会社設立後に選ぶ助成金のコース|制度名ではなく取り組みで決める
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会社設立の後に助成金を使いたいけれど、制度の数が多くてどれを見ればいいのか分からない方に向けた記事です。雇用の助成金は制度の下にコースが分かれていて、名前だけでは違いが分かりません。取り組みの中身から引く方法を示します。
厚生労働省は雇用関係の助成金を一覧で公表しています。ただ、その一覧を眺めても選べません。制度は取り組みの種類ごとに設計されているので、自分が何をするかが先に決まっていないと絞れないからです。

制度名ではなく、やることから引く

雇用の助成金は、取り組みの種類ごとに設計されています。人を新しく雇う、非正規の方を正社員にする、処遇を改善する、能力の開発を支援する。狙いが違うので、求められる手順も書類も変わります。
つまり、自分が何をするかが決まっていれば、当てはまるコースはほとんど自動的に決まります。会社設立の直後に一覧を眺めても決められないのは、取り組みの中身が固まっていないからです。
先に決める三つ
- 1誰を、どういう形で迎えるのか(新規の採用か、いまいる人か)
- 2いつからその取り組みを始めるのか
- 3その人件費を、支援なしでも払い続けられるか
三つ目を入れているのには理由があります。助成金は後払いで、取り組みを終えてから支給されます。会社設立の直後にその期間の人件費を払えないなら、そもそも取り組めません。
一覧は「絞ったあと」に見る
厚生労働省の一覧は、狙いが決まってから見ると役に立ちます。逆に、何も決まっていない状態で見ると制度の数に圧倒されます。会社設立の直後の限られた時間を、ここで消費しないでください。
会社設立の直後は、事業の形そのものが動きます。誰にどこまで任せるかが固まっていない段階で助成金のコースを選ぼうとしても、決まらないのは当然です。まず事業の体制を決め、その結果として必要になる採用の形から支援を探してください。
補助金と違って、雇用の助成金には公募回という区切りがありません。そのぶん急かされない代わりに、後回しになりやすい制度でもあります。会社設立の予定表に、いつ検討するかを書き込んでおいてください。
出典:雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)
新しく人を迎えるなら、紹介の経路を確かめる

新しく人を雇う場面で使えるのが、トライアル雇用助成金です。一般トライアルコースは、就業経験の不足などで就職が難しい方を、一定期間試しに雇い入れることで、早期の就職と雇用機会の創出を図る制度です。
要件の中心は、ハローワーク等の紹介を受けて雇い入れること、原則3か月のトライアル雇用をおこなうこと、週の所定労働時間が通常の労働者と同程度(30時間以上)であることです。支給額は対象者1人あたり月額最大4万円で、最長3か月です。
注意したいのは、採用の経路が要件そのものだという点です。知人の紹介や求人サイトで先に採用してしまうと、この制度は使えません。会社設立の直後は身近なつてで人を探すことが多いので、意識してください。
会社設立の直後は、採用の経験そのものが少ないはずです。ハローワークを使うと、募集の書き方や労働条件の示し方まで相談に乗ってもらえます。助成金の金額を抜きにしても、この支援は使う価値があります。
出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)
いまいる人の待遇を上げるなら、計画が先

すでに雇っている方を正社員にする、あるいは処遇を改善する。この場面で使えるのがキャリアアップ助成金です。有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の方の企業内でのキャリアアップを促進する制度です。
手順で決定的なのが、計画の提出です。各コースの実施日の前日までに、キャリアアップ計画を提出することが求められます。先に正社員化してしまってから申し込むことはできません。
会社設立の直後は、人事の判断を勢いで決めがちです。良い人だから正社員にしよう、と思った時点で計画を出していなければ、その方については助成の対象になりません。

計画の提出は、窓口への持参、郵送、電子申請でおこなえます。会社設立の直後で人手が足りない時期には、電子申請が使えるのは助かります。
会社設立から一年ほど経つと、最初に手伝ってもらった方の待遇をどうするかという話が出てきます。その判断をする前に計画を出しておけば、支援の対象にできます。順番を逆にしないでください。
出典:キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)
社会保険の適用にともなう処遇の改善

キャリアアップ助成金には、社会保険適用時処遇改善コースという枠もあります。短時間労働者の社会保険の適用にともなう処遇の改善を対象にしたものです。
会社設立の直後は、短い時間で働いてもらう形から始めることがあります。事業が伸びて労働時間が増えると、社会保険の適用が視野に入ってきます。その段階で検討する枠です。
社会保険料の会社負担分は、毎月出ていく固定費です。適用が広がると負担も増えます。この移行を支援する制度があると知っておくだけで、判断がしやすくなります。
要件も支給額もコースごとに違い、年度ごとに見直されます。検討する時期になったら、厚生労働省の公表資料で最新の内容を確かめてください。
会社設立の直後は短い時間で働いてもらい、事業が伸びたら時間を増やす。この形は自然な流れですが、社会保険の負担が段階的に増えます。補助金では埋められない固定費なので、こうした助成の枠を知っておくと計画を立てやすくなります。
出典:キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)
地域を要件にした制度もある

雇用の助成金には、地域を要件にしたものもあります。地域雇用開発助成金の地域雇用開発コースは、事業所の設置等の費用と雇い入れで増加した労働者数に応じて助成される制度です。
対象の地域は指定されています。会社設立の場所がその地域に入っているかどうかで、使えるかどうかが決まります。事業所を置く場所を決める段階で、都道府県労働局に確認しておくと選択肢が広がります。
支給額や上乗せの仕組みは、計画の提出時期や地域の区分によって変わります。厚生労働省が制度の内容を公表していますので、金額は必ず最新の資料でご確認ください。
自治体が独自に、地域での雇用に対する支援を用意していることもあります。市区町村の産業振興の担当課で、あわせて確認してください。
会社設立の場所を決めるとき、補助金の側でも自治体の創業支援があるかを見ることになります。雇用の助成金と補助金、両方の観点から候補地を比べると、判断の材料が増えます。
出典:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)(厚生労働省/2026-09-04 確認)
コースを選ぶ前に、共通の前提を確かめる

コースが違っても、前提として求められるものはほぼ共通しています。会社設立の直後にここを整えておけば、どのコースにも進めます。

厚生労働省の説明によれば、労働保険については、適用事業の事業主は保険関係成立の日から10日以内に「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所へ提出しなければならないとされています。概算保険料の申告・納付は成立の日から50日以内です。
この土台を会社設立の直後に作っておくと、あとはコースを選ぶだけになります。逆に土台がないと、良いコースを見つけても進めません。
この土台は、補助金の申請でも使えます。国の補助金の多くは対象を中小企業者や小規模事業者と定めていて、従業員数を示す書類として社会保険や労働保険の加入状況が求められることがあるためです。会社設立の直後に整えておけば、両方の支援に効きます。
出典:労働保険の成立手続(厚生労働省/2026-09-04 確認)
補助金と重ねるときの注意

助成金のコースが決まったら、補助金を重ねられます。目的と対象経費が重ならなければ、両方受けられることがあります。
ただし、同じ経費に二重に支援を受けることは認められません。特に人件費は重なりやすい費目です。同じ人の同じ期間の人件費を、補助金と助成金の両方から受け取ることはできません。
分け方の基本は、期間と対象者です。同じ人でも期間が分かれていれば別の経費として扱えることがあり、同じ期間でも対象者が違えば分けられます。ただし制度ごとに考え方が違うので、必ず事務局に確かめてください。
会社設立の直後は経理の体制もこれからという時期です。最初に経費の割り振りを決めて記録しておけば、実績報告のときに困りません。
会社設立の直後に複数の支援を同時に走らせると、報告の時期が重なって手が回らなくなります。片方ずつ進めて、一本目を完了させてから次に取りかかるほうが安全です。補助金も助成金も、制度は繰り返し用意されています。
出典:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
選び方に迷ったら、窓口で相談する

コースの数が多く、要件も細かいため、会社設立の直後にすべてを読み込むのは現実的ではありません。窓口で相談するのがいちばん早い方法です。
Q. どこに相談すればいいですか。
A. 都道府県労働局やハローワークです。自社の採用の予定を伝えると、当てはまりそうなコースを教えてもらえます。
Q. 何を持っていけばいいですか。
A. いつ、誰を、どういう形で雇う予定かを紙にまとめてください。会社設立の日と、いまの従業員数も伝えると話が早く進みます。
Q. 複数のコースを同時に使えますか。
A. 制度によって扱いが違います。同じ人の同じ取り組みに二重には受けられません。窓口で確かめてください。
Q. すでに採用してしまいました。
A. その方については使えないコースがあります。次の採用で検討してください。
Q. 助成金のために人数を増やすべきですか。
A. おすすめしません。人件費と社会保険料の会社負担分は毎月かかり続けます。事業に必要な人数で判断してください。
窓口は無料で使えます。会社設立の直後は費用がかさむ時期だからこそ、使えるものは使ってください。
出典:雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)
まとめ|取り組みが決まれば、コースは決まる

雇用の助成金は制度の数が多く、名前だけでは違いが分かりません。ただ、自分が何をするかが決まっていれば、当てはまるコースはほとんど自動的に絞られます。
この記事の要点
- 1制度名ではなく、取り組みの中身から引く
- 2新しく人を迎えるなら、紹介の経路が要件になることがある
- 3いまいる人の待遇を上げるなら、実施日の前日までに計画を提出する
- 4地域を要件にした制度もある。会社設立の場所で変わる
- 5どのコースでも、労働保険・社会保険への加入と記録が前提になる
この記事は執筆時点で厚生労働省などの公表内容にあたって確認した内容です。コースの要件や支給額は年度ごとに見直されます。会社設立の後に採用を検討する段階では、必ず都道府県労働局やハローワークにご確認ください。
出典:労働保険料の申告・納付(厚生労働省/2026-09-04 確認)
コースが選べない方へ
雇用の助成金の一覧を眺めても決められないのは、選び方の問題ではありません。取り組みの中身が決まっていないだけです。いつ、誰を、どういう形で迎えるのか。ここを一文で言えるようになれば、当てはまるコースは見えてきます。それでも迷うときは、その一文を持って都道府県労働局かハローワークに行ってみてください。担当者が制度の名前を教えてくれます。
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