人材派遣会社の設立にかかるお金|会社設立の費用と許可の費用は別
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人材派遣の会社設立で、実際にいくら出ていくのかを知りたい方に向けた記事です。会社設立の費用と、許可を取るための費用は別に発生します。分けて数えます。
人材派遣の開業資金を数えるとき、会社設立の費用だけを見ていると足りなくなります。許可の側にも費用がかかるからです。

費用は二層になっている

人材派遣の開業では、費用が二層に分かれます。会社という器を作る費用と、事業をおこなう許可を取る費用です。
会社設立のほうは、ほかの業種と変わりません。設立の登記の申請は、本店の所在地を管轄する法務局におこないます。
許可のほうは、都道府県労働局への申請です。こちらに別の費用がかかります。
人材派遣の会社設立を検討している方が見積もりを立てるとき、この二層目を忘れていることがよくあります。
さらに、許可の要件として現金・預金を持っている必要があります。費用とは別に、動かせない資金が要るということです。
補助金でこの費用を賄えないかと考える方もいますが、どちらの層にも届きません。会社設立の法定費用も許可の手数料も、事業を伸ばす投資ではないからです。支援を当てにせず、自前で用意する前提で数えてください。
出典:商業・法人登記申請手続(法務局/2026-09-03 確認)
会社設立の側|登録免許税と定款認証

会社設立の登録免許税は、株式会社なら資本金の0.7パーセント、それが15万円に満たなければ15万円。合同会社なら同じく0.7パーセントで、下限は6万円です。
人材派遣では資本金を厚くする方が多いので、0.7パーセントで計算した額が下限を上回ることがあります。資本金2,143万円あたりが分かれ目です。
産業競争力強化法にもとづく市区町村の特定創業支援等事業の証明を受けると、この税率が0.35パーセントに軽減されます。
資産の要件で資本金を大きくする人材派遣の会社設立では、この軽減の効果が金額として大きくなります。使わない手はありません。
ただし、証明書は会社設立の登記の前に取得し、登記のときに法務局へ提出する必要があります。順番に注意してください。
軽減を受けるには、市区町村の支援を1か月以上受ける必要があります。人材派遣の会社設立では準備に時間がかかるので、その期間を使って相談を進めるという組み立てができます。
出典:産業競争力強化法、経済産業省関係産業競争力強化法施行規則(中小企業庁/2026-09-03 確認)
定款認証は、条件で下がることがある

株式会社の会社設立では、定款について公証人の認証を受けます。日本公証人連合会が手数料を公表しています。
資本金の額等により、100万円未満が3万円、100万円以上300万円未満が4万円、その他が5万円という三段階です。
人材派遣の会社設立では資本金が大きくなりがちなので、5万円の区分になることが多くなります。
令和6年12月1日から、条件を満たす場合の手数料が1万5,000円に下がりました。ただし対象は資本金100万円未満の会社設立なので、人材派遣ではあまり当てはまりません。
合同会社には定款認証が要りません。人材派遣で合同会社という選択もあり得ますが、取引先の見え方は確かめてください。
電子定款にすれば、紙の定款に貼る収入印紙が不要になります。会社設立の費用を抑えるという意味では、こちらも同じ方向の工夫です。
出典:会社の定款手数料の改定(日本公証人連合会/2026-09-03 確認)
許可の側|手数料12万円と登録免許税9万円

ここからが人材派遣に固有の費用です。厚生労働省の許可・更新等手続マニュアルには、はっきりと金額が示されています。
申請書には、手数料として12万円に5万5千円を掛けた事業所数から1を引いた分を加えた額、つまり1事業所なら12万円に相当する額の収入印紙を貼付する必要があります。事業所が2か所なら17万5,000円です。
収入印紙の消印後は、手数料は返却されないとされています。不許可になっても戻りません。
あわせて、登録免許税として許可1件あたり9万円を納付し、領収書を許可申請書に貼付しなければならないとされています。
納付先は、日本銀行や日本銀行歳入代理店、または都道府県労働局の所在地を管轄する税務署です。現金での納付とされています。
許可の手数料と登録免許税は、補助金の対象になりません。事業をおこなうための条件であって、事業を伸ばす投資ではないからです。人材派遣の会社設立では、この20万円ほどを固定の費用として見込んでください。
出典:労働者派遣事業の許可は(許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
動かせない資金が、別に要る

費用のほかに、許可の要件として資産が求められます。基準資産額が2,000万円に事業所数を乗じた額以上であること、その基準資産額が負債の総額の7分の1以上であること。
さらに、事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に事業所数を乗じた額以上であることが必要です。
これは出ていく費用ではなく、持っていなければならない残高です。人材派遣の会社設立では、費用と残高を分けて考えてください。
補助金でこの残高を作ることはできません。後払いの制度なので、申請の時点では入っていないからです。
借入で積み上げるのも簡単ではありません。負債の総額の7分の1以上という比率で引っかかることがあります。
残高は許可の後も維持が求められます。更新のときにも同じ要件で見られるからです。会社設立の直後に使い切ってしまうと、3年後に困ります。
補助金や助成金が効いてくるのは、許可を取って事業を始めた後です。人材派遣は人を扱う事業なので、雇用や教育訓練に関する支援と相性があります。会社設立の段階では費用の話に集中し、支援は次の段階で考えてください。
出典:許可基準(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
事業所と設備の費用も見込む

事業所については、事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上あることが求められます。位置や設備からみて、労働者派遣事業を行うのに適切であることも条件です。
つまり、物件を借りる費用がかかります。敷金や礼金、仲介手数料といった初期の費用も、人材派遣の会社設立では避けられません。
個人情報を扱うので、その管理のための設備も要ります。個人情報適正管理規程を作ることも求められます。
事業所の使用権を証する書類として、不動産の登記事項証明書または賃貸借契約書の写しを提出します。契約の形も確かめておいてください。
事業所を増やすと、手数料も資産の要件も事業所の数だけ増えます。最初は1か所から始めるのが現実的です。
事業所の家賃は、国の補助金の対象になりにくい費目です。自治体によっては創業者向けの家賃補助があるので、会社設立の住所地の制度を確かめてみてください。
出典:許可基準(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
資本金をいくらにするか

人材派遣の会社設立では、資産の要件を満たすために資本金を大きくすることが多くなります。ただ、税の面では別の線があります。
国税庁は、基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人については、消費税の納税義務は免除されないとしています。
会社設立の1期目と2期目には基準期間がありません。資本金を1,000万円以上にすると、この免除が受けられないということです。
人材派遣では資産の要件があるので、1,000万円未満に抑えるのは現実的でないことが多くあります。免除を諦める前提で計画してください。
また、資本金が大きいと国の補助金の中小企業者の枠から外れることがあります。会社設立の前に税理士と確かめてください。
消費税の免除を諦めるかわりに、インボイスの登録を最初からしておくという判断もあります。派遣先は法人が中心なので、登録していたほうが取引しやすい場面が多くなります。
補助金の申請は、許可が下りて事業が動き出してからになります。
出典:No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例(国税庁/2026-09-04 確認)
人材派遣の会社設立にかかるお金を並べる

ここまでを、三つに分けて整理します。出ていく費用、持っていなければならない残高、そして運転資金です。
- 出ていく費用|会社設立の登録免許税・定款認証の手数料・許可の手数料12万円・許可の登録免許税9万円・事業所の初期費用・専門家報酬
- 持っていなければならない残高|基準資産額2,000万円×事業所数、現金・預金1,500万円×事業所数
- 運転資金|派遣労働者への賃金は、派遣先からの入金より先に出ていく
三つ目を忘れないでください。人材派遣は、賃金を先に払って売上を後で受け取る事業です。会社設立の直後にいちばん効いてきます。
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方を対象とする制度です。運転資金の相談もできます。
Q. 許可の手数料はいくらですか。
A. 1事業所なら12万円です。事業所が増えると5万5千円ずつ加算されます。
Q. 不許可になったら戻りますか。
A. 収入印紙の消印後は返却されないとされています。
Q. 許可の登録免許税は会社設立の登録免許税と別ですか。
A. 別です。許可1件あたり9万円を納付します。
Q. 資本金は2,000万円必要ですか。
A. 必要なのは基準資産額です。資産から負債を引いた額で判断されます。
Q. 補助金で費用を賄えますか。
A. 賄えません。会社設立と許可の費用は自前で用意してください。
支援の窓口では、この三つを分けて話すと相談が早く進みます。補助金で埋められる部分と、自前で用意する部分がはっきりするからです。会社設立の前に一度整理しておいてください。
補助金は会社設立の後の事業への投資に出るもので、この二層の費用には届きません。支援の使いどころを間違えないでください。
出典:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
まとめ|二層の費用と、残高を分ける

人材派遣の会社設立では、費用の見積もりを二層で立ててください。会社を作る費用と、許可を取る費用です。
この記事の要点
- 1会社設立の登録免許税は株式会社が最低15万円。証明書で半分になる
- 2許可の手数料は12万円+5万5千円×(事業所数−1)。収入印紙で納める
- 3許可の登録免許税は1件あたり9万円。現金で納付する
- 4基準資産額2,000万円と現金・預金1,500万円は、費用ではなく残高
- 5賃金が先に出ていく事業なので、運転資金を厚めに見る
市区町村の特定創業支援等事業の証明は、会社設立の登録免許税を軽くします。産業競争力強化法にもとづく仕組みで、中小企業庁が一覧を公表しています。
この記事は2026年9月時点で厚生労働省や法務局、日本公証人連合会、国税庁、日本政策金融公庫の公表内容にあたって確認した内容です。金額や要件は変わります。会社設立を進める前に、必ず最新の情報でご確認ください。
出典:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁/2026-09-03 確認)
開業資金を数えている方へ
人材派遣の会社設立で必要な金額を調べると、二次情報では数字がばらついています。自己資本2,000万円と書いてあったり、純資産800万円と書いてあったり。混乱するのも無理はありません。厚生労働省のマニュアルには、はっきりと書かれています。基準資産額2,000万円、現金・預金1,500万円。まずここを確かめてから、会社設立の見積もりを立て直してください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
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