旅行会社の営業保証金|協会に入ると五分の一になる仕組み
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旅行会社の設立で、供託する額の大きさに驚いた方に向けた記事です。
営業保証金は五分の一にできます。旅行業協会に入るという道があります。

営業保証金は、旅行者を守るための制度

旅行会社の設立で最初に驚くのが、営業保証金の額です。
観光庁の資料では、旅行業者や旅行業代理業者と旅行業務に関し取引をした旅行者の保護を図るため、旅行業法は旅行業者に一定の金額を営業保証金として供託することを義務付けているとされています。
旅行者は、旅行業者の債務不履行の際に、その旅行業者が供託している営業保証金から旅行代金等の範囲内で弁済を受けることが可能とされています。
つまり、旅行者を守るためのお金です。
会社設立をする側から見れば、事業に使えない資金を預けることになります。
弁済請求額の合計が営業保証金額を超える場合は、その範囲内で請求額に応じて按分されるとされています。
制度の趣旨としては、筋が通っています。
ただ、旅行会社の設立をする側には重い負担になります。
そこで用意されているのが、次の仕組みです。
会社設立の資金計画では、この供託の額を必ず別枠で見てください。事業に使えないお金だからです。補助金の支援を当てにしても、この部分は埋まりません。
会社設立の直後は取引額が小さいので、供託する額も最も低い区分になります。そこは救いです。
会社設立をして旅行業を営むということは、他人の旅行代金を預かるということでもあります。前払いで受け取り、後から手配する。その構造がある以上、旅行者を守る仕組みが要ります。会社設立の側から見れば重い負担ですが、業界の信用を支えているのはこの制度です。
出典:営業保証金制度の概要(観光庁/2026-09-09 確認)
協会に入ると、五分の一になる

旅行業協会には、別の制度があります。
観光庁の説明では、旅行業協会が実施する弁済業務保証金制度は、旅行業協会の所属社員である旅行業者が本来の営業保証金の五分の一に当たる額の弁済業務保証金分担金を納付し、旅行業協会がこの分担金を一元的に弁済業務保証金として供託することで、所属社員相互で本来の営業保証金に相当する額を連帯保証させるというものとされています。
つまり、協会に入れば納める額が五分の一で済むということです。
取引額400万円未満の場合、第一種は7,000万円が1,400万円になります。
第二種は1,100万円が220万円、第三種は300万円が60万円です。
地域限定は15万円が3万円になります。
旅行会社の設立では、この差が資金計画を大きく変えます。
会社設立の直後に用意できる額かどうかを、ここで判断してください。
協会は、日本旅行業協会と全国旅行業協会が挙げられています。
会社設立の資本金を決めるとき、この五分の一という差を織り込んでください。用意する額がまったく変わります。支援の制度をいくら調べても、ここまでの差は生まれません。
会社設立の準備の段階で、協会の入会条件も聞いておいてください。
出典:営業保証金制度の概要(観光庁/2026-09-09 確認)
取引額が増えると、額も上がる

営業保証金の額は、固定ではありません。
前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額によって変わります。
たとえば地域限定旅行業では、取引額400万円未満なら15万円ですが、5,000万円未満になると100万円です。
2億円未満では300万円になります。
第三種でも、2億円以上4億円未満で450万円、4億円以上7億円未満で750万円と上がっていきます。
つまり、事業が伸びるほど供託する額も増えるということです。
旅行会社の設立の直後は取引額が小さいので、負担も軽くなります。
ただ、数年後に売上が伸びたときの負担も見込んでおいてください。
会社設立の資金計画では、この先の増加も想定に入れる必要があります。
会社設立から数年で売上が伸びると、供託の額も上がります。補助金の支援で設備を入れて事業が伸びたら、その分の資金も要るということです。
取引額の区分は細かく刻まれています。会社設立から順調に伸びていけば、数年ごとに段が上がっていくことになります。売上が増えた翌年に供託の追加が必要になるので、資金繰りの計画に入れておいてください。
出典:営業保証金制度の概要(観光庁/2026-09-09 確認)
取引額は、毎年報告する義務がある

取引額は、自己申告ではありません。
旅行業法第十条は、旅行業者は毎事業年度終了後百日以内に、その事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額を報告しなければならないと定めています。
つまり、毎年の決算の後に報告する義務があるということです。
その報告にもとづいて、翌年の営業保証金の額が決まります。
旅行会社の設立をしたら、この期限を毎年の予定に入れてください。
決算から100日というのは、決算の作業が終わってすぐの時期です。
忘れると、行政上の問題になります。
会社設立の後に続く義務として、覚えておいてください。
補助金の実績報告とは別の話ですが、期限を管理する習慣は共通します。
会社設立の後は、決算、取引額の報告、補助金の実績報告と期限が並びます。一覧にして管理してください。
出典:旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)
基準資産額の計算にも、関わってくる

営業保証金は、基準資産額の計算にも関わります。
旅行業法施行規則第四条では、基準資産額は資産の総額から負債の総額および営業保証金の額に相当する金額を控除した額とされています。
ただし、新規登録の申請で保証社員となることが確実であるときは、弁済業務保証金分担金の額を控除するとされています。
つまり、協会に入ると控除される額も小さくなるということです。
納める額が減り、そのうえ基準資産額の計算でも有利になります。
旅行会社の設立では、この二重の効果が効いてきます。
たとえば第三種なら、営業保証金300万円が分担金60万円になります。
控除される額が240万円減るので、基準資産額の要件も満たしやすくなります。
会社設立の資本金を決めるときは、この計算を先にしてください。
会社設立の資本金をいくらにするかは、この計算の結果で決まります。補助金の要件で見られる資本金の額とも、あわせて考えてください。
控除の仕組みを知らずに会社設立の資本金を決めると、登録の段階で足りないことが分かります。増資には手続きと費用がかかるので、最初から計算しておくほうが得です。
出典:旅行業法施行規則(昭和四十六年運輸省令第六十一号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)
協会に入るかどうかを、どう決めるか

協会に入るかどうかは、金額だけの話ではありません。
会費や、協会の求める運営の水準もあります。
一方で、旅行業協会は業界の情報が集まる場でもあります。
旅行業務取扱管理者の定期研修も、旅行業協会が実施するとされています。
つまり、いずれ関わることになる相手です。
旅行会社の設立の直後は、つながりが少ない時期です。
業界の団体に入ることで、情報も人も入ってきます。
会社設立の準備の段階で、両方の協会に話を聞いてみてください。
供託する額の差だけで決めるのは、もったいない判断です。
会社設立の直後は、業界の情報が入ってきません。協会は、その入口の一つになります。補助金や支援の情報も、そこで回ってくることがあります。
出典:旅行業法(観光庁/2026-09-09 確認)
供託の資金は、どう用意するか

供託する資金の用意を考えます。
補助金は後払いなので、この用途には使えません。
自己資金か、融資で用意することになります。
経済産業省の案内では、創業関連保証は事業を営む前であっても利用可能な制度とされています。
信用保証協会による100パーセント保証で、最大3,500万円の資金調達が可能とされています。
担保は無担保、保証料率は各信用保証協会所定です。
つまり、旅行会社の設立の前から資金の相談ができるということです。
ただし、供託した資金は事業に使えません。
運転資金とは別に用意する必要があります。
会社設立の前から融資の相談ができるのは、大きい利点です。補助金の支援は登録が下りて事業を始めてからになります。
供託した資金は、事業を続ける限り預けたままになります。会社設立の資金計画では、この拘束される部分と、動かせる運転資金を分けて考えてください。
出典:創業期に利用可能な信用保証制度について(経済産業省/2026-09-08 確認)
必要な資金を、一枚に並べる

旅行会社の設立で必要な資金を、層に分けて出してください。
- 会社設立の費用(定款の認証・登録免許税・報酬)
- 基準資産額を満たすための資産
- 営業保証金または弁済業務保証金分担金
- 事務所と設備の費用
- 開業から入金までの運転資金
- その間の生活費
日本政策金融公庫は創業計画書の様式と記入例を公開しています。必要な資金と調達の方法を書く欄があるので、そこに落とし込んでください。
Q. 営業保証金はいくらですか。
A. 取引額400万円未満なら第一種7,000万円、第二種1,100万円、第三種300万円、地域限定15万円です。
Q. 協会に入ると変わりますか。
A. 本来の営業保証金の五分の一に当たる弁済業務保証金分担金の納付になります。
Q. 額は毎年変わりますか。
A. 前事業年度の取引の額によって変わります。取引額は毎事業年度終了後百日以内に報告します。
Q. 基準資産額にも影響しますか。
A. 基準資産額の計算で営業保証金の額が控除されます。保証社員なら分担金の額になります。
Q. 補助金で用意できますか。
A. 補助金は後払いなので使えません。自己資金か融資で用意してください。
会社設立の費用そのものも、市区町村の証明で登録免許税が半分になる場合があります。支援を取りこぼさないでください。
出典:創業計画の書き方|START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)
まとめ|五分の一という差は大きい

旅行会社の設立では、供託の額が資金計画を左右します。
この記事の要点
- 1営業保証金は、旅行者の保護を図るために供託が義務付けられている
- 2取引額400万円未満なら第一種7,000万円、第二種1,100万円、第三種300万円、地域限定15万円
- 3旅行業協会の所属社員は、本来の営業保証金の五分の一に当たる分担金を納付する
- 4額は前事業年度の取引の額で変わる。取引額は毎事業年度終了後百日以内に報告する
- 5基準資産額の計算でも、営業保証金(保証社員なら分担金)の額が控除される
会社設立の資金の山は、この供託の部分にあります。ここを越えれば、あとは事業の話です。補助金の支援も、そこから使えるようになります。
制度を横断して探すなら、J-Net21のような支援情報のサイトも使えます。旅行業の登録とあわせて見てください。
この記事は2026年9月時点で観光庁、旅行業法、旅行業法施行規則、経済産業省の公表内容にあたって確認した内容です。額は改定されることがあります。必ず観光庁と登録行政庁でご確認ください。
出典:J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)
供託の額を見て諦めかけた方へ
旅行会社の設立を調べて、営業保証金の額に驚いた方は多いはずです。第二種で1,100万円。とても用意できないと感じます。ただ、旅行業協会に入れば五分の一になります。220万円なら、見え方が変わるはずです。しかも基準資産額の計算でも有利になります。数字だけで諦める前に、この仕組みを確かめてください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。
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旅行業の四つの登録区分と業務範囲の違いを整理した解説ページ。
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旅行業登録の要件と種別を、申請サポートの立場から整理したページ。
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旅行業に必要な基準資産額の計算方法と、足りないときの対処を解説した記事。
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旅行業登録の要件・必要書類・手続きの流れをまとめた行政書士事務所の解説。
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旅行業登録で求められる基準資産額の考え方と確認方法をまとめたページ。
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