創業期の自己資金|会社設立でいくら用意しろと言われるのか
この記事を読んでほしい方
会社設立の資金をどこまで自分で用意すべきか迷っている方に向けた記事です。制度が示している数字から見ていきます。
自己資金はいくら必要か。この問いに、制度の側がはっきり答えている場面があります。

自己資金は、いくらと決まっていない

会社設立の準備で、自己資金はいくら必要かという話をよく聞きます。
三分の一、いや十分の一。いろいろな数字が出回っていますが、すべての制度に共通する基準があるわけではありません。
制度ごとに扱いが違い、明示されているものと、そうでないものがあります。
日本政策金融公庫は創業についてのよくある質問を公開しています。融資の条件について確かめるときに使ってください。
ここでは、数字がはっきり書かれている場面から順に見ていきます。
会社設立の資金計画は、その数字を土台に組んでください。
会社設立の支援を受けるとき、自己資金の額は必ず聞かれます。制度の要件でなくても、審査の材料にはなります。
自己資金が多いほど、会社設立の後の選択肢は広がります。借りる額が減れば返済も軽くなり、補助金の立て替えにも耐えられます。ただ、貯めることに時間をかけすぎて機会を逃すこともあります。そこは天秤です。支援の要件を満たす水準を目安にしてください。
よくある質問のページには、融資の条件や手続きの流れが並んでいます。会社設立の前に一度目を通しておいてください。
出典:START 政策金融公庫の創業支援 Q&A(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
10分の1という数字が出てくる場面

はっきり数字が示されている例があります。
スタートアップ創出促進保証制度の申込人資格要件では、保証申込受付時点において税務申告1期未終了の創業者にあっては、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を有していることが求められています。
つまり、会社設立の直後で決算がまだ出ていない段階なら、この割合が要るということです。
創業資金の総額が1,000万円なら100万円以上、2,000万円なら200万円以上です。
逆に言えば、1期分の決算が終わっていれば、この要件は問われません。
会社設立の時期によって、求められるものが変わるということです。
会社設立の直後にこの割合を用意できないなら、時期をずらすという判断もあります。支援の要件は待ってくれません。
創業資金の総額には、開業までの費用と当面の運転資金の両方が入ります。会社設立の見積もりを作るときに、この二つを分けて足し上げてください。総額が決まらないと、必要な自己資金も決まりません。
出典:令和8年度 兵庫県中小企業融資制度要綱集(PDF)(兵庫県 産業労働部/2026-09-08 確認)
経営者保証を外すための条件でもある

なぜ自己資金が求められるのか。理由を知っておくと納得しやすくなります。
創業関連保証は、信用保証協会による100パーセント保証で、最大3,500万円の資金調達が可能とされています。担保も無担保です。
つまり、保証協会が全部の危険を負う形になっています。
そのうえで経営者保証まで外すとなれば、社長個人が負うものが何もなくなります。そこで、自己資金という形で自分も出しているかが問われます。
会社設立に自分のお金を入れているかどうか。それが本気度の目安になっているということです。
保証制度の詳しい要件は、近くの金融機関または信用保証協会に問い合わせてください。
会社設立の支援がここまで手厚いのは、創業期の資金調達が難しいからです。だからこそ、最低限の条件は置かれています。
創業関連保証の対象者には、創業予定者や創業後5年未満の者、廃業後5年未満の者などが挙げられています。会社設立の前でも使えるという点で、創業期の支援としては例外的な制度です。その分、要件は丁寧に読んでください。
保証割合が100パーセントというのは、創業期だけの特別な扱いです。会社設立から年数が経つと、この形は使えなくなります。
出典:創業期に利用可能な信用保証制度について(経済産業省/2026-09-08 確認)
自己資金の中身も見られる

金額だけでなく、そのお金がどこから来たのかも見られます。
創業計画書には、資金計画の欄があります。必要な資金と、その調達の方法を左右に並べて書く形です。
自己資金の欄に金額を書くだけでなく、通帳で示せるようにしておいてください。
会社設立の直前に大きな金額が入金されていると、出どころを聞かれます。借りたお金を自己資金として見せる形は、認められません。
毎月こつこつ貯めてきた記録は、それ自体が説明になります。金額が小さくても、続けてきた事実は評価されます。
親族からの贈与なら、その旨をはっきり書いてください。隠すほうが不利になります。
会社設立の準備は数か月かかります。その間の通帳の動きが、そのまま支援の材料になります。
見せ金という言葉があります。一時的に借りて残高を作り、審査が終わったら返す形です。会社設立の場面でも耳にしますが、認められません。発覚すれば支援そのものを失います。
出典:創業計画の書き方|START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)
補助金には、必ず自己負担がある

補助金の側でも、自己資金は必ず要ります。
補助率が2分の1なら半分、3分の2なら3分の1は自分で払うことになります。全額が出る制度は、ほとんどありません。
小規模事業者持続化補助金の創業型は、創業後1年以内の小規模事業者等を対象とし、販路開拓等の取組を支援する制度です。ここでも補助率が定められています。
会社設立の直後に補助金だけで事業を回そうとすると、必ず行き詰まります。
補助金は、自分でやることを決めた事業の一部を支えるものです。事業そのものを作ってくれるわけではありません。
自己負担分をどう用意するかを、先に決めてください。
会社設立の直後は、補助金の支援を過大に見積もりがちです。半分は自分で払うという前提を忘れないでください。
補助金の対象になるのは、事業を進めるための支出です。会社設立そのものの費用は対象になりにくく、自己資金で払うことになります。定款や登記の費用を補助金で賄う計画は、まず成り立ちません。
創業型は、創業後で事業開始前の事業者も含まれるとされています。会社設立の直後に狙える数少ない枠です。
出典:小規模事業者持続化補助金(創業型)について(中小企業庁/2026-09-03 確認)
後払いだから、いったん全額が要る

補助金でいちばん誤解されているのが、支払いの順番です。
補助金は後払いです。事業をおこない、実績を報告して、それが認められてから入金されます。
つまり、補助率が3分の2でも、いったんは全額を自分で払う必要があります。
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律では、交付の目的に従って誠実に事業を行う義務などが定められています。使ったことを証明する仕組みだからこそ、先に払う形になります。
会社設立の直後にこの立て替えができるかどうかは、自己資金と融資の額で決まります。
手が届かないなら、金額の小さい制度に切り替えるという判断も要ります。
会社設立の支援を受けるにも、まず動かせるお金が要ります。融資を先に固めておいてください。
実績の報告では、領収書や契約書の保存が求められます。会社設立の直後から、支払いの記録を整えておいてください。後から集めるのは大変です。
出典:補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(e-Gov法令検索/2026-09-05 確認)
資本金とは、別に考える

自己資金と資本金は、似ているようで別の話です。
資本金は、会社設立のときに払い込むお金です。会社の元手として登記に記録されます。
制度融資では、出資金や株式払込金、最低資本金を満たすための資金は対象外とされるのが一般的です。つまり、資本金は借りたお金では作れません。
また、株式会社の定款認証の手数料は資本金の額によって変わります。100万円未満で3万円、100万円以上300万円未満で4万円、300万円以上で5万円とされています。
一定の条件を満たすと1万5,000円になります。令和6年12月1日からの扱いです。
資本金をいくらにするかは、会社設立の費用にも跳ね返ります。
会社設立の資本金と自己資金を混同すると、資金計画が合わなくなります。別々に書き出してください。
資本金を大きくすると登録免許税も上がります。株式会社は資本金の額の0.7パーセントと15万円の高いほうです。会社設立の費用と支援の要件の両方を見て決めてください。
合同会社なら定款の認証そのものが不要です。会社設立の費用を抑えたいなら、この形も検討してください。
出典:会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026-09-03 確認)
いくら用意するかを決める手順

自己資金をいくら用意するかは、次の順番で決めてください。
- 開業までにかかる費用と、当面の運転資金を合計する(創業資金の総額)
- 使う予定の保証制度に、自己資金の要件があるか確かめる
- 狙う補助金の補助率から、自己負担分を出す
- 補助金の立て替えに必要な額を足す
- 足りない分を、融資で埋められるか金融機関に相談する
日本政策金融公庫は創業支援の情報をまとめたページを持っています。融資の条件を確かめるときに使ってください。
Q. 自己資金はいくら必要ですか。
A. 一律の基準はありません。制度ごとに要件が違います。
Q. 10分の1という数字は何ですか。
A. スタートアップ創出促進保証制度で、1期未終了の創業者に求められる割合です。
Q. 借りたお金を自己資金にできますか。
A. できません。出どころを確かめられます。
Q. 補助金で全額まかなえますか。
A. 補助率があるので自己負担が残ります。しかも後払いです。
Q. 資本金は借りられますか。
A. 制度融資では最低資本金を満たすための資金も対象外とされます。
この五つのうち、四番目が抜けやすい部分です。会社設立の資金計画に、立て替え分を必ず入れてください。
出典:あなたの創業は、どこから? START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
まとめ|数字は、制度が教えてくれる

自己資金がいくら必要かは、噂ではなく制度の要件から逆算してください。
この記事の要点
- 1一律の基準はない。制度ごとに要件が違う
- 2スタートアップ創出促進保証は、1期未終了なら創業資金総額の10分の1以上
- 3自己資金は金額だけでなく、出どころも見られる
- 4補助金には補助率があり、必ず自己負担が残る
- 5しかも後払い。いったんは全額を自分で払う必要がある
制度を横断して探すなら、J-Net21のような支援情報のサイトも使えます。会社設立の準備のうちに一度見ておいてください。
この記事は2026年9月時点で経済産業省、日本政策金融公庫、兵庫県、日本公証人連合会の公表内容にあたって確認した内容です。要件は制度ごとに違います。申し込む前に、必ず要項でご確認ください。
出典:J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)
貯金額を眺めている方へ
会社設立を考えると、まず通帳を見ます。これで足りるのか、何年待つべきか。答えの出ない問いです。ただ、制度の側が数字を示している場面はあります。創業資金総額の10分の1、補助率の裏返しの自己負担、そして後払いの立て替え。この三つを足せば、いま必要な額が出ます。漠然と貯め続けるより、目標が決まるほうが早く動けます。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。
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