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会社設立の直後に整える労務の土台|助成金も採用も、ここから始まる

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

会社設立の直後に人を雇う予定があって、何から手をつければいいのか分からない方に向けた記事です。労務の土台は、助成金のためだけに整えるものではありません。採用そのものにも、その後の運営にも効いてきます。順番と期限を整理しました。

人を雇うと決めた瞬間から、やることが一気に増えます。保険の加入、就業規則、労働条件の書面、記録の仕組み。会社設立の直後にこれを一人で回すのは大変ですが、順番さえ決まれば進みます。

人を雇うまでに整える順番
人を雇うまでに整える順番

社会保険は、会社設立の直後にいちばん短い期限が来る

社会保険は、会社設立の直後にいちばん短い期限が来る|会社設立の補助金と支援
社会保険は、会社設立の直後にいちばん短い期限が来る

会社設立の直後に来る期限のうち、いちばん短いのが社会保険です。事業所が健康保険・厚生年金保険に適用されることになった場合、事実の発生から5日以内に新規適用届を日本年金機構へ提出します。

法人の場合、常時従業員を使用する事業所は加入の対象になります。代表者ひとりだけの会社でも対象になり得ます。会社設立をした時点で、この手続きが視野に入ります。

提出は、郵送、窓口への持参、電子申請でおこなえます。会社設立の直後で人手が足りない時期には、電子申請が使えるのは助かります。

加入の要否や手続きの詳細は、事業の内容と人数によって変わります。日本年金機構や年金事務所にご確認ください。

この手続きが済んでいることは、支援を受けるうえでの前提にもなります。雇用の助成金では加入状況を示す書類を求められますし、補助金でも従業員数の確認に使われることがあります。会社設立の直後に片づけておくと、後の申請が楽になります。

提出したときの控えは必ず保管してください。会社設立の直後は書類が散らかりやすいので、支援の申請用にフォルダを分けておくと探す手間が省けます。

出典新規適用の手続き(日本年金機構/2026-09-03 確認)

労働保険は、成立の日から10日以内

労働保険は、成立の日から10日以内|会社設立の補助金と支援
労働保険は、成立の日から10日以内

人を雇うと、労働保険の手続きが必要になります。厚生労働省の説明によれば、適用事業の事業主は、保険関係成立の日から10日以内に「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所へ提出しなければならないとされています。

あわせて、概算保険料の申告・納付の手続きは、保険関係が成立した日から50日以内とされています。この二つが会社設立の直後に重なります。

労働保険は労災保険と雇用保険をまとめた呼び方で、実務では窓口が分かれます。労災保険は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所(ハローワーク)です。順番を確かめてから動いてください。

この加入が、雇用の助成金の前提になります。加入していないとどのコースにも進めません。会社設立の直後に採用を考えているなら、まずここを済ませてください。

会社設立の登記が終わった時点では、まだ人を雇っていないこともあります。その場合、労働保険の手続きは実際に雇い入れるときになります。補助金や助成金の申請時期から逆算して、いつ人を雇うかを決めてください。

出典労働保険の成立手続(厚生労働省/2026-09-04 確認)

就業規則は、人数に関わらず作る価値がある

就業規則は、人数に関わらず作る価値がある|会社設立の補助金と支援
就業規則は、人数に関わらず作る価値がある

就業規則は、常時使用する労働者が一定の人数以上の事業場で作成と届出が義務づけられています。会社設立の直後で人数が少ないと義務にならないこともありますが、作る価値はあります。

理由は二つです。ひとつは、雇用の助成金の要件として求められることがあるため。もうひとつは、採用の場面で応募者に安心してもらえるためです。

会社設立したばかりの会社に応募する側は、労働条件がどうなるのか分かりません。就業規則と労働条件通知書がきちんとしていると、それだけで信頼の材料になります。

募集をかける前に整えるもの|会社設立の補助金
募集をかける前に整えるもの

社会保険労務士に最初だけ見てもらうという使い方もあります。会社設立の直後は費用を抑えたい時期ですが、要件を満たせずに助成金が受けられないことを考えると、結果的に安く付くことがあります。

就業規則を作る過程で、賃金や休日の決め方を整理することになります。この整理は、補助金の事業計画書で人件費を説明するときにも役立ちます。会社設立の直後に一度作っておけば、支援の申請のたびに使い回せます。

出典キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)

記録の仕組みを、最初に作る

記録の仕組みを、最初に作る|会社設立の補助金と支援
記録の仕組みを、最初に作る

雇用の助成金でつまずくのは、審査ではなく書類です。要件を満たしていても、それを示す記録がないと支給されません。

支給申請では、出勤簿や賃金台帳の提出を求められます。これらは支給申請の直前にまとめて作れるものではありません。会社設立の直後から、毎月続ける必要があります。

難しい仕組みは要りません。給与計算のソフトを一つ入れて、毎月末に整理する時間を決めておくだけでも違います。この作業は、決算のときにもそのまま効いてきます。

補助金の申請でも、従業員数を示す書類として使う場面があります。雇用に関する記録は、支援を受けるための土台だと考えてください。

記録の仕組みは、支援を受けるためだけのものではありません。毎月の人件費が見えていると、事業の状態が早く分かります。会社設立の直後は変化が大きい時期ですから、月ごとに振り返る習慣そのものが経営の助けになります。

出典雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)

採用の方法そのものが、要件になることがある

採用の方法そのものが、要件になることがある|会社設立の補助金と支援
採用の方法そのものが、要件になることがある

労務の土台が整ったら、採用の方法を決めます。ここで注意したいのが、採用の方法そのものが助成金の要件になる制度があることです。

トライアル雇用助成金の一般トライアルコースは、ハローワーク等の紹介を受けて雇い入れることが前提です。原則3か月のトライアル雇用をおこない、週の所定労働時間が通常の労働者と同程度(30時間以上)であることが求められます。支給額は対象者1人あたり月額最大4万円で、最長3か月です。

知人の紹介や求人サイトで先に採用してしまうと、この制度は使えません。会社設立の直後は身近なつてで人を探すことが多いので、意識しておいてください。

ハローワークを使うと、募集の書き方から相談に乗ってもらえます。会社設立したばかりで採用の経験がない場合、助成金を抜きにしても価値のある窓口です。

募集をかける前に都道府県労働局やハローワークに相談すると、当てはまりそうな制度と、先にやるべきことを教えてもらえます。会社設立の直後は採用そのものが難しい時期ですから、この支援は金額を抜きにしても使う価値があります。

出典トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)

雇ったあとの取り組みにも、支援がある

雇ったあとの取り組みにも、支援がある|会社設立の補助金と支援
雇ったあとの取り組みにも、支援がある

雇用の助成金は採用の場面だけのものではありません。雇ったあとの取り組みを支援する制度もあります。

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の方の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇の改善に取り組んだ事業主を助成する制度です。各コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を提出することが求められます。

社会保険適用時処遇改善コースのように、短時間労働者の社会保険の適用にともなう処遇の改善を対象にした枠も設けられています。会社設立から少し経って、体制を整える段階で効いてきます。

  • 1年目:加入手続きと、就業規則・記録の仕組みを作る
  • 1〜2年目:採用に関する助成金を検討する
  • 2年目以降:正社員化や処遇の改善に関する制度を検討する

会社設立の直後にすべてを整えるのは無理があります。この順番で構いません。制度は毎年見直されるので、検討する時期になったら最新の内容を確かめてください。

制度は毎年見直されます。コースの新設や統廃合もあるため、会社設立から時間が経ってから検討する場合は、厚生労働省の公表資料で最新の内容を確かめてください。過去の解説記事の情報がそのまま当てはまるとは限りません。

出典キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)

労務の土台は、補助金の申請でも効く

労務の土台は、補助金の申請でも効く|会社設立の補助金と支援
労務の土台は、補助金の申請でも効く

労務の土台を整えることは、助成金のためだけではありません。補助金の申請でも効いてきます。

国の補助金の多くは、対象を中小企業者や小規模事業者と定めています。線引きに使われるのが、資本金の額と常時使用する従業員の数です。この従業員数を示す書類として、社会保険や労働保険の加入状況が使われることがあります。

また、補助金の対象経費に人件費が含まれる制度では、出勤簿や賃金台帳が根拠になります。会社設立の直後から記録を残しておけば、そのまま使えます。

ただし、同じ人の同じ期間の人件費を、補助金と助成金の両方から受け取ることはできません。重ねる場合は、期間と対象者を分けて記録しておいてください。

補助金の申請では、事業を進めている記録も見られます。契約書、請求書、問い合わせの記録。労務の記録とあわせて残しておくと、会社設立の直後で売上が小さくても、事業が動いていることを示せます。

出典小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)

一人で抱えないための相談先

一人で抱えないための相談先|会社設立の補助金と支援
一人で抱えないための相談先

労務の手続きは、会社設立の直後に一人で回すには量が多すぎます。相談先を分けておいてください。

Q. 労働保険の手続きはどこですか。

A. 労災保険は労働基準監督署、雇用保険は公共職業安定所(ハローワーク)です。保険関係成立届は所轄の窓口へ提出します。

Q. 社会保険の手続きはどこですか。

A. 日本年金機構(年金事務所)です。新規適用届は事実の発生から5日以内に提出します。

Q. 就業規則の作り方を相談したい。

A. 労働基準監督署でも一般的な説明を受けられます。具体的な内容は社会保険労務士に相談してください。

Q. 助成金のコースを知りたい。

A. 都道府県労働局やハローワークです。自社の採用の予定を伝えると、当てはまりそうなコースを教えてもらえます。

Q. 補助金の相談はどこですか。

A. 商工会議所・商工会、市区町村の産業振興の担当課です。助成金の窓口とは分かれています。

どの窓口も無料で相談できます。会社設立の準備で費用がかさむ時期だからこそ、使えるものは使ってください。

出典労働者派遣事業(厚生労働省/2026-09-04 確認)

まとめ|土台を整えれば、支援は後からついてくる

まとめ|土台を整えれば、支援は後からついてくる|会社設立の補助金と支援
まとめ|土台を整えれば、支援は後からついてくる

会社設立の直後に人を雇うなら、労務の土台を先に整えてください。加入手続き、書類の整備、記録の仕組み。この三つが揃っていれば、助成金も補助金も後から狙えます。

この記事の要点

  • 1社会保険の新規適用届は、事実の発生から5日以内
  • 2労働保険の保険関係成立届は成立の日から10日以内、概算保険料の申告・納付は50日以内
  • 3就業規則は義務でなくても作る価値がある。助成金の要件にもなる
  • 4出勤簿と賃金台帳は毎月続ける。あとからさかのぼって作れない
  • 5採用の方法そのものが要件になる制度がある。募集の前に相談する

この記事の期限と要件は、執筆時点で厚生労働省や日本年金機構の公表内容にあたって確認したものです。手続きの詳細は事業の内容と人数によって変わります。会社設立の直後は所轄の窓口にご確認ください。

出典労働保険料の申告・納付(厚生労働省/2026-09-04 確認)

人を雇う準備を始める方へ

労務の手続きは地味で、しかも期限が短いものが並びます。会社設立の直後の忙しい時期に、後回しにしたくなる作業です。ただ、ここを整えておくと採用も助成金も後から動かせます。逆に土台がないと、良い人が見つかっても受け入れられません。まずは所轄の労働基準監督署とハローワーク、年金事務所に一度電話して、自社に必要な手続きを確かめてください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

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