地域限定旅行業という入口|会社設立の負担がいちばん軽い区分
この記事を読んでほしい方
旅行の事業をしたいが、用意できる資金が限られている方に向けた記事です。
基準資産100万円、営業保証金15万円。協会に入れば3万円。ここから始める道があります。

四つの区分で、いちばん軽い

旅行の事業を始めたいが、資金が限られている。
そういう方に道があります。
地域限定旅行業です。
旅行業法施行規則第三条では、地域限定旅行業を営もうとする者の基準資産額は百万円とされています。
第一種の三千万円と比べると、三十分の一です。
第二種の七百万円、第三種の三百万円と比べても、はっきり低くなっています。
会社設立の資本金を百万円台で組める方なら、手が届く水準です。
旅行の事業で会社設立をするなら、まずこの区分を検討してください。
最初から大きく始める必要はありません。
会社設立の資本金をいくらにするかは、この基準資産額から逆算することになります。補助金の要件で見られる資本金の額とも、あわせて考えてください。
旅行の事業は、資金の壁が高い業種だと思われています。実際、第一種を目指せばそのとおりです。ただ、区分が四つに分かれているのは、規模の小さい事業者にも道を開くためでもあります。会社設立で最初から上を目指す必要はありません。補助金の支援も、事業が動き出してからのほうが取りやすくなります。
出典:旅行業法施行規則(昭和四十六年運輸省令第六十一号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)
営業保証金も、桁が違う

営業保証金も見ます。
観光庁の資料では、前事業年度の取引の額が400万円未満の場合、地域限定旅行業の登録を受けた者の営業保証金は15万円とされています。
第一種の7,000万円、第二種の1,100万円、第三種の300万円と比べてください。
桁が違います。
さらに、旅行業協会の保証社員になれば、弁済業務保証金分担金は3万円です。
つまり、会社設立の直後に用意する額としては、ごく小さいということです。
基準資産額の百万円と合わせても、負担は限られます。
旅行の事業で会社設立をする入口として、これほど低い区分はありません。
ただし、扱える範囲には制限があります。
会社設立の直後に用意する現金として、この額なら現実的です。補助金は後払いなので、こうした初期の支出には使えません。自己資金で足りる水準かどうかが、判断の分かれ目になります。
ただし、取引額が増えれば営業保証金も上がります。地域限定でも、取引額5,000万円未満で100万円、2億円未満で300万円という段が用意されています。会社設立から事業が伸びたときの負担も、頭に入れておいてください。
出典:営業保証金制度の概要(観光庁/2026-09-09 確認)
扱える範囲が限られる

負担が軽い代わりに、業務の範囲は狭くなります。
観光庁の案内では、旅行業者等は業務の範囲により、第一種旅行業者、第二種旅行業者、第三種旅行業者、地域限定旅行業者、旅行業者代理業者に区分されるとされています。
地域限定旅行業は、その名のとおり地域が限られます。
主たる営業所の所在地の市町村と、その隣接する市町村などの範囲です。
つまり、遠方への旅行を企画して売ることはできません。
海外旅行も扱えません。
会社設立でこの区分を選ぶなら、地元の観光を軸にすることになります。
詳しい範囲は、条文と省令で確かめてください。
登録するのは、都道府県知事です。
会社設立の場所が、そのまま扱える範囲を決めることになります。本店をどこに置くかは、事業の設計そのものです。
範囲の細かい定義は、条文と省令で決まっています。自分の企画したい旅行が収まるかどうかは、登録行政庁に確かめてください。会社設立の前に聞いておけば、後から区分を変える手間が省けます。
出典:旅行業法概要(観光庁/2026-09-09 確認)
地元の観光には、むしろ向いている

範囲が狭いことは、必ずしも弱点ではありません。
地元の観光を売る事業なら、そもそも広い範囲は要りません。
体験の企画、農山漁村での滞在、まち歩きの案内。
こうした事業は、地域に根ざしているほど強くなります。
大手が扱わない細かい商品を、地元の会社が作る。
その形なら、地域限定でも十分に成り立ちます。
会社設立でこの区分を選ぶ方の多くは、その狙いです。
旅行業法の目的にも、旅行の安全の確保および旅行者の利便の増進を図ることが掲げられています。
きちんと登録して営むことが、信用にもつながります。
会社設立の後に販路を広げるときは、補助金の支援が使えます。小規模事業者持続化補助金は販路開拓の取組を支援する制度です。
地域の宿や飲食店、体験の提供者と組む形になるので、その関係を作ることが事業の土台になります。会社設立の準備の段階から、地元を回っておいてください。補助金の情報も、そうした場で回ってきます。
登録を受けているかどうかは、旅行者の側も気にします。無登録の事業者との取引を避けたい人は多く、登録番号を掲げられること自体が営業の材料になります。会社設立をして正式に登録する意味は、そこにもあります。
出典:旅行業法(観光庁/2026-09-09 確認)
資格も、地域限定の試験でよい

人の要件も見ておきます。
観光庁の案内では、主たる営業所所在地の隣接市町村までの範囲の旅行業務であれば、地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者が必要とされています。
つまり、総合や国内の試験でなくてもよいということです。
試験の範囲が狭いぶん、準備の負担も軽くなります。
観光庁は、地域限定旅行業務取扱管理者試験の実施を案内しています。
ひとりで会社設立をするなら、自分がこの試験を受けることになります。
営業所ごとに一人以上を選任しなければならず、旅行業務を取り扱う者が一人である営業所にも適用されるためです。
つまり、資産も人も、地域限定なら最も軽い形で揃えられます。
会社設立の入口として、理にかなった区分です。
会社設立の準備で、試験の日程がいちばん動かせない部分になります。補助金の公募の暦より、こちらを優先してください。
試験に合格しても、登録の申請から通知までに時間がかかります。会社設立の日を決めるときは、その分も見込んでください。補助金の公募に合わせたいなら、なおさら余裕が要ります。
出典:地域限定旅行業務取扱管理者試験(観光庁/2026-09-09 確認)
移住して始める人にも合う

この区分は、移り住んで事業を始める方にも合います。
地域の資源を使う事業なので、そこに住んでいることが強みになります。
自治体によっては、移住と創業を支える制度もあります。
会社設立の場所を決めるとき、市区町村の支援もあわせて確かめてください。
小規模事業者持続化補助金には創業型があり、創業後1年以内の小規模事業者等が対象とされています。
創業後・事業開始前の事業者も対象に含まれるとされています。
この枠には、市区町村の特定創業支援等事業の支援を受けていることという前提があります。
会社設立の前に証明を取っておけば、補助金の入口も開きます。
登録の準備と並行して、支援の準備も進めてください。
会社設立の後に地域の事業者と組むなら、補助金の支援でその取組を支えられることもあります。
移住して会社設立をするなら、住むところと事業所の両方を決めることになります。時間の見積もりは多めに取ってください。支援の制度にも、居住の要件が付くものがあります。
出典:小規模事業者持続化補助金(創業型)について(中小企業庁/2026-09-03 確認)
始めてから、上の区分へ移る道もある

地域限定で始めても、そのままである必要はありません。
事業が育ったら、上の区分へ移ることができます。
ただし、そのときは基準資産額も営業保証金も上がります。
第三種なら基準資産三百万円、営業保証金は取引額400万円未満で300万円です。
資格も、扱う範囲に応じた試験の合格者が必要になります。
つまり、区分を上げるには相応の体力が要るということです。
登録の有効期間は五年なので、更新の時期に合わせて考える方法もあります。
会社設立の直後から大きな区分を目指すより、段階を踏むほうが現実的です。
まず地域限定で実績を作ってください。
会社設立から数年で区分を上げるなら、その資金も補助金では埋まりません。融資と利益で作ることになります。
区分を上げると、扱える範囲が広がります。遠方への企画や海外まで手を伸ばせるようになります。会社設立から数年かけて、そこを目指すという計画も立てられます。
出典:旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)(e-Gov法令検索/2026-09-09 確認)
始めるまでの手順

地域限定旅行業で会社設立をするなら、次の順です。
- 扱う範囲が地域限定で足りるかを確かめる
- 地域限定旅行業務取扱管理者試験の日程を調べる
- 基準資産額百万円を満たす資本金を設計する
- 営業保証金15万円(協会に入るなら分担金3万円)を用意する
- 市区町村の特定創業支援等事業の証明を取る
- 会社設立の登記をして、都道府県知事に登録を申請する
日本政策金融公庫は創業計画書の様式と記入例を公開しています。必要な資金と調達の方法を、そこに書き込んでください。
Q. 基準資産額はいくらですか。
A. 地域限定旅行業を営もうとする者は百万円とされています。
Q. 営業保証金はいくらですか。
A. 取引額400万円未満なら15万円です。協会の保証社員なら分担金3万円になります。
Q. どこに登録しますか。
A. 第二種・第三種と同じく、都道府県知事が登録を行うとされています。
Q. 資格はどれが要りますか。
A. 隣接市町村までの範囲なら、地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者でよいとされています。
Q. 後から区分を上げられますか。
A. 上げられますが、基準資産額・営業保証金・資格の要件も上がります。
会社設立の登記と登録の申請は別の手続きです。順番を間違えないでください。
証明を取っておけば、会社設立の登録免許税も半分になる場合があります。支援は重ねて使ってください。
出典:創業計画の書き方|START 政策金融公庫の創業支援(日本政策金融公庫/2026-09-08 確認)
まとめ|小さく始めて、育てる

地域限定旅行業は、旅行の事業の入口として現実的な選択です。
この記事の要点
- 1基準資産額は百万円。第一種の三千万円と比べて三十分の一
- 2営業保証金は取引額400万円未満で15万円。協会の保証社員なら分担金3万円
- 3登録するのは都道府県知事
- 4資格は、隣接市町村までの範囲なら地域限定旅行業務取扱管理者試験の合格者でよい
- 5扱える範囲は限られるが、地元の観光を売る事業なら十分に成り立つ
会社設立の資金が限られていても、旅行の事業に入る道は残されています。補助金の支援も、その先で使えます。
制度を横断して探すなら、J-Net21のような支援情報のサイトも使えます。旅行業の登録とあわせて見てください。
この記事は2026年9月時点で観光庁、旅行業法、旅行業法施行規則、中小企業庁の公表内容にあたって確認した内容です。要件は改正されることがあります。必ず観光庁と登録行政庁でご確認ください。
出典:J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト(中小機構/2026-09-03 確認)
三千万円は無理だと思った方へ
旅行業の登録を調べて、基準資産三千万円という数字を見て諦めた方がいるはずです。ただ、それは第一種の話です。地域限定なら百万円。営業保証金も15万円、協会に入れば3万円です。扱える範囲は狭くなりますが、地元の観光を売るなら十分に足ります。会社設立の入口として、この区分から考え直してみてください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
会社設立の補助金について調べるときに、あわせて見られているサイトです。掲載の順番は、おすすめの度合いや優劣を示すものではありません。内容は各サイトの運営者にご確認ください。
- 旅行業ガイド|基準資産額の計算方法
旅行業に必要な基準資産額の計算方法と、足りないときの対処を解説した記事。
- 旅行業登録に必須の基準資産額|確認方法
旅行業登録で求められる基準資産額の考え方と確認方法をまとめたページ。
- 旅行業登録ナビ|旅行業登録の要件と種別
旅行業登録の要件と種別を、申請サポートの立場から整理したページ。
- 旅行業登録とは 第1種・第2種・第3種・地域限定の違い
旅行業の四つの登録区分と業務範囲の違いを整理した解説ページ。
- 旅行業登録シグマ|旅行業登録の完全ガイド
旅行業登録の種別・費用・期間を行政書士が解説したガイド記事。
- 行政書士高橋いさお事務所|旅行業登録の要件と手続き
旅行業登録の要件・必要書類・手続きの流れをまとめた行政書士事務所の解説。
- いえらぶ|不動産会社設立の流れと必要な費用
不動産会社の設立の流れと費用を、補助金や設立後の要点まで含めて解説しています。
- マネーフォワード クラウド会社設立|千葉県で受けられる創業支援は?
千葉県の補助金・融資・相談窓口を会社設立の視点で整理しています。
- GMOあおぞらネット銀行 起業応援ナビ|会社設立に使える助成金・補助金
会社設立に使える制度を年度ごとに整理して解説しています。
- HTM税理士法人|会社設立でお得な助成金・補助金一覧
税理士事務所の視点で、会社設立に使える補助金を申請方法まで含めて並べています。
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