外国人が日本で会社設立するときの補助金と支援|在留資格を先に固める
この記事を読んでほしい方
日本で暮らす外国籍の方、あるいはこれから来日して事業を始めたい方で、会社設立と補助金の両方を考えている方に向けた記事です。結論を先に書くと、補助金より在留資格のほうを先に固めてください。順番を逆にすると、会社設立まで進んでも事業を続けられなくなることがあります。
外国籍の方の会社設立は、日本人の場合と手続き自体はほとんど同じです。違うのは、その前後に在留資格という条件がかぶさる点です。補助金や支援を調べる前に、まずこの土台を確かめてください。

01補助金より先に、在留資格の要件を確かめる

外国籍の方が日本で会社を経営するには、それを認める在留資格が要ります。代表的なのが「経営・管理」です。この資格の要件を満たせるかどうかが、会社設立の計画全体を左右します。
順番を間違えると、こうなります。先に会社設立の登記を済ませ、補助金の情報も集めた。ところが在留資格の要件を満たせず、事業を続けられない。会社設立にかけた費用も、補助金の準備にかけた時間も戻ってきません。
最初に確かめる三つ
- 1いま持っている在留資格で、会社の経営ができるか
- 2「経営・管理」に変更する場合、その要件を満たせるか
- 3満たせない場合、いつまでにどこを埋めるか
永住者や日本人の配偶者等の在留資格をお持ちであれば、活動に制限がないため、日本人と同じように会社設立を進められます。この場合は補助金の話にそのまま入って構いません。制限のある在留資格の方が、この記事の中心になります。
迷ったら公的な窓口へ
在留資格の判断は個別性が高く、記事で断定できるものではありません。出入国在留管理庁が運営する外国人在留支援センターでは、在留資格の変更や更新について相談できる窓口が設けられています。会社設立を具体的に進める前に、一度確かめてください。
出典:在留資格「経営・管理」(出入国在留管理庁/2026-09-03 確認)
02「経営・管理」の要件は、令和7年10月に大きく変わった

ここは特に注意が必要です。在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等が改正され、令和7年10月16日から施行されています。数年前の解説記事に書かれている要件は、そのまま当てはまりません。
出入国在留管理庁が公表している改正後の内容によれば、資本金または出資の総額が3,000万円以上であること、1人以上の常勤職員を雇用すること、経営に関する学位または3年以上の事業経営管理の経験があること、申請者または常勤職員のいずれかが相当程度の日本語能力を有すること、そして事業計画書について経営に関する専門的な知識を有する者の確認を受けることが求められます。

会社設立の資本金を3,000万円用意するというのは、決して小さな話ではありません。この金額が、事業計画そのものの規模を決めることになります。補助金でこの金額を賄うことはできませんので、資本金の準備は別に考えてください。
出典:在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について(出入国在留管理庁/2026-09-03 確認)
03会社設立の手続き自体は、日本人と同じ

在留資格の話が重いので誤解されやすいのですが、会社設立の登記そのものは日本人の場合と同じ手続きです。定款を作り、資本金を払い込み、法務局へ設立登記を申請します。
株式会社なら定款の認証が必要で、認証手数料は資本金の額等が100万円未満で3万円です。登録免許税は最低15万円。合同会社なら定款の認証は不要で、登録免許税の最低額は6万円です。紙の定款には収入印紙4万円がかかりますが、電子定款なら不要です。この構造は国籍に関係ありません。
| 手続き | 確認すること |
|---|---|
| 定款の作成 | 発起人の氏名・住所の表記。母国語の書類には訳文が要ることがある |
| 印鑑証明書 | 本国の制度によっては、代わりにサイン証明が必要になる |
| 資本金の払込み | 日本国内の口座が要る。口座がない段階での払込みの方法を確認する |
| 本店所在地 | 独立した事業所の実態が求められる(在留資格の要件にも関わる) |
| 設立登記の申請 | 法務局へ。書類は日本語で作成する |
表のうち、印鑑証明書と資本金の払込みは、外国籍の方が実際につまずきやすいところです。日本の印鑑登録制度に相当するものが本国にない場合、大使館や領事館でサイン証明を取ることになります。
ジェトロは、外国企業が日本で拠点を設ける方法について、登記を含む手続きの解説を公表しています。会社設立の全体像をつかむには、こうした公的な資料から入るのが確実です。
出典:日本での拠点設立方法 Section 1. 登記(日本貿易振興機構(ジェトロ)/2026-09-03 確認)
04補助金の要件に、国籍の条件はほとんどない

ここは安心してよい部分です。国の補助金の多くは、対象を「中小企業者」や「小規模事業者」と定めています。線引きは資本金の額、常時使用する従業員の数、業種で決まり、代表者の国籍を条件にしている制度はほとんどありません。
つまり、日本で会社設立をして法人になっていれば、外国籍の方が代表であっても補助金の対象になり得ます。会社設立の形(株式会社か合同会社か)で差がつかないのと同じです。
- 補助金の対象は、資本金・従業員数・業種で決まる
- 日本国内に事業所があり、法人として活動していることが前提
- 申請書類は日本語で作成する必要がある
- 自治体の支援は、住所地が対象地域内であることが条件になる
ただし、資本金3,000万円という在留資格の要件との兼ね合いには注意が要ります。補助金の制度によっては、中小企業者の枠を資本金の額で区切っています。3,000万円という金額が、狙う制度の枠に収まるかどうかを確かめてください。
申請書は日本語で書く
実務でいちばん効いてくるのがこれです。公募要領も申請様式も日本語で、事業計画書も日本語で書く必要があります。会社設立の直後に日本語で数十ページを読み書きするのは負担が大きいので、支援してくれる人を早めに見つけておくと進みます。
実務でもうひとつ効いてくるのが、法人としての活動の記録です。会社設立の登記だけ済ませて事業が動いていない状態では、申請しても評価されません。契約書、請求書、問い合わせの記録。売上がまだ小さくても、事業を進めている形跡が残っていることが大事です。
出典:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
05外国籍の方が使える相談窓口

会社設立と在留資格と補助金。この三つをひとりで抱えると行き詰まります。公的な相談窓口をうまく使ってください。
| 聞きたいこと | 相談先 |
|---|---|
| 在留資格の変更・更新 | 出入国在留管理庁、外国人在留支援センター |
| 日本での拠点設立の方法 | ジェトロの対日投資の窓口 |
| 会社設立の登記の手続き | 法務局、司法書士 |
| その地域で使える創業支援 | 市区町村の産業振興の担当課 |
| 補助金の相談・計画書の確認 | 商工会議所・商工会 |
| 創業融資 | 日本政策金融公庫、地域の金融機関 |
外国人在留支援センターは、在留資格についての相談窓口が集まった施設です。受付には日本語・英語・中国語を話せる職員がおり、タブレットを使って多言語で案内する仕組みも用意されています。
ジェトロは、外国・外資系企業への支援サービスとして、東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・福岡に対日投資の相談拠点を設けています。会社設立の手続きに関するパンフレットも複数の言語で公開されています。
出典:外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)(出入国在留管理庁/2026-09-03 確認)
06自治体の創業支援も、住所地で決まる

市区町村の創業支援も、外国籍であることを理由に対象外にする制度はほとんどありません。条件になるのは住所地です。どこで会社設立をするかで、使える支援が決まります。
特に押さえておきたいのが特定創業支援等事業の証明です。国の認定を受けた市区町村が創業予定者に継続的な支援をおこない、その証明を受けると、会社設立の登記にかかる登録免許税が半額になります。株式会社なら15万円が7万5千円、合同会社なら6万円が3万円です。
外国籍の方の場合、この証明を取るためのセミナーや個別相談が日本語でおこなわれることが一般的です。日本語に不安がある場合は、通訳を同席させられるか、あるいは多言語の対応があるかを、市区町村の窓口に事前に確かめてください。
会社設立の場所は、二重の意味で重い
外国籍の方にとって、会社設立の場所は二重の意味を持ちます。ひとつは自治体の支援の対象になるかどうか。もうひとつは、在留資格の要件である「独立した事業所」を確保できるかどうかです。この二つを同時に満たす場所を選ぶ必要があります。
自宅の一室やバーチャルオフィスは、在留資格の審査で事業所の実態を認められないことがあります。自治体の支援でも同じ理由で対象外になることがあるので、会社設立の場所は慎重に決めてください。
自治体によっては、外国籍の方の起業を後押しする独自の取り組みを持っているところもあります。多言語の相談窓口や、通訳を交えた個別相談などです。会社設立の場所を決めるときは、支援の額だけでなく、こうした相談のしやすさも見ておくと進めやすくなります。
出典:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁/2026-09-03 確認)
07資金の準備は、補助金では埋まらない

在留資格の要件である資本金3,000万円を、補助金で用意することはできません。補助金は事業を始めたあとの投資に対する後払いの支援であって、会社設立の資本金に充てるものではないからです。
資金の準備は、自己資金と融資で組み立てることになります。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)です。国籍そのものを条件にはしていませんが、日本国内での事業と返済の見通しが問われます。

会社設立の資金計画では、資本金と運転資金と補助金の立て替え分を、それぞれ別に積み上げてください。混ぜて考えると、どこかで足りなくなります。
出典:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
08まとめ|在留資格・会社設立・補助金の順で組み立てる

外国籍の方の会社設立は、日本人の場合に在留資格という土台が一段加わった形です。この土台が固まらないうちに補助金の話へ進むと、あとで全部が崩れます。順番だけ守ってください。
この記事の要点
- 1補助金より先に、在留資格の要件を確かめる
- 2「経営・管理」の要件は令和7年10月16日施行の改正で大きく変わった
- 3会社設立の登記の手続き自体は、日本人の場合と同じ
- 4補助金の対象は資本金・従業員数・業種で決まり、国籍は条件になりにくい
- 5資本金は補助金では用意できない。自己資金と融資で組み立てる
この記事の内容は執筆時点で出入国在留管理庁などの公表資料にあたって確認したものです。在留資格の判断は個別性が高く、記事の内容だけで結論を出せるものではありません。会社設立を具体的に進める段階では、必ず公的な窓口と専門家にご確認ください。
出典:日本での拠点設立方法(対日投資)(日本貿易振興機構(ジェトロ)/2026-09-03 確認)
これから日本で事業を始める方へ
日本語の資料を読みながら、在留資格と会社設立と補助金を同時に進めるのは、相当な負担です。ただ、公的な相談窓口は無料で使えます。出入国在留管理庁の外国人在留支援センター、ジェトロの対日投資の窓口、市区町村の産業振興の担当課。それぞれが違う部分を担当しています。全部を自分で調べきろうとせず、窓口を分けて頼ってください。会社設立の準備は、そのほうが確実に早く進みます。
99他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。
- コンチネンタル|外国人の日本での起業方法とビザ取得ガイド
外国人が日本で起業するときの流れを、在留資格の取得まで含めて案内しています。
- 就労ビザステーション|経営管理ビザと外国人会社設立手続き
経営・管理の在留資格と、外国人の会社設立の手続きの関係を説明しています。
- 起業ジャパン|外国人向け会社設立+経営管理ビザ取得
外国人の会社設立とビザ取得をまとめて扱うサービスの案内ページです。
- マネーフォワード クラウド会社設立|創業・会社設立で使える補助金・助成金まとめ
国の制度と東京都の創業助成金を並べて、会社設立の支援メニューを整理しています。
- ベンチャーサポート|創業補助金はどんな制度?
創業補助金という呼び名でくくられる支援の中身を、会社設立の場面に沿って解説しています。
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- マネーフォワード|起業したい外国人のための支援策
外国人が日本で会社設立をするときのサポート体制と手続きの流れをまとめています。
- 創業手帳|会社設立時に申請できる補助金・助成金とは
会社設立のタイミングで申請できる制度に絞って、要件と流れをまとめています。
- freee|会社設立時に最適な助成金・補助金は?
会社設立の前後で使える補助金と助成金を、金額・条件・申請方法の順に一覧でまとめた解説ページです。
- 第一綜合事務所|外国人が会社設立を日本で行う方法
行政書士法人が、外国人の会社設立の条件・手続き・必要書類を整理しています。
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