後で修正することになります。

会社設立をした年は、個人と法人の両方で数字が動きます。補助金の申請で売上を聞かれたとき、どちらの数字を出すのかを決めておいてください。支援の窓口では、事業の連続性を説明できるかどうかが見られます。

帳簿価額のまま移せば個人側の所得は動きませんが、時価との差が大きいと問題になることもあります。会社設立の年の申告に直結する部分なので、ここは専門家の判断を仰いでください。補助金の支援とは別の論点です。

出典法人税基本通達 第8章第1節 繰延資産の意義及び範囲等(国税庁/2026-09-08 確認)

賃貸借契約は、名義を変える

賃貸借契約は、名義を変える|会社設立の補助金と支援
賃貸借契約は、名義を変える

事務所や店舗を借りているなら、契約の名義が問題になります。

個人名義のままでは、会社が借りていることになりません。

名義を変えるには、貸主の承諾が要ります。

承諾されない場合もあります。

保証会社の審査が入り直すこともあります。

会社設立の前に、貸主へ相談しておいてください。

名義を変えられないなら、個人が借りたまま会社へ転貸するという形もあります。

ただし、転貸も貸主の承諾が要るのが通例です。

本店の所在地は登記事項なので、後から動かすと変更の登記が要ります。

会社設立の前に決めておくのが確実です。

会社設立の後に補助金で店舗を改装する予定があるなら、賃貸借の契約の名義はなおさら重要です。支援の要領では、店舗改装による不動産の効用増加も処分制限財産に該当するとされています。誰の物件を直すのかが問われます。

自宅を事務所にしている場合も、会社との間で賃貸借の形を作ることになります。会社設立の後に家賃を払う形にすると、経費として扱える部分が出てきます。ただし金額の妥当性は問われます。

出典日本での拠点設立方法 Section 1. 登記(日本貿易振興機構(ジェトロ)/2026-09-03 確認)

リースと借入は、相手の判断次第

リースと借入は、相手の判断次第|会社設立の補助金と支援
リースと借入は、相手の判断次第

リース契約も、そのまま移るわけではありません。

リース会社の承諾と、審査が入ることがあります。

会社設立の直後は、法人としての実績がありません。

審査が通らず、個人名義のまま続けることになる場合もあります。

個人で受けている借入も、同じです。

金融機関に相談せずに事業だけ法人へ移すと、契約違反になることがあります。

会社設立を決めたら、まず借入先へ連絡してください。

日本政策金融公庫は創業計画書の様式と記入例を公開しています。

法人として借り直す場合も、この形で説明することになります。

黙って進めるのが、いちばん困る形です。

会社設立の直後に融資を借り直すなら、補助金の計画とあわせて相談してください。支援は後払いなので、つなぎの資金をどうするかまで含めて話が進みます。

個人の借入が残ったまま法人へ事業を移すと、返済の原資をどこから出すかという問題が残ります。会社から役員報酬を取って個人が返す形になりますが、その分だけ会社の負担が増えます。会社設立の資金計画には、この返済も入れてください。

出典創業計画の書き方|START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)

許認可は、原則として取り直し

許認可は、原則として取り直し|会社設立の補助金と支援
許認可は、原則として取り直し

見落とすと事業が止まるのが、許認可です。

個人で取った許可は、原則として法人には引き継がれません。

法人として、あらためて取り直すことになります。

取り直しには審査の期間がかかります。

その間、許可が必要な仕事を受けられない空白が生じます。

建設業では、この空白をなくす仕組みが用意されています。

建設業法第17条の2、第17条の3にもとづく、事業承継および相続の制度です。

令和2年10月1日から新設されたものです。

業種によって扱いが違うので、自分の許認可について所管庁で確かめてください。

会社設立の日程は、許認可の取り直しに引っ張られます。補助金の公募の締切より、こちらのほうが動かせません。支援の暦は後から合わせてください。

許認可の要件には、経営の経験や有資格者の配置が含まれることがあります。個人で満たしていた要件を、法人としても満たせるかを確かめてください。会社設立の役員構成が、そこに関わることもあります。

出典建設産業・不動産業:建設業法(国土交通省/2026-09-08 確認)

建設業の事業承継という仕組み

建設業の事業承継という仕組み|会社設立の補助金と支援
建設業の事業承継という仕組み

建設業の場合を、もう少し詳しく見ます。

改正以前の制度では、事業譲渡・合併・分割をおこなうときには従前の建設業許可を廃業するとともに、新たに建設業許可を新規申請し直す必要があったとされています。

この場合、廃業日から新たな許可日までの間に、軽微な工事以外の工事を請け負うことができない空白期間が生じていたとされています。

本改正により、事業承継をおこなう場合はあらかじめ事前の認可を受けることで、空白期間を生じることなく、承継者が被承継者の建設業者としての地位の全部を承継することが定められたとされています。

事業譲渡の類型には、個人から法人への法人成が含まれるとされています。

申請の受付は、承継予定日の90日前までとされています。標準処理期間も90日です。

認可手続きにおいて、手数料は発生しないとされています。

ただし、認可の審査では承継者が許可要件等を備えていることが必要とされています。

つまり、会社設立の三か月以上前から動く必要があるということです。

許認可のある業種で法人成りするなら、ここがいちばん重い制約になります。

会社設立の三か月前から動くとなると、補助金の公募も一巡します。支援を狙う回を決めてから、逆算してください。

許認可のない業種なら、この制約はありません。会社設立の日程を自由に決められるので、補助金の公募に合わせやすくなります。支援を狙うなら、この差は大きく効きます。

出典事業承継等の事前認可制度(建設業許可の事業承継・相続について)(国土交通省 関東地方整備局/2026-09-08 確認)

移す前に、一覧を作る

移す前に、一覧を作る|会社設立の補助金と支援
移す前に、一覧を作る

会社設立の前に、次を書き出してください。

  • 在庫(種類と概算の金額)
  • 機械・車両・工具(取得の時期と帳簿価額)
  • 事務所・店舗の賃貸借契約(名義と貸主)
  • リース契約(相手と残りの期間)
  • 借入(金融機関と残高)
  • 許認可(種類と所管庁、取り直しにかかる期間)
  • 得意先との契約(名義の変更が要るか)

よろず支援拠点では、こうした整理の相談も無料で受けられます。回数の定めは設けられていません。

Q. 在庫はそのまま会社のものになりますか。

A. なりません。譲渡などの手続きが要ります。個人側では売上が立ちます。

Q. 車はどうしますか。

A. 譲渡・現物出資・賃貸から選びます。名義の変更が要る場合があります。

Q. 事務所の契約は移せますか。

A. 貸主の承諾が要ります。承諾されないこともあります。

Q. 許可は引き継げますか。

A. 原則は取り直しです。建設業には事前認可による承継の制度があります。

Q. 建設業の承継はいつ申請しますか。

A. 承継予定日の90日前までとされています。標準処理期間も90日です。

この一覧は、会社設立の後の補助金の申請でもそのまま使えます。支援の相談に持ち込むと、話が早く進みます。

出典よろず支援拠点(中小機構 よろず支援拠点全国本部/2026-09-05 確認)

まとめ|移せるものと、相手が要るもの

まとめ|移せるものと、相手が要るもの|会社設立の補助金と支援
まとめ|移せるものと、相手が要るもの

法人成りでは、持ち物と契約をひとつずつ移していくことになります。

この記事の要点

  • 1資産の移し方は、譲渡・現物出資・賃貸の三つ
  • 2在庫や固定資産を譲渡すると、個人側にその分の売上が立つ
  • 3賃貸借契約・リース・借入は、相手の承諾や審査が要る
  • 4許認可は原則として法人で取り直し。空白期間が生じる
  • 5建設業には事前認可による承継の制度がある。申請は承継予定日の90日前まで

移し忘れが一つあると、会社設立の後に思わぬところで止まります。一覧を作る手間を惜しまないでください。

支援の情報は、J-Net21のようなサイトからも探せます。会社設立の準備とあわせて見ておいてください。

この記事は2026年9月時点で国土交通省、国税庁、法務局の公表内容にあたって確認した内容です。扱いは契約と制度で変わります。必ず相手方および所管庁にご確認ください。

出典J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)

登記の日を決める前に

法人成りは、登記さえすれば終わりだと思われがちです。ところが実際には、そこから持ち物と契約を移す作業が始まります。しかも、相手の承諾が要るものほど時間がかかります。貸主、リース会社、金融機関、所管庁。建設業なら、承継の認可は90日前までの申請です。会社設立の日を決める前に、一覧を作って、時間のかかるものから連絡を始めてください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。

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