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不動産会社設立の資金計画|免許の負担を織り込んで組み立てる

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

不動産業で会社設立をするにあたって、いくら用意すればいいのか見当がつかない方に向けた記事です。免許の負担と、営業できない期間の運転資金。この二つが他の業種と違う点です。組み立て方を順に示します。

不動産業の資金計画は、会社設立の費用だけでは終わりません。免許に伴う負担があり、免許が下りるまで営業できない期間もあります。順番に積み上げていきます。

不動産会社設立で積み上げる資金
不動産会社設立で積み上げる資金の例

四つの層に分けて積み上げる

四つの層に分けて積み上げる|会社設立の補助金と支援
四つの層に分けて積み上げる

不動産業の会社設立で必要な資金は、四つの層に分かれます。会社設立の法定費用、免許に伴う負担、事務所と設備の準備、そして営業できない期間の運転資金です。

これをまとめて「開業資金」として考えると、どこを削れるのかが見えなくなります。層ごとに性格が違い、効く手段も違うからです。

四つの層と、効く手段
中身 効く手段
会社設立の法定費用 登録免許税・定款認証手数料 市区町村の証明、電子定款、会社の形
免許に伴う負担 営業保証金または分担金、申請費用 保証協会を選ぶ。補助金は届かない
事務所と設備 賃料・内装・什器 融資。制度によっては補助金も
運転資金 免許が下りるまでの家賃・人件費 融資と自己資金

補助金が届くのは、この四つの層のうち三つ目の一部と、営業が始まってからの投資です。会社設立の資金そのものを補助金で賄うことはできません。

この表は、融資の相談でも支援の申請でもそのまま使えます。会社設立の準備の早い段階で一度作っておけば、あとは場面ごとに整えるだけで済みます。二度手間にはなりません。

出典J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)

免許に伴う負担を、先に確定させる

免許に伴う負担を、先に確定させる|会社設立の補助金と支援
免許に伴う負担を、先に確定させる

四つの層のうち、金額の幅がいちばん大きいのが免許に伴う負担です。ここを先に決めないと、資金計画が立ちません。

千葉県が公表している内容によれば、営業保証金は本店1,000万円・支店500万円です。保証協会に加入する場合の弁済業務保証金分担金は、本店60万円・支店30万円とされています。

会社設立の直後に1,000万円を供託できる方は限られます。多くの場合、保証協会に加入する道を選ぶことになります。分担金のほかに入会金や年会費といった費用がかかるので、それも見込んでください。

免許を受けた日から3か月以内に、免許権者へ営業保証金の供託をおこなった旨の届出をしなければならないとされています。資金の手当てが間に合わないと営業を始められません。

保証協会への費用は協会と地域によって異なります。会社設立の計画を立てる段階で、加入を予定する協会に確かめてください。

どちらを選ぶかで、会社設立の資金計画がまったく変わります。供託を選ぶなら1,000万円を用意する必要があり、その分だけ他に回せる資金が減ります。保証協会に加入するなら負担は軽くなりますが、継続的な費用が発生します。

この選択は免許の申請より前に決めておく必要があります。会社設立の計画を立てる段階で、加入を予定する協会に相談しておいてください。

出典宅地建物取引業に係る営業保証金等について(千葉県/2026-09-04 確認)

営業できない期間の運転資金を見込む

営業できない期間の運転資金を見込む|会社設立の補助金と支援
営業できない期間の運転資金を見込む

不動産業に特有なのが、この層です。会社設立の登記が終わっても、免許が下りるまで営業できません。その間も事務所の家賃や人件費は出ていきます。

免許の申請から交付までの期間は、免許の区分や申請の状況によって変わります。会社設立の資金計画を立てるときは、免許権者に標準的な処理期間を聞いておいてください。

さらに、免許が下りても、すぐに売上が立つわけではありません。反響が入り、内見があり、契約に至るまでには時間がかかります。営業開始からの数か月も、売上が読めない期間として見込んでおいてください。

月ごとに出ていくお金を並べる|会社設立の補助金
月ごとに出ていくお金の一覧

表ができたら、売上をゼロにしたまま何か月耐えられるかを見ます。不動産業では、他の業種より長めに見ておくのが安全です。

この期間は、支援の準備に充てられる時間でもあります。GビズIDを取り、商工会議所に顔を出し、記録の仕組みを整える。営業が始まってからでは、こうした作業に時間を割けなくなります。

出典建設産業・不動産業:宅地建物取引の免許について(国土交通省/2026-09-04 確認)

融資で土台を作る

融資で土台を作る|会社設立の補助金と支援
融資で土台を作る

免許の負担も運転資金も、補助金では埋まりません。補助金は後払いで、事業を終えて報告してから入金されるからです。土台は融資と自己資金で作ります。

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象です。融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内、元金の据置期間は5年以内に設定できます。

据置期間があるのは、免許が下りるまで営業できない不動産業にとって大きな意味を持ちます。売上が立つまでのあいだ、元金の返済を待ってもらえるからです。ただし利息は発生します。

都道府県の制度融資も選択肢です。会社設立の登記が済んでいなくても相談できる制度が多くあります。免許にかかる費用の内訳を示せるようにして、早めに相談してください。

融資の相談では、免許にかかる費用の内訳も示せるようにしておいてください。営業保証金か分担金か、保証協会への費用はいくらか。数字が具体的だと、資金の使いみちが伝わりやすくなります。

出典新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

自己資金の見せ方が、審査に効く

自己資金の見せ方が、審査に効く|会社設立の補助金と支援
自己資金の見せ方が、審査に効く

会社設立の直後は実績がありません。融資の審査では、事業計画と自己資金の準備状況が見られます。

自己資金については、金額そのものより、その原資がどこから来たのかが見られます。毎月こつこつ貯めてきたお金と、直前に誰かから振り込まれたお金では、受け取られ方が違うからです。

  • 会社設立を決めたら、事業用の準備資金を分けて貯め始める
  • 通帳の履歴が説明できる形にしておく
  • 親族からの援助がある場合は、その旨を正直に伝える
  • 手元をすべて使い切らない。生活資金は別に確保する

不動産業の場合、前職での経験も強い材料になります。どの分野で何年やってきたか、どんな顧客層に接してきたか。実績のない時期は、人そのものが判断の材料になります。

補助金の採択を前提にした返済計画は好まれません。補助金が入らなくても返せる計画を示すほうが、話は前に進みます。

面談では、なぜこの事業をやるのかも聞かれます。会社設立に至った経緯や、前職での経験。数字だけでなく、この部分も準備しておいてください。

出典START 政策金融公庫の創業支援 Q&A(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

下げられるところは、確実に下げる

下げられるところは、確実に下げる|会社設立の補助金と支援
下げられるところは、確実に下げる

免許の負担は下げようがありませんが、会社設立の法定費用は工夫で下がります。ここは確実に効く部分です。

市区町村の特定創業支援等事業の証明を受けると、会社設立の登記にかかる登録免許税が半額になります。株式会社なら最低15万円が7万5千円、合同会社なら6万円が3万円です。

紙の定款には収入印紙4万円が必要ですが、電子定款にすればかかりません。株式会社の定款認証手数料は、資本金の額等が100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、300万円以上で5万円です。

証明にはもうひとつ効き目があります。無担保・第三者保証人なしの創業関連保証を、事業開始の6か月前から利用できるようになる扱いです。開業前の支出が大きい不動産業では、この点も効きます。

ただし、この証明は会社設立の登記の前にしか取れません。免許の準備と並行して、1〜3か月前から動いてください。

会社設立の法定費用で浮いた分は、そのまま運転資金に回せます。免許の負担が大きい業種だからこそ、確実に効く支援は使い切ってください。市区町村の窓口は無料で相談できます。

出典産業競争力強化法、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則(中小企業庁/2026-09-03 確認)

補助金の立て替え分を、残しておく

補助金の立て替え分を、残しておく|会社設立の補助金と支援
補助金の立て替え分を、残しておく

会社設立の資金を免許の手当てで使い切ってしまうと、補助金を狙う余力がなくなります。補助金は後払いで、事業費の全額をいったん自社で払う必要があるからです。

営業が始まったら、反響を集める投資が必要になります。ウェブサイト、広告、物件情報の見せ方。この部分は補助金の対象になりやすいのですが、立て替えができないと申請しても実施できません。

資金計画の段階で、この分を確保しておいてください。融資の枠を少し残しておくという形でも構いません。

小規模事業者持続化補助金は、自ら策定した経営計画にもとづく販路開拓等の取組を支援する制度で、地域の商工会議所・商工会への相談と計画書の確認が必須とされています。会社設立の直後から相談の窓口を持っておくと動きやすくなります。

自治体の創業補助金にも、対象の期間があります。創業から5年以内といった区切りのものが多いので、免許の手続きに時間をかけていても、まだ間に合うことがあります。市区町村の産業振興の担当課で確かめてください。

出典小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)

数字を人に見せて、抜けを見つける

数字を人に見せて、抜けを見つける|会社設立の補助金と支援
数字を人に見せて、抜けを見つける

不動産業の資金計画は、金額が大きいぶん見落としも大きくなります。一人で作らず、複数の相手に見てもらってください。

Q. いくらあれば会社設立できますか。

A. 事業の規模と免許の選択で変わります。四つの層に分けて積み上げてから、金融機関に相談してください。

Q. 営業保証金は融資で用意できますか。

A. 資金の使いみちとして相談することになります。金融機関に確かめてください。

Q. 補助金で開業資金を賄えますか。

A. できません。補助金は後払いで、会社設立や免許の費用は対象外です。

Q. 免許が下りるまで何か月見ればいいですか。

A. 免許の区分と申請の状況で変わります。免許権者に標準的な処理期間を聞いてください。

Q. 資本金はいくらにすべきですか。

A. 信用、補助金の枠、消費税の扱いを並べて決めてください。税理士と支援の窓口の両方に相談すると判断しやすくなります。

見てもらう相手は、金融機関、商工会議所、税理士。それぞれ見る角度が違うので、指摘される場所も変わります。会社設立の前に、この作業を済ませておいてください。

出典小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)

まとめ|四つの層を積んで、融資で土台を作る

まとめ|四つの層を積んで、融資で土台を作る|会社設立の補助金と支援
まとめ|四つの層を積んで、融資で土台を作る

不動産業の会社設立は、免許の負担と営業できない期間があるぶん、他の業種より資金が要ります。四つの層に分けて積み上げ、融資と自己資金で土台を作ってください。

この記事の要点

  • 1会社設立の費用・免許の負担・事務所の準備・運転資金の四層に分ける
  • 2営業保証金は本店1,000万円・支店500万円。保証協会なら分担金が本店60万円・支店30万円
  • 3免許を受けた日から3か月以内に供託等の届出が必要
  • 4免許が下りるまで営業できない。その期間の運転資金を見込む
  • 5補助金の立て替え分を、資金計画に残しておく

この記事の金額は、執筆時点で国土交通省や千葉県、日本政策金融公庫などの公表内容にあたって確認したものです。制度の要件や金額は改正されることがあります。会社設立を進める前に、免許権者と金融機関にご確認ください。

出典建設産業・不動産業:宅地建物取引業について(国土交通省/2026-09-04 確認)

金額の当たりが付かない方へ

不動産業の会社設立にいくら必要かは、免許の選択と事務所の規模で大きく変わります。ただ、四つの層に分けて積み上げるという方法はどの事業でも使えます。まずその表を作ってみてください。作ってみると、免許の負担がどれだけ重いか、運転資金をどれだけ見るべきかがはっきりします。そのうえで金融機関に相談すれば、現実的な金額が見えてきます。

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