東京都のどの区で会社設立するか|支援の厚みと事業所の要件で比べる
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東京都で会社設立をする予定で、事業所の場所をまだ決めていない方に向けた記事です。都の制度は都内どこでも同じですが、区市町村の支援は住所地で切り分けられます。何を比べればいいのかを整理しました。
東京都の支援には二つの層があります。都全体で使えるものと、区市町村ごとに違うもの。会社設立の本店をどこに置くかで変わるのは後者です。比べ方を見ていきます。

都の制度は、都内ならどこでも同じ

まず押さえておきたいのが、東京都の制度は都内ならどこで会社設立をしても同じ条件だという点です。区によって有利不利はありません。
東京都の創業助成事業は、都内で創業を予定している方または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方が対象です。助成限度額は上限400万円・下限100万円、助成率は3分の2以内、助成対象期間は交付決定日から6か月以上2年以下とされています。
東京都中小企業制度融資の『創業』も同じです。都内に事業所があることが前提で、融資限度額は3,500万円、返済期間は設備資金10年以内・運転資金7年以内(いずれも据置期間1年以内を含む)とされています。
つまり、都の支援を目当てにするなら、都内であればどこで会社設立をしても構いません。比べる意味があるのは、次に見る区市町村の層です。
ただし、都の制度にも要件はあります。創業助成事業では、指定された創業支援の利用が申請の前提とされています。都内であればどこでも同じ条件という意味であって、誰でも申請できるという意味ではありません。
制度融資については、東京信用保証協会の保証が必要になります。会社設立の直後で実績がない時期でも相談できる仕組みですが、事業計画と自己資金の状況は見られます。
国の補助金も全国共通です。小規模事業者持続化補助金のような制度は、東京都で会社設立をしたから通りやすいということはありません。地域で差が出るのは、区市町村と都の独自の支援だけだと考えてください。
出典:創業助成金(東京都中小企業振興公社)(東京都創業NET/2026-09-04 確認)
区市町村の層で、差が出る

区市町村の支援は、住所地で対象が決まります。会社設立の本店をどこに置くかで、使える制度が変わります。
まず確かめたいのが、特定創業支援等事業の証明が取れるかどうかです。産業競争力強化法にもとづく創業支援等事業計画の認定を受けた区市町村が対象で、中小企業庁が一覧を公表しています。
証明を受けると、会社設立の登記にかかる登録免許税が半額になります。株式会社なら最低15万円が7万5千円、合同会社なら6万円が3万円です。審査がなく、証明さえあれば登記のその日に効きます。

証明のもう一つの効き目として、無担保・第三者保証人なしの創業関連保証を事業開始の6か月前から利用できるようになる扱いがあります。会社設立の前に資金の準備を進めたい方には、この点も効きます。
証明を取るには、区市町村の支援を継続的に受ける必要があります。受講の回数や期間は区市町村ごとに定められていて、証明書の発行にも日数がかかります。会社設立の1〜3か月前から動いてください。
会社設立の登記が済んでからでは取れません。時期の縛りが厳しい制度なので、場所を決める段階で日程も一緒に確かめておくと安全です。
出典:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁/2026-09-03 確認)
区独自の補助金と家賃補助を確かめる

区市町村独自の補助金があるかどうかも、比べる材料になります。金額は都の制度より小さめですが、対象が区内に限られるぶん、会社設立まもない事業者にも順番が回ってきやすい面があります。
特に見ておきたいのが家賃補助です。会社設立の直後は売上が読めない時期なので、毎月効く支援は資金繰りに素直に効きます。一度きりの補助金より、こちらのほうが助かる場面もあります。
区によって、創業に関する相談窓口の充実度も違います。専門家による無料相談を定期的に開いている区もあります。会社設立の直後に相談できる場所が近いかどうかは、意外に効いてきます。
区によっては、創業に関するセミナーや個別相談を定期的に開いています。証明を取るための受講と兼ねられる場合もあるので、窓口で「両方を狙いたい」と伝えておくと、必要な手順をまとめて教えてもらえます。
補助金の額だけでなく、申請の手間も比べる材料になります。同じ金額でも、提出書類が少ない制度のほうが会社設立の直後には取り組みやすくなります。窓口で申請の流れも聞いておいてください。
出典:助成金(東京都中小企業振興公社/2026-09-03 確認)
事業所の実態が求められることがある

会社設立の費用を抑えるために、自宅を本店にしたりバーチャルオフィスを使ったりすることがあります。ただ、支援の対象になるかどうかで扱いが変わることがあります。
東京都の制度融資では、都内に事業所(個人事業者は事業所または住所)があることが前提とされています。区市町村の補助金でも、賃貸借契約書の提出を求められることがあります。
会社設立の前は法人が存在しないので、賃貸借契約は個人名義で結ぶことになります。設立後に法人名義へ切り替えられるかを、貸主に事前に確かめておいてください。
許認可が必要な業種では、事業所の要件がさらに厳しくなります。会社設立の場所を決める前に、自分の事業に許認可が必要かどうかも確かめてください。
自宅を本店にする場合でも、生活の場と事業の場が区切られていれば認められることがあります。判断は制度ごと、区市町村ごとに違います。会社設立の前に、想定している形を具体的に伝えて確かめてください。
出典:東京都中小企業制度融資『創業』(東京都創業NET/2026-09-04 確認)
家賃と支援を、同じ表で比べる

場所を決めるとき、家賃と支援を同じ表に置いてみてください。東京都内は区によって家賃の水準が大きく違うので、年間の金額に換算すると比べやすくなります。

家賃が月2万円高くても、年間で数十万円の支援が受けられるなら、そちらのほうが有利になることがあります。ただし支援は年度ごとに変わるので、継続する前提では計算しないでください。
逆に、支援が薄くても顧客に近い場所のほうが売上につながる、という判断もあります。会社設立の場所は事業の中身で決めるのが基本で、支援は判断材料の一つです。
表を作るときは、支援を受けられなかった場合も並べてみてください。補助金は審査があり、通らないこともあります。支援がゼロでも成り立つ場所かどうかが、会社設立の判断としては本筋です。
出典:融資・助成制度(東京都創業NET/2026-09-03 確認)
商工会議所・商工会の管轄も見ておく

国の補助金でも、地域とのつながりが要る制度があります。小規模事業者持続化補助金では、地域の商工会議所・商工会への相談と計画書の確認が必須とされています。
どの商工会議所・商工会の管轄になるかは、事業所の場所で決まります。東京都内では、区によって管轄が変わります。
会社設立の場所を決めるとき、相談に通いやすいかどうかも見ておいてください。締切前は混み合うので、何度か足を運ぶことになります。
会員でなくても相談に応じてくれるところが多くありますが、継続的に支援を受けたいなら入会を検討する価値があります。会社設立の直後に相談相手ができる意味は小さくありません。
商工会議所・商工会は、補助金の相談だけでなく地域の事業者との接点にもなります。会社設立の直後は取引先が少ない時期ですから、この面での価値も見ておいてください。
出典:小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁/2026-09-03 確認)
決めた後に変えると、手間がかかる

会社設立の本店所在地は、後から変えると変更の登記が必要です。登録免許税もかかりますし、取引先への連絡も要ります。
支援の面でも影響があります。区市町村の補助金は住所地が条件なので、移転すると対象から外れることがあります。逆に、移転先で新たに使える制度が出てくることもあります。
補助金の事業を進めている途中で移転する場合は、事務局への連絡が必要になることがあります。会社設立の後に移転の予定があるなら、申請の前に相談してください。
だからこそ、会社設立の段階で場所を比べる意味があります。三十分の電話を数本かけるだけで、後の手間をかなり減らせます。
移転の予定があるなら、そのことも窓口に伝えてください。制度によっては、一定期間その地域で事業を続けることが条件になっていることがあります。会社設立の後に条件を外してしまうと、返還を求められることもあります。
出典:商業・法人登記申請手続(法務局/2026-09-03 確認)
比べるときの手順

区を比べる作業は、インターネットで探すより電話のほうが早く済みます。担当者はその地域で使える制度を一通り把握しているからです。
Q. どこに電話すればいいですか。
A. 区市町村の産業振興の担当課です。名称は自治体によって違いますが、「創業支援について聞きたい」と伝えればつないでもらえます。
Q. 何を伝えればいいですか。
A. 何をする事業か、会社設立の予定日はいつか、いくらぐらい使う見込みか。この三つです。
Q. まだ場所を決めていないと言ってもいいですか。
A. 構いません。むしろその段階のほうが、選択肢を広く教えてもらえます。
Q. 都の制度は区によって変わりますか。
A. 変わりません。都内であればどこで会社設立をしても同じ条件です。
Q. 支援が薄い区は避けるべきですか。
A. 事業の中身で決めるのが基本です。支援は判断材料の一つとして扱ってください。
聞いた内容は、区ごとにメモしておいてください。会社設立の準備は数か月にわたるので、記憶だけでは追えなくなります。
複数の区に問い合わせるのは、失礼なことではありません。事業所をどこに置くか決める前に比べるのは自然なことです。担当者もその前提で答えてくれます。
出典:経営革新計画|経営支援(東京都産業労働局/2026-09-03 確認)
まとめ|都の層は同じ、区の層で比べる

東京都で会社設立をするとき、都の制度は都内どこでも同じ条件です。差が出るのは区市町村の層で、証明が取れるか、独自の補助金があるかが分かれ目になります。
この記事の要点
- 1都の創業助成事業と制度融資は、都内ならどこでも同じ条件
- 2区市町村の支援は住所地で決まる。証明の有無がいちばん大きい
- 3証明で登録免許税が半額(株式会社7万5千円・合同会社3万円)
- 4自宅やバーチャルオフィスは、事業所の実態を認められないことがある
- 5本店の移転には登記が必要。会社設立の段階で比べておく
この記事の内容は、執筆時点で東京都や中小企業庁などの公表内容にあたって確認したものです。制度の取り扱いは区市町村と年度によって変わります。会社設立の場所を決める前に、必ず窓口でご確認ください。
出典:東京都中小企業制度融資(東京都産業労働局/2026-09-04 確認)
場所を決めかねている方へ
東京都の制度は都内どこでも同じなので、比べるべきは区市町村の層です。証明が取れるかどうかだけでも、数万円の差が出ます。候補となる区を二つか三つ挙げて、それぞれの産業振興の担当課に電話してみてください。三十分ほどで、証明の可否と独自の補助金の有無が分かります。決めてから知るより、決める前に聞いておいてください。
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