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助成金が支給されない典型例|会社設立の直後にやりがちなこと

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

会社設立の後に助成金を狙っている方、あるいはすでに申請の準備を進めている方に向けた記事です。雇用の助成金は要件を満たせば受けられるものが多い一方、満たしていないことに後から気づくという失敗が起きます。よくある例を先にまとめました。

助成金は審査で落とされる性格のものではありません。それでも支給されないことはあります。原因はほとんどが順番と書類です。会社設立の直後にやりがちなことを、よくある例として並べます。

助成金が支給されない典型的な原因
助成金が支給されない典型的な原因

原因①|取り組みの前に計画を出していない

原因①|取り組みの前に計画を出していない|会社設立の補助金と支援
原因①|取り組みの前に計画を出していない

いちばん多い原因がこれです。キャリアアップ助成金では、各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出することが求められます。先に正社員化してしまってから申し込むことはできません。

会社設立の直後は、人事の判断を勢いで決めがちです。良い人だから正社員にしよう、と思った時点で計画を出していなければ、その方については助成の対象になりません。

避け方は単純です。人事の変更を考え始めた段階で、都道府県労働局やハローワークに相談する。制度を使うかどうかが決まっていなくても、計画だけ先に出しておくことはできます。

計画の提出は、窓口への持参、郵送、電子申請でおこなえます。会社設立の直後で人手が足りない時期には、電子申請が使えるのは助かります。

補助金にも似た落とし穴があります。採択の通知が来ても、交付決定より前に発注した経費は対象外になることが多いという点です。助成金の計画提出も補助金の交付決定も、「取り組みを始める前に手続きを終える」という同じ考え方で作られています。会社設立の直後は勢いで動きたくなりますが、ここは待つ場面です。

会社設立の予定表を作るときに、支援に関わる手続きの期限も同じ表に書き込んでおいてください。手続きと支援を別々に管理するから、片方が抜けます。

出典キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)

原因②|保険の加入が済んでいない

原因②|保険の加入が済んでいない|会社設立の補助金と支援
原因②|保険の加入が済んでいない

雇用の助成金は、労働保険や社会保険への加入が前提になっているものがほとんどです。会社設立の直後にここが済んでいないと、どのコースにも進めません。

厚生労働省の説明によれば、適用事業の事業主は、保険関係成立の日から10日以内に「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所へ提出しなければならないとされています。概算保険料の申告・納付は、保険関係が成立した日から50日以内です。

社会保険については、事業所が健康保険・厚生年金保険に適用されることになった場合、事実の発生から5日以内に新規適用届を日本年金機構へ提出します。

会社設立の直後は同時に多くの期限が来ます。期限のあるものを一覧にして消し込んでいくのが確実です。画面で見比べるより、印刷して手で消すほうが漏れが減ります。

この加入は、支援を受けるためだけの手続きではありません。人を雇う以上は必要な義務です。会社設立の直後に片づけておけば、助成金にも補助金にも進めます。補助金の側でも、従業員数を示す書類として加入状況を求められることがあります。

出典労働保険の成立手続(厚生労働省/2026-09-04 確認)

原因③|紹介の経路が要件と違う

原因③|紹介の経路が要件と違う|会社設立の補助金と支援
原因③|紹介の経路が要件と違う

トライアル雇用助成金の一般トライアルコースは、ハローワーク等の紹介を受けて雇い入れることが前提です。原則3か月のトライアル雇用をおこない、週の所定労働時間が通常の労働者と同程度(30時間以上)であることが求められます。

知人の紹介や求人サイトで先に採用してしまうと、この制度は使えません。会社設立の直後は身近なつてで人を探すことが多いので、ここでつまずく例が目立ちます。

避け方は、募集をかける前に相談することです。ハローワークを使うと、募集の書き方から相談に乗ってもらえます。会社設立したばかりで採用の経験がない場合、助成金を抜きにしても価値のある窓口です。

支給額は対象者1人あたり月額最大4万円で、最長3か月です。金額としては大きくありませんが、試す期間を制度として持てるという意味では、会社設立の直後に効く支援です。

会社設立の直後に人を探す方法は、支援の対象になるかどうかを左右します。誰を雇うかだけでなく、どこを通して雇うか。この二つを同時に考えてください。

出典トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)

原因④|記録がそろわない

原因④|記録がそろわない|会社設立の補助金と支援
原因④|記録がそろわない

要件を満たしていても、それを示す記録がないと支給されません。支給申請では、出勤簿や賃金台帳、労働条件通知書、就業規則といった書類の提出を求められます。

これらは支給申請の直前にまとめて作れるものではありません。会社設立の直後から、毎月続ける必要があります。給与計算のソフトを一つ入れて、毎月末に整理する時間を決めておくだけでも違います。

支給申請でそろえる記録|会社設立の補助金
支給申請でそろえる記録

社会保険労務士に最初だけ見てもらうと、後の手戻りが減ります。会社設立の直後は費用を抑えたい時期ですが、要件を満たせずに支給されないことを考えると、結果的に安く付くことがあります。

記録は補助金の申請でも使います。対象経費に人件費が含まれる制度では、出勤簿や賃金台帳が根拠になるためです。会社設立の直後から残しておけば、助成金と補助金の両方に効きます。

出典雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)

原因⑤|支給申請の期限を過ぎる

原因⑤|支給申請の期限を過ぎる|会社設立の補助金と支援
原因⑤|支給申請の期限を過ぎる

計画を出し、取り組みを終えても、そこで終わりではありません。支給申請には期限があります。取り組みを終えてから所定の期間内に申請しないと受けられません。

会社設立の直後は本業が忙しく、この期限を逃しやすくなります。計画を出した時点で、支給申請の時期をカレンダーに入れておいてください。

助成金は後払いです。取り組みを終えて支給申請をおこない、確認が済んでから支給されます。給与と社会保険料の会社負担分は、その間も毎月出ていきます。

この期間の資金は自前で用意する必要があります。会社設立の直後の人件費を助成金で賄うことはできない、という前提で計画を組んでください。

立て替えの期間を短くしたいなら、取り組みの期間を短めに設計するという考え方もあります。ただし無理な工程にすると要件を満たせなくなります。会社設立の直後は本業も動くので、余裕のある計画にしてください。

支給申請の期限は、コースごとに定められています。取り組みが終わった日を起点に数えるものが多いので、終了の日を記録しておいてください。会社設立の直後は日々の業務に追われますが、この一行をメモしておくだけで防げます。

出典キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)

見落とされやすい、除外の定め

見落とされやすい、除外の定め|会社設立の補助金と支援
見落とされやすい、除外の定め

要件を満たしているつもりでも、除外の定めに当たることがあります。会社設立の直後に身近な人を雇う場面で、特に注意が必要です。

キャリアアップ助成金では、採用時から正社員として雇うことが前提だった方や、過去に一定期間その会社で正社員だった方は対象外とされるなど、細かい定めがあります。

補助金の側でも同じ考え方があります。代表者本人や親族への支払いは厳しく見られ、対象外とされるのが一般的です。会社設立の直後は身内に頼みたくなる場面が多いのですが、支援の対象としては分けて考えてください。

迷ったときは、申請の前に窓口へ確かめてください。曖昧なまま進めて後で支給されないより、先に聞くほうが確実です。

補助金の側では、代表者や親族が経営する会社への発注も、取引の妥当性を説明できることが前提になります。会社設立の直後は身内に頼むことが多いので、契約書と成果の記録を残しておいてください。支援の対象として認められるかどうかは、説明できるかで決まります。

除外の定めは、公表されている資料に書かれています。会社設立の直後は読む時間が惜しい時期ですが、自社が当てはまりそうな部分だけでも目を通しておいてください。窓口で聞くときも、資料を見たうえで質問すると話が早く進みます。

出典キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)

補助金と重ねたときの落とし穴

補助金と重ねたときの落とし穴|会社設立の補助金と支援
補助金と重ねたときの落とし穴

助成金と補助金を重ねること自体は、目的と対象経費が重ならなければ可能です。ただ、同じ経費に二重に支援を受けることは認められません。

特に人件費は重なりやすい費目です。同じ人の同じ期間の人件費を、補助金と助成金の両方から受け取ることはできません。分け方の基本は、期間と対象者です。

申請書には他の制度への申請状況を書く欄があります。ここは正直に書いてください。隠して両方から受け取ると、あとで返還を求められます。

会社設立の直後に返還が発生すると、資金繰りへの打撃は小さくありません。最初から経費の割り振りを決めて記録しておいてください。

会社設立の直後に複数の支援を同時に走らせると、報告の時期が重なって手が回らなくなります。片方ずつ進めて、一本目を完了させてから次に取りかかるほうが安全です。補助金も助成金も、制度は繰り返し用意されています。

出典小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)

支給されなかったときに、どうするか

支給されなかったときに、どうするか|会社設立の補助金と支援
支給されなかったときに、どうするか

要件を満たせず支給されなかった場合、その人については取り返せません。ただ、次の採用や次の取り組みでは活かせます。

Q. 計画を出す前に正社員にしてしまいました。

A. その方については対象外になります。次に正社員化する方について、計画を先に出してください。

Q. 求人サイトで採用してしまいました。

A. 紹介の経路が要件になるコースは使えません。別のコースが当てはまるか、窓口で確認してください。

Q. 記録が途中から抜けています。

A. 抜けている期間について支給されないことがあります。今からでも記録を再開し、次の申請に備えてください。

Q. 支給申請の期限を過ぎました。

A. その取り組みについては受けられません。次の取り組みで、期限をカレンダーに入れて管理してください。

Q. 制度の要件が変わっていました。

A. コースの要件は年度ごとに見直されます。検討する時期に、厚生労働省の最新の資料で確かめてください。

共通しているのは、次に活かすには記録と相談が要るということです。会社設立の直後は失敗もありますが、そこで得た知識は残ります。

失敗した経験は、次の申請で活きます。どこで要件を外したのかが分かっていれば、二回目からは同じところでつまずきません。会社設立の一年目は、支援の使い方を覚える期間だと考えることもできます。

出典雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)

まとめ|落とし穴の場所は決まっている

まとめ|落とし穴の場所は決まっている|会社設立の補助金と支援
まとめ|落とし穴の場所は決まっている

助成金が支給されない原因は、制度を知らないことではありません。知っていたのに順番を間違えた、書類が足りなかった、というほうがずっと多いのです。

この記事の要点

  • 1キャリアアップ助成金は、実施日の前日までに計画を提出する
  • 2労働保険は成立の日から10日以内、社会保険は事実の発生から5日以内
  • 3トライアル雇用はハローワーク等の紹介が前提。採用の経路が要件になる
  • 4出勤簿と賃金台帳は毎月続ける。あとからさかのぼって作れない
  • 5支給申請にも期限がある。計画を出した時点でカレンダーに入れる

この記事は執筆時点で厚生労働省などの公表内容にあたって確認した内容です。コースの要件や除外の定めは年度ごとに見直されます。会社設立の後に採用を検討する段階では、必ず都道府県労働局やハローワークにご確認ください。

出典労働保険料の申告・納付(厚生労働省/2026-09-04 確認)

申請の前に確かめてほしいこと

助成金が支給されないと分かるのは、たいてい後になってからです。だからこそ、取り組みを始める前に一度だけ窓口に確かめることをおすすめします。都道府県労働局もハローワークも無料です。会社設立の直後で時間が惜しい時期ですが、この一手間は取り返しがつく種類のものではありません。三十分の相談で、数十万円の差が出ることもあります。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。

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