会社設立補助金ドットコム 起業したての方にもわかりやすく解説

一人親方から建設業で法人成りする|使える支援が広がる

公開 文責 会社設立・設立後の補助金のプロ

この記事を読んでほしい方

建設業で一人親方として働いていて、法人成りを考えている方に向けた記事です。会社設立で何が変わり、どんな支援が使えるようになるかを整理します。

一人親方のままでも仕事はできます。ただ、会社設立をすると受けられる仕事も、使える支援も変わります。順に見ていきます。

一人親方が法人成りしたときの変化
一人親方が法人成りしたときの変化

一人親方でも、許可は取れる

一人親方でも、許可は取れる|会社設立の補助金と支援
一人親方でも、許可は取れる

まず誤解を解いておきます。建設業の許可は、法人でなければ取れないわけではありません。

国土交通省が示す要件では、経営業務の管理をおこなう責任者について、法人は常勤役員1人、個人は本人または支配人1人が該当することとされています。個人事業も想定されています。

営業所技術者等の要件も、法人か個人かで変わりません。

財産的基礎も同じです。一般建設業なら、自己資本500万円以上などのいずれかを満たすことが求められます。

つまり、許可を取りたいという理由だけで会社設立をする必要はありません。

では、なぜ法人成りをするのか。理由は別のところにあります。

補助金の面でも、法人だから有利ということはありません。国の補助金の多くは対象を中小企業者や小規模事業者と定めていて、法人か個人事業かで区別していないからです。会社設立の判断に、補助金を持ち込まないでください。

出典建設産業・不動産業:許可の要件(国土交通省/2026-09-04 確認)

許可は、法人として取り直すことになる

許可は、法人として取り直すことになる|会社設立の補助金と支援
許可は、法人として取り直すことになる

すでに個人事業として建設業の許可を持っている方が法人成りをする場合、注意が要ります。

許可は事業主に対して与えられるものです。個人と法人は別の主体なので、そのまま引き継げるとは限りません。

会社設立をして法人として許可を取り直す形になるのが基本です。許可の空白期間が生じないよう、段取りを組んでください。

許可の有効期間は5年間で、期間満了の30日前までに更新の申請が必要とされています。更新の時期と法人成りの時期が重なると、手続きが複雑になります。

事業承継に関する仕組みが設けられている場合もあります。許可行政庁で扱いを確かめてください。

会社設立の時期を決める前に、この確認をしてください。

会社設立の登記が完了しないと、法人としての許可の申請ができません。登記の完了予定日と、許可の申請の日程を同じ表に並べてください。

許可が下りるまでの間は、軽微な建設工事しか請け負えません。その他の建設工事なら1件500万円未満、建築一式工事なら1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅工事という基準です。会社設立の直後にこの制約がかかる期間をどう凌ぐか、仕事の入り方を見て考えてください。

出典建設産業・不動産業:建設業の許可とは(国土交通省/2026-09-04 確認)

社会保険の扱いが、大きく変わる

社会保険の扱いが、大きく変わる|会社設立の補助金と支援
社会保険の扱いが、大きく変わる

法人成りでいちばん変わるのが、社会保険です。

法人の事業所は、常時従業員を使用する場合に健康保険・厚生年金保険の適用事業所となります。役員だけの会社設立でも、報酬を支払うなら対象になります。

事業所が適用されることになった場合、事実の発生から5日以内に新規適用届を日本年金機構へ提出します。会社設立の直後に来る期限のうち、いちばん短いものです。

一人親方のときは国民健康保険と国民年金でした。負担の形が変わるので、会社設立の前に試算しておいてください。

建設業では、元請から社会保険の加入状況を確かめられることがあります。加入していることが取引の条件になる場面もあります。

許可の要件でも、社会保険への適用の届出が求められています。

会社設立の直後に役員報酬をいくらにするかは、この負担と直結します。低くすれば保険料は下がりますが、生活が回らなくなります。税理士と相談して決めてください。

出典新規適用の手続き(日本年金機構/2026-09-03 確認)

人を雇うと、助成金の棚が開く

人を雇うと、助成金の棚が開く|会社設立の補助金と支援
人を雇うと、助成金の棚が開く

法人成りをして人を雇うようになると、支援の幅が広がります。

厚生労働省は、建設事業主等に対する助成金を用意しています。建設労働者の雇用の改善や技能の向上に取り組む事業主が対象です。

公表されているコースには、トライアル雇用助成金の若年・女性建設労働者トライアルコース、人材確保等支援助成金の若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース、作業員宿舎等設置助成コース、建設キャリアアップシステム等活用促進コースなどがあります。

人材開発支援助成金には、建設労働者認定訓練コースと建設労働者技能実習コースが挙げられています。

一人親方のままでは、これらの制度は使えません。人を雇う事業主であることが前提だからです。

会社設立をして人を増やすつもりなら、この棚は大きな意味を持ちます。

補助金と違い、これらの助成金は公募の期間がなく、要件を満たしたときに申請するものが多くあります。その代わり事前の計画の届出や認定が要ります。会社設立の直後に労働局へ相談してください。

補助金のほうも使えなくなるわけではありません。会社設立の直後なら、小規模事業者持続化補助金の創業型という区分があります。人に関する助成金と、事業を伸ばす補助金。二つの棚を並べて見てください。

出典建設事業主等に対する助成金(厚生労働省/2026-09-07 確認)

労働保険の手続きが、前提になる

労働保険の手続きが、前提になる|会社設立の補助金と支援
労働保険の手続きが、前提になる

助成金を使うには、その前に手続きが要ります。

労働者を1人でも雇用したら労働保険の適用事業となり、保険関係が成立した日の翌日から10日以内に保険関係成立届を提出することとされています。

あわせて、労働保険料の申告と納付も必要になります。年度ごとの手続きです。

雇用関係助成金は、労働保険の適用事業所であることを前提にする制度がほとんどです。会社設立の直後にここを飛ばすと、後で使える制度が減ります。

賃金台帳、出勤簿、労働者名簿。支給の申請では、これらの記録が確認されます。

建設業では、現場ごとの労災の扱いもあります。社会保険労務士に相談してください。

会社設立の直後は、事務の担当がいないことがほとんどです。労務の書類は後回しになりがちですが、支援の前提になる部分なので飛ばさないでください。

一人親方のときは自分の労災を特別加入で手当てしていた方も多いはずです。会社設立をして人を雇うと、その人たちの労災は事業主として手当てすることになります。立場が変わるという点を、契約や現場の書類にも反映してください。

出典労働保険の成立手続(厚生労働省/2026-09-04 確認)

技能者の登録という仕組みもある

技能者の登録という仕組みもある|会社設立の補助金と支援
技能者の登録という仕組みもある

建設業には、技能者の経験を業界で共有する仕組みがあります。建設キャリアアップシステムです。

建設業振興基金が運営しています。技能者の資格や就業の履歴を登録し、事業者と現場をつなぐ形です。

厚生労働省の人材確保等支援助成金には、建設キャリアアップシステム等活用促進コースが挙げられています。この仕組みの活用が支援の対象になっているということです。

会社設立をして人を雇うなら、登録を進めるかどうかを検討してください。元請から求められることもあります。

一人親方でも登録はできますが、事業者としての立場が変わると扱いも変わります。

詳しい内容は、システムの公式のページで確かめてください。

会社設立の直後に登録を進めておくと、元請から求められたときにすぐ応じられます。取引の広がりにも関わってきます。

出典建設キャリアアップシステム(建設業振興基金/2026-09-07 確認)

税とインボイスの扱いも変わる

税とインボイスの扱いも変わる|会社設立の補助金と支援
税とインボイスの扱いも変わる

法人成りをすると、税の扱いが変わります。

国税庁は、基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である法人については、消費税の納税義務は免除されないとしています。1,000万円未満なら、原則として1期目と2期目は免除されます。

ただし、インボイスの登録をすると扱いが変わります。適格請求書発行事業者の登録申請の手続きは国税庁が案内しています。

登録番号は事業者ごとに付されます。一人親方として登録していても、会社設立をしたら法人として登録し直す必要があります。

建設業では元請が課税事業者であることが多く、インボイスを求められる場面が少なくありません。取引先の状況を確かめてください。

個人事業の廃業の届出も忘れずに。税務署への手続きが両方に発生します。

会社設立の資本金を1,000万円未満にすれば免除が残りますが、許可の財産的基礎との兼ね合いも見てください。一般建設業なら500万円以上で足りるので、両立できます。

一人親方のときに免税事業者だった方が会社設立をすると、取引の条件が変わることがあります。元請が仕入税額控除を求めるなら、法人として登録するほうが取引を続けやすくなります。補助金の話より、こちらのほうが売上に直結します。

出典D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)(国税庁/2026-09-03 確認)

法人成りの段取り

法人成りの段取り|会社設立の補助金と支援
法人成りの段取り

ここまでを、建設業で法人成りをするときの順番としてまとめます。

  1. 許可行政庁に相談し、許可の扱いと段取りを確かめる
  2. 資本金を決める(許可の要件、消費税、支援の枠を見て)
  3. 市区町村の創業支援を受け、証明を取る(登録免許税の軽減)
  4. 会社設立の登記を申請する
  5. 社会保険5日以内、労働保険は雇った翌日から10日以内、税務は2月以内
  6. 法人として許可を申請し、インボイスの登録も済ませる

資金が要るなら、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金も選択肢です。事業開始後おおむね7年以内の方も対象とされています。

Q. 一人親方でも建設業の許可は取れますか。

A. 取れます。要件は法人と共通です。

Q. 許可はそのまま引き継げますか。

A. 主体が変わるので取り直しになるのが基本です。許可行政庁で確かめてください。

Q. 法人成りで使える支援は増えますか。

A. 人を雇うようになると、建設事業主等に対する助成金が視野に入ります。

Q. 社会保険はどうなりますか。

A. 法人の事業所は適用事業所になります。役員報酬があれば対象です。

Q. インボイスの番号は引き継げますか。

A. 事業者ごとの番号なので、法人として登録の申請が必要です。

補助金の申請を考えるのは、この六つが片づいてからで構いません。会社設立の直後は、許可と届出が最優先です。

出典新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)

まとめ|広がるのは、人に関する支援

まとめ|広がるのは、人に関する支援|会社設立の補助金と支援
まとめ|広がるのは、人に関する支援

建設業で法人成りをすると、使える支援が広がります。ただ、広がるのは主に人に関する部分です。

この記事の要点

  • 1建設業の許可は、一人親方でも取れる。法人限定ではない
  • 2法人成りをすると、許可は取り直しになるのが基本
  • 3法人の事業所は社会保険の適用事業所になる。役員報酬があれば対象
  • 4人を雇うと、建設事業主等に対する助成金が視野に入る
  • 5インボイスの登録は法人として取り直す

制度を横断して探すなら、J-Net21のような支援情報のサイトも使えます。法人成りの準備の段階で一度見ておいてください。

この記事は2026年9月時点で国土交通省や厚生労働省、日本年金機構、国税庁、建設業振興基金、日本政策金融公庫の公表内容にあたって確認した内容です。要件は変わります。会社設立を進める前に、必ず最新の情報と窓口でご確認ください。

出典J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)

法人成りを考えている一人親方の方へ

一人親方として続けるか、会社設立をするか。この判断に、支援の有無だけで答えは出ません。ただ、人を雇うつもりがあるなら話は変わります。建設業には人の確保と育成に効く助成金が用意されていて、それは事業主でないと使えません。まずは都道府県の許可行政庁と労働局に、いまの状況を話してみてください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。

この記事は、会社設立の補助金を調べるうえで役に立ちましたか。

押した数はこの端末にも記録され、同じ記事では一度だけ数えます。

あわせて読みたい、会社設立と補助金の記事

会社設立の進め方や、設立後に出せる補助金の支援メニューを別の切り口でまとめた記事です。

補助金を自分で調べるのは時間がかかります

補助金のプロに相談

※ 弊社調べによるものです。