助成金から会社設立を考える|人を雇う前提で組み立てる進め方
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会社設立の計画に、はじめから人を雇うことが入っている方に向けた記事です。雇用の助成金は要件を満たせば受けられるものが多い一方、順番を間違えると取り返せません。補助金より先に、こちらの時間軸で会社設立の段取りを組む考え方をまとめました。
補助金は審査があり、通らないこともあります。それに対して厚生労働省系の助成金は、要件を満たせば受けられるものが多くあります。人を雇う予定があるなら、助成金の時間軸を先に置いて会社設立を設計するほうが確実です。

01助成金は「選ばれるもの」ではなく「満たすもの」

補助金と助成金は、しばしば同じ棚に並べられます。ただ、性格はかなり違います。補助金は予算の枠と採択の件数が決まっていることが多く、審査で選ばれる仕組みです。
厚生労働省系の助成金は、要件を満たせば受けられるものが多くあります。狙いが雇用と労働環境の改善にあるため、取り組みそのものを評価する設計になっているからです。
会社設立の計画に人を雇うことが入っているなら、この違いは大きな意味を持ちます。補助金は通らないかもしれませんが、助成金は要件を満たせば見通しが立つからです。
助成金を軸にするときの考え方
- 1採否ではなく、要件を満たせるかで判断する
- 2取り組みの前に手続きが必要なものが多い
- 3後払いなので、人件費は自前で払える計画にする
- 4厚生労働省が雇用関係助成金の一覧を公表している
厚生労働省は雇用関係の助成金を一覧で公表しています。会社設立の準備の段階で一度目を通し、自社の採用の予定に近いものを見つけておいてください。
名前に惑わされない
「助成金」という名前でも審査がある制度、「補助金」という名前でも要件を満たせば通る制度があります。自治体の制度では特に呼び名が揺れています。会社設立の場面で判断するときは、名前ではなく募集要項の中身を見てください。
支援の性格が違うということは、準備の仕方も違うということです。補助金では審査の観点に沿った計画書を書くことに力を入れますが、助成金では順番と書類をそろえることに力を入れます。会社設立の直後に使える時間は限られているので、どちらに寄せるかを決めておいてください。
出典:雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)
02会社設立の直後は、加入手続きの期限が短い

雇用の助成金は、労働保険や社会保険への加入が前提になっているものがほとんどです。会社設立の直後にここが済んでいないと、どのコースにも進めません。
厚生労働省の説明によれば、適用事業の事業主は、保険関係成立の日から10日以内に「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署または公共職業安定所へ提出しなければならないとされています。
あわせて、概算保険料の申告・納付の手続きは、保険関係が成立した日から50日以内とされています。会社設立の直後にこの二つの期限が来ます。
社会保険については、事業所が健康保険・厚生年金保険に適用されることになった場合、事実の発生から5日以内に新規適用届を日本年金機構へ提出します。こちらがいちばん短い期限です。

これらの手続きは、支援を受けるためだけのものではありません。人を雇う以上は必要な義務です。会社設立の直後は同時に多くの期限が来るので、一覧にして消し込んでいくのが確実です。
出典:労働保険の成立手続(厚生労働省/2026-09-04 確認)
03就業規則と記録が、助成金の土台になる

雇用の助成金でつまずくのは、審査ではなく書類です。要件を満たしていても、それを示す記録がないと支給されません。
支給申請では、出勤簿や賃金台帳、労働条件通知書、就業規則といった書類の提出を求められます。会社設立の直後は、こうした書類の様式から用意することになります。

社会保険労務士に最初だけ見てもらうと、後の手戻りが減ります。費用はかかりますが、要件を満たせずに支給されないことを考えると、結果的に安く付くことがあります。
これらの書類は、助成金のためだけのものではありません。就業規則や労働条件の書面がしっかりしていると、採用の場面で応募者に安心してもらえます。会社設立したばかりの会社にとって、この効果は小さくありません。
記録は毎月続けてください。支給申請の直前にまとめて作ろうとしても間に合いません。会社設立の直後から、月末の締めのときに整理する習慣を作っておくと、決算のときにもそのまま使えます。
出典:キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)
04キャリアアップ助成金は、計画の提出が先

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった非正規雇用の方の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇の改善に取り組んだ事業主を助成する制度です。
いちばん大事なのは順番です。各コースの実施日の前日までに、キャリアアップ計画を提出することが求められます。先に正社員化してしまってから申し込むことはできません。
会社設立の直後は勢いで人事を決めがちです。ここは意識して、取り組みの前に手続きを済ませてください。計画の提出は、窓口への持参、郵送、電子申請でおこなえます。
採用時から正社員として雇うことが前提だった方や、過去に一定期間その会社で正社員だった方は対象外とされるなど、細かい除外の定めがあります。会社設立の直後に身近な人を雇う場面では、この点を先に確かめてください。
出典:キャリアアップ助成金(厚生労働省/2026-09-03 確認)
05トライアル雇用は、紹介を受けてから雇う

トライアル雇用助成金の一般トライアルコースは、就業経験の不足などで就職が難しい方を、一定期間試しに雇い入れることで、早期の就職と雇用機会の創出を図る制度です。
要件の中心は三つです。ハローワーク等の紹介を受けて雇い入れること、原則3か月のトライアル雇用をおこなうこと、そして週の所定労働時間が通常の労働者と同程度(30時間以上)であること。支給額は対象者1人あたり月額最大4万円で、最長3か月です。
会社設立の直後に人を探すとき、知人の紹介や求人サイトを使うことが多いと思います。ただ、この制度を使うならハローワーク等の紹介という入口を通る必要があります。採用の方法そのものを設計に入れてください。
ハローワークを使うと、募集の書き方から相談に乗ってもらえます。会社設立したばかりで採用の経験がない場合、助成金を抜きにしても価値のある窓口です。
トライアル雇用は、双方が見極める期間でもあります。会社設立の直後は、どんな人が自社に合うのかが自分でも分かっていないことが多いものです。試す期間を支援の枠組みとして持てるという点は、金額以上に価値があるかもしれません。
出典:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)(厚生労働省/2026-09-03 確認)
06地域によっては、上乗せの制度がある

雇用の助成金には、地域を要件にしたものもあります。地域雇用開発助成金の地域雇用開発コースは、事業所の設置等の費用と雇い入れで増加した労働者数に応じて助成される制度です。
こうした制度は、対象の地域が指定されています。自社の事業所が入っているかどうかは、都道府県労働局に確認するのが確実です。会社設立の場所を決める段階で問い合わせておくと、選択肢が広がります。
支給額や上乗せの仕組みは、計画の提出時期や地域の区分によって変わります。厚生労働省が制度の内容を公表していますので、金額は必ず最新の資料でご確認ください。
自治体が独自に、地域での雇用に対する支援を用意していることもあります。市区町村の産業振興の担当課で、あわせて確認してください。国の助成金と重ねて使える場合もあります。
地域の要件がある支援は、会社設立の場所を決める材料にもなります。家賃や通勤のしやすさと並べて、どの地域なら支援が届くかを比べてみてください。事業所を置く場所は一度決めると変えにくい部分です。
出典:地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)(厚生労働省/2026-09-04 確認)
07助成金も後払い。人件費は自前で払う

雇用の助成金も後払いです。取り組みを終えて支給申請をおこない、確認が済んでから支給されます。会社設立の直後の人件費を助成金で賄うことはできません。
給与と社会保険料の会社負担分は、毎月出ていきます。売上が立つ前から発生する固定費です。助成金が入るのはずっと後なので、その間の資金を用意しておく必要があります。
ここを埋めるのが融資です。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)、元金の据置期間は5年以内に設定できます。
支給申請にも期限があります。取り組みを終えてから所定の期間内に申請しないと受けられません。会社設立の直後は忙しく、この期限を逃しやすいので、カレンダーに入れておいてください。
支給までの期間は制度とコースによって変わります。会社設立の資金計画では、助成金が入る時期を当てにせず、人件費を自前で払い続けられる前提で組んでください。支援は上乗せとして扱うのが安全です。
出典:新規開業・スタートアップ支援資金(日本政策金融公庫/2026-09-03 確認)
08補助金は、その後に重ねる

助成金の段取りが固まったら、補助金を重ねられます。目的と対象経費が重ならなければ、両方受けられることがあります。
ただし、同じ経費に二重に支援を受けることは認められません。特に人件費は重なりやすい費目です。期間と対象者を分けて記録しておいてください。
補助金の側で会社設立の直後に取りかかりやすいのは、販路開拓の制度です。小規模事業者持続化補助金は、自ら策定した経営計画にもとづく販路開拓等の取組を支援する制度で、申請にあたっては地域の商工会議所・商工会への相談と計画書の確認が必須とされています。
Q. 助成金と補助金、どちらを先に当たるべきですか。
A. 人を雇う予定があるなら助成金が先です。採用の前にやることが決まっていて、後から満たせないためです。
Q. 両方を同時に進めても大丈夫ですか。
A. 会社設立の直後は人手が限られます。片方ずつ進めて、一本目を完了させてから次に取りかかるほうが安全です。
Q. 助成金のために採用の人数を増やすべきですか。
A. おすすめしません。人件費と社会保険料の会社負担分は毎月かかり続けます。事業に必要な人数で判断してください。
出典:小規模事業者持続化補助金(中小企業庁/2026-09-03 確認)
09まとめ|雇用の時間軸で、会社設立を設計する

人を雇う前提の会社設立なら、助成金の時間軸を先に置いてください。加入手続き、書類の整備、計画の提出、そして採用。この順番でしか進められません。
この記事の要点
- 1助成金は要件を満たせば受けられるものが多い。補助金とは性格が違う
- 2労働保険の保険関係成立届は成立の日から10日以内、概算保険料の申告・納付は50日以内
- 3社会保険の新規適用届は事実の発生から5日以内
- 4キャリアアップ助成金は、各コースの実施日の前日までに計画を提出する
- 5トライアル雇用はハローワーク等の紹介が前提。採用の方法そのものが要件になる
この記事の期限と要件は、執筆時点で厚生労働省などの公表内容にあたって確認したものです。コースの内容や支給額は年度ごとに見直されます。会社設立の直後に採用を検討する段階では、必ず都道府県労働局やハローワークにご確認ください。
出典:労働保険料の申告・納付(厚生労働省/2026-09-04 確認)
採用を前提に会社設立をする方へ
人を雇うことが最初から決まっているなら、会社設立の段取りは補助金ではなく助成金の時間軸で組んでください。加入手続きの期限は10日や5日と短く、計画の提出は取り組みの前です。どれも後から取り返せません。募集をかける前に、一度だけ都道府県労働局かハローワークに電話してみてください。当てはまりそうな制度と、先にやるべきことを教えてもらえます。
99他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。
- 補助金ポータル|トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
雇用系の助成金を、申請の可否が分かる粒度で紹介している専門サイトです。
- HTM税理士法人|会社設立でお得な助成金・補助金一覧
税理士事務所の視点で、会社設立に使える補助金を申請方法まで含めて並べています。
- ベンチャーサポート|会社設立時に使える補助金・助成金11選
会社設立の時期に絞って11の制度を挙げ、申請の流れと注意点まで説明しています。
- マネーフォワード クラウド会社設立|創業・会社設立で使える補助金・助成金まとめ
国の制度と東京都の創業助成金を並べて、会社設立の支援メニューを整理しています。
- タケバ会計事務所|会社設立の補助金・助成金おすすめ5選
会計事務所が、会社設立時に使える支援を5つに絞り、条件と申請手順をまとめています。
- 創業手帳|会社設立時に申請できる補助金・助成金とは
会社設立のタイミングで申請できる制度に絞って、要件と流れをまとめています。
- freee|会社設立時に最適な助成金・補助金は?
会社設立の前後で使える補助金と助成金を、金額・条件・申請方法の順に一覧でまとめた解説ページです。
- マネーフォワード|合同会社の設立前後に使える補助金・助成金10選
合同会社という形に絞って、設立の前後で使える支援を10件並べています。
- 千代田税理士法人|会社設立前後に使える補助金・助成金
会社設立の前と後で分けて、それぞれの時期に申請できる支援を解説しています。
- 税理士法人FLAGS|会社設立の補助金・助成金ガイド
名古屋の税理士による解説で、創業資金の不安に沿って申請条件と種類を整理しています。
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