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人材派遣会社の設立に補助金は使えるか|2,000万円の壁を先に知る

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

人材派遣の会社設立を考えている方に向けた記事です。補助金を探す前に、資産の要件を知っておいてください。ここを越えられないと、そもそも事業を始められません。

人材派遣は許可が要る事業です。しかも、お金の要件がかなり重い。補助金の話をする前に、その壁の高さを見ておきます。

労働者派遣事業の許可要件の全体像
労働者派遣事業の許可要件の全体像

人材派遣は、許可がなければ始められない

人材派遣は、許可がなければ始められない|会社設立の補助金と支援
人材派遣は、許可がなければ始められない

人材派遣の事業は、労働者派遣事業として法律で規制されています。会社設立の登記を済ませただけでは始められません。

厚生労働省は労働者派遣事業について、許可・更新等の手続を案内しています。許可を受けるには、欠格事由に該当せず、許可基準を満たす必要があります。

申請は事業主単位、つまり会社単位でおこないます。提出先は、事業主の主たる事務所を管轄する都道府県労働局です。

つまり、会社設立と許可の取得は別の手続きです。両方を通らないと事業が始まりません。

そして、この許可の要件のなかにお金の要件があります。ここが人材派遣の会社設立でいちばんの関門です。

許可を受けずに労働者派遣をおこなうことはできません。会社設立の登記が終わって支援の相談に行っても、許可の見通しが立っていなければ話が進まないということです。

許可の審査も軽くありません。申請書類の受付後、都道府県労働局で書類の審査がなされるとともに、事業の実施を予定する事業所に対して現地での調査がおこなわれます。その結果が厚生労働本省へ送られ、労働政策審議会への諮問を経て、厚生労働大臣が許可または不許可を決定します。会社設立の登記のように、書類を出せば数日で終わるものではありません。

出典労働者派遣事業(厚生労働省/2026-09-04 確認)

基準資産額2,000万円という壁

基準資産額2,000万円という壁|会社設立の補助金と支援
基準資産額2,000万円という壁

厚生労働省の許可基準では、財産的基礎について次のように定められています。資産の総額から負債の総額を控除した額、これを基準資産額といいますが、これが2,000万円に事業所の数を乗じた額以上であることが必要です。

資産からは繰延資産と営業権を除きます。事業所を2か所置くなら4,000万円というように、事業所の数だけ倍になります。

あわせて、基準資産額が負債の総額の7分の1以上であることも求められます。借入で資産を膨らませても、この比率で引っかかります。

さらに、事業資金として自己名義の現金・預金の額が1,500万円に事業所の数を乗じた額以上であることが必要です。

会社設立の資本金をいくらにするかという話とは別に、実際に現金が要るということです。人材派遣の会社設立が難しいと言われるのは、この二つが理由です。

この数字は、派遣労働者への賃金の支払いを確実にするためのものです。派遣元が倒れると働いている人の給与が止まるので、財産的な裏づけを求めているという考え方になります。支援の制度でこの趣旨を緩めることはできません。

なお、小規模な派遣元事業主に対する暫定的な配慮措置というものがありますが、平成27年から28年にかけての経過的な扱いで、対象が限られています。これから人材派遣の会社設立をする方が使えるものではありません。二次情報でこの数字を見かけたら、注意してください。

出典許可基準(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)

補助金では、この壁は越えられない

補助金では、この壁は越えられない|会社設立の補助金と支援
補助金では、この壁は越えられない

では、補助金で資産を用意できるか。できません。理由は二つあります。

ひとつは時期です。補助金は後払いで、事業をおこなって実績を報告してから振り込まれます。会社設立と許可の申請の段階では、まだ入りません。

もうひとつは性質です。補助金は事業を伸ばす投資に使うもので、資産を積むために配られるものではありません。小規模事業者持続化補助金のように創業期に近い制度でも、対象は販路開拓等の取組です。

人材派遣の会社設立を考えるなら、2,000万円と1,500万円は自前で用意する前提で計画してください。

補助金が効いてくるのは、許可を取って事業を始めた後です。順番が違います。

補助金の一覧を眺めて時間を使うより、労働局に相談するほうが先です。人材派遣の会社設立では、支援より許可が優先します。

出典小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)

融資で埋められるのか

融資で埋められるのか|会社設立の補助金と支援
融資で埋められるのか

補助金が駄目なら融資はどうか。ここも簡単ではありません。基準資産額が負債の総額の7分の1以上という要件があるからです。

借りたお金は資産にもなりますが、同時に負債にもなります。借入だけで資産を積み上げると、この比率で引っかかることがあります。

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方を対象とする制度です。会社設立の前から相談できます。

人材派遣の会社設立では、自己資金をある程度厚く用意したうえで、足りない分を融資で補うという組み立てになります。全額を借入で賄う前提では、要件を満たせません。

金融機関に相談するときは、許可の要件を先に説明してください。話が早く進みます。

自己資金をどう見せるかも大切です。会社設立の直前に借りたお金を口座に入れても、負債として計上されます。現金・預金の額と負債の比率は同時に見られます。

出典新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

事業所と人の要件も、同時に満たす

事業所と人の要件も、同時に満たす|会社設立の補助金と支援
事業所と人の要件も、同時に満たす

お金だけではありません。事業所についても要件があります。厚生労働省は、事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上あることを求めています。

あわせて、風俗営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないことも条件です。自宅の一室やバーチャルオフィスでは満たせないことがあります。

人については、派遣元責任者を選任する必要があります。成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者などの要件があります。

職業安定行政または労働基準行政に3年以上の経験を有する者、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者なども、要件を満たすとされています。

人材派遣の会社設立では、この経験のある人を確保できるかが実務上の分かれ目になります。

事業所の要件は、会社設立の本店をどこに置くかにも関わります。物件を決める前に、面積と位置の条件を確かめてください。

出典許可基準(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)

派遣元責任者は、講習を受けておく

派遣元責任者は、講習を受けておく|会社設立の補助金と支援
派遣元責任者は、講習を受けておく

派遣元責任者には、講習の受講が求められます。厚生労働省は、申請に先立ち派遣元責任者が派遣元責任者講習を受講しておく必要があるとしています。

提出する受講証明書の写しは、許可の申請の受理日前3年以内の受講日のものに限られます。古い受講では使えないということです。

講習は、厚生労働省告示に定められた講習機関が実施しています。日程は厚生労働省のページに掲載されています。

日程が合わないと、それだけで許可の申請が遅れます。人材派遣の会社設立を決めたら、まず講習の予定を押さえてください。

この講習は、派遣元事業所の雇用管理と事業運営の適正化に資することを目的とするものとされています。

講習の受講は本人が受ける必要があります。会社設立の準備を専門家に任せていても、この部分だけは代われません。

出典派遣元責任者講習(厚生労働省/2026-09-05 確認)

キャリア形成支援制度も、許可の要件

キャリア形成支援制度も、許可の要件|会社設立の補助金と支援
キャリア形成支援制度も、許可の要件

見落とされやすいのが、キャリア形成支援制度です。派遣元事業主は、派遣労働者のキャリア形成を行うための制度を有していなければなりません。

段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定めることが求められます。実施する教育訓練は、雇用するすべての派遣労働者を対象としたものであることが必要です。

教育訓練は有給かつ無償でおこなわれるものであることとされています。受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払うのが原則です。

少なくとも最初の3年間は、毎年おおむね8時間以上の教育訓練の機会の提供が求められます。

人材派遣の会社設立では、この計画を書類として用意しなければ許可が下りません。会社設立の準備と並行して作ってください。

教育訓練の支援については、厚生労働省の助成の制度と重なる部分があります。要件として作った計画が、そのまま支援の申請の材料になることもあります。

キャリアコンサルティングの知見を有する者を配置することも求められます。職業能力開発推進者や、3年以上の人事担当の職務経験がある者などが挙げられています。人材派遣の会社設立では、人の要件が二重にかかるということです。

出典許可基準(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)

それでも補助金が効く場面はある

それでも補助金が効く場面はある|会社設立の補助金と支援
それでも補助金が効く場面はある

許可を取って事業を始めた後なら、支援の使いどころが出てきます。とくに人材派遣は人を扱う事業なので、雇用に関する助成金と相性があります。

厚生労働省は雇用関係助成金の一覧を公開しています。人材確保・処遇改善関係や人材開発関係の分類に、派遣元事業主が使える制度があります。

教育訓練はもともと許可の要件でもあります。その取組が助成の対象になるなら、負担を軽くできる可能性があります。

ただし、事前の計画の届出や認定が必要な制度が多くあります。会社設立と許可の取得で手一杯になる前に、労働局へ相談しておいてください。

会社設立の直後は、許可の準備で手が回らない時期です。支援の相談は後回しになりがちですが、一度だけでも労働局で話しておくと、後の選択肢が残ります。

Q. 補助金で資産要件を満たせますか。

A. 満たせません。後払いであり、資産を積むための制度でもありません。

Q. 資本金を2,000万円にすればよいのですか。

A. 基準資産額は資産から負債を引いた額です。資本金の額そのものではありません。

Q. 事業所は自宅でもよいですか。

A. おおむね20平方メートル以上などの要件があります。労働局で確かめてください。

Q. 派遣元責任者は代表者でもよいですか。

A. 要件を満たせば可能です。3年以上の雇用管理の経験などが必要です。

Q. 許可までどれくらいかかりますか。

A. 申請は事業開始予定時期のおおむね2〜3か月前までにとされています。

出典雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)

まとめ|壁を知ってから、会社設立を決める

まとめ|壁を知ってから、会社設立を決める|会社設立の補助金と支援
まとめ|壁を知ってから、会社設立を決める

人材派遣の会社設立は、ほかの業種とは事情が違います。補助金を探すより先に、許可の要件を満たせるかどうかを確かめてください。

この記事の要点

  • 1基準資産額が2,000万円×事業所数以上、負債総額の7分の1以上
  • 2自己名義の現金・預金が1,500万円×事業所数以上
  • 3事業所はおおむね20平方メートル以上。位置の条件もある
  • 4派遣元責任者は成年後3年以上の雇用管理の経験と、講習の受講が必要
  • 5補助金では資産要件を満たせない。効いてくるのは事業を始めた後

詳しい要件は、厚生労働省が公開している労働者派遣事業の許可・更新等手続マニュアルに載っています。会社設立を決める前に、一度目を通してください。

この記事は2026年9月時点で厚生労働省や日本政策金融公庫、中小企業庁の公表内容にあたって確認した内容です。要件は改正されます。会社設立を進める前に、必ず最新のマニュアルと都道府県労働局でご確認ください。

出典労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-(厚生労働省/2026-09-04 確認)

人材派遣で独立を考えている方へ

人材派遣の会社設立を調べ始めると、まず資産の要件で足が止まります。2,000万円と1,500万円。この数字を見て諦める方も少なくありません。ただ、要件を知らずに会社設立をしてしまい、後から許可が取れないと分かるほうがつらいはずです。順番を逆にしてください。まず都道府県労働局に相談し、要件を満たせる見通しが立ってから、会社設立の手続きに進んでください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。

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