人材派遣会社の設立後にやること|3年後の更新から逆算する
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人材派遣の許可を取って事業を始めた方に向けた記事です。新規の許可は3年で切れます。会社設立から3年後を見据えて、いま何をしておくかを整理します。
許可が下りると一区切りついた気になります。ただ、3年後には更新があります。そこから逆算すると、いまやることが決まります。

新規の許可は3年で切れる

労働者派遣事業の新規許可の有効期間は3年です。更新後の許可の有効期間は5年となり、以後も同様とされています。
有効期間が満了した後も引き続き労働者派遣事業を行おうとする場合は、許可の有効期間の更新申請が必要です。
更新申請は、有効期間満了日の3か月前までにおこなう必要があるとされています。事前に十分な余裕をもって都道府県労働局へ相談するようにと案内されています。
つまり、会社設立から実質2年9か月ほどで次の準備が始まります。長いようで短い期間です。
更新の手続と要件は新規許可の際とほぼ同様ですが、提出書類を省略できるものがあるとされています。
会社設立から数えると、登記、許可の申請、審査、そして事業の開始。ここまでで半年ほど使っています。残りの2年半で、更新に必要な実績を積むことになります。
補助金の公募も年度で動くので、この3年のあいだに何度か機会が巡ってきます。会社設立の直後は許可の準備で手一杯でも、二年目からは支援を取りに行けます。
出典:派遣事業開始以後の手続等は(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
更新にも手数料がかかる

更新の申請書には、手数料として5万5千円に労働者派遣事業所数を乗じた額の収入印紙を貼付する必要があります。
新規のときの12万円より安くなりますが、事業所を増やしていればその分だけ増えます。会社設立の後に拠点を広げるなら、この負担も見込んでください。
補助金の対象にはなりません。事業をおこなうための条件であって、事業を伸ばす投資ではないからです。
3年に一度、そして以後は5年に一度の固定の費用として、資金計画に入れておいてください。
更新できないと事業が続けられません。優先順位のいちばん上に置く支出です。
会社設立のときに納めた許可の登録免許税9万円は、更新では不要とされています。かかるのは手数料の収入印紙です。金額の内訳が変わる点に注意してください。
出典:派遣事業開始以後の手続等は(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
資産の要件は、更新でも見られる

許可のときに満たした資産の要件は、更新のときにも見られます。基準資産額が2,000万円に事業所数を乗じた額以上であること、負債の総額の7分の1以上であること。
自己名義の現金・預金の額が1,500万円に事業所数を乗じた額以上であることも同じです。
会社設立の直後に用意した資金を使い切ってしまうと、3年後に更新できません。人材派遣の事業計画では、この水準を割らないことが前提になります。
基準資産額または現金・預金の額が増加する旨を申し立てるときは、公認会計士または監査法人による監査証明を受けた中間決算または月次決算による場合に限られます。更新申請では、合意された手続業務を実施した中間決算または月次決算でも可能とされています。
決算のたびに数字を確かめてください。気づいたときには足りない、という事態を避けられます。
補助金が入っても、それで資産の要件を満たすという考え方はしないでください。会社設立の直後に確保した水準を、事業の利益で維持していくのが本筋です。
人材派遣は、派遣労働者への賃金が先に出ていき、派遣先からの入金が後になる事業です。会社設立の直後に用意した現金・預金が、この立替えで目減りしていきます。売上が伸びているときほど資金が細るので、注意してください。
出典:許可基準(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
教育訓練の実施状況も確認される

更新申請の直前の有効期間内において、キャリア形成支援制度を有することについて許可の基準を満たす実施状況であったかが確認されます。
計画はあっても実施されておらず、指導しても是正されないような義務違反がみられた場合は、許可基準を満たしていないとして許可を更新しないこととなるとされています。
雇用安定措置についても同様です。更新申請の直前の有効期間内において許可基準を満たす実施状況であったかが確認され、それでも実施されないような義務違反が見られた場合、許可を更新しないこととなります。
人材派遣の会社設立の直後から、誰にいつ何時間の訓練をおこなったかを記録してください。3年後の材料になります。
記録は紙でもデータでも構いません。後から辿れる形になっていることが大事です。
教育訓練の内容は、支援の制度と結びつけられることがあります。会社設立の直後に労働局へ相談しておくと、記録の残し方まで教えてもらえます。
教育訓練の計画は、会社設立のときに作ったまま放置されがちです。派遣する職種が変われば、必要な訓練の中身も変わります。年に一度は見直して、実態に合わせてください。見直した記録そのものが、更新のときの説明になります。
出典:派遣事業開始以後の手続等は(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
変更があれば、そのつど届け出る

事業の開始後、変更が生じた場合は事業主管轄労働局へ届出が必要です。氏名または名称、住所、代表者の氏名、役員の氏名と住所、事業所の名称と所在地、派遣元責任者の氏名と住所などが対象です。
変更届出は事後10日以内、ただし派遣元責任者の氏名と住所は30日以内とされています。
事業所の新設や廃止も届出の対象です。会社設立の後に拠点を増やすなら、資産の要件も事業所の数だけ増えることを忘れないでください。
許可証は事業を行う事業所ごとに備え付け、関係者から請求があった場合は提示しなければなりません。
届出を怠ると、更新の審査で不利になります。担当を決めて管理してください。
会社設立のときに決めた本店を移す場合も、変更の届出が必要です。事業所の要件を満たす物件かどうかを、移る前に確かめてください。
出典:派遣事業開始以後の手続等は(労働者派遣事業 許可・更新等手続マニュアル)(厚生労働省/2026-09-05 確認)
事業を伸ばす投資には、補助金が効く

許可に関わる費用に補助金は届きません。ただ、事業を伸ばすための投資には使えます。人材派遣の会社設立から一年ほど経つと、その場面が出てきます。
業務の仕組みに投資するなら、デジタル化・AI導入補助金があります。旧IT導入補助金の名称で覚えている方も多い制度です。
人材派遣は、勤怠の管理や請求の処理、派遣先との契約の管理といった事務が積み上がる事業です。人数が増えるほど効いてきます。
申請は、登録されたIT導入支援事業者と共同でおこないます。協議に時間がかかるので、早めに声をかけてください。
事務用のパソコンを一台買うといった支出は対象外とされるのが一般的です。業務の仕組みとして入れる形でないと通りません。
会社設立から一期を終えると、決算という材料が手に入ります。補助金の計画も書きやすくなります。二年目は支援を取りに行く年だと考えてください。
会社設立から二年目、三年目と進むと、事務の量が人数に比例して増えます。人を増やして対応するか、仕組みで吸収するか。補助金が効くのは後者を選んだときです。
出典:デジタル化・AI導入補助金2026(旧 IT導入補助金)(中小機構/2026-09-03 確認)
人を増やす前に、支援を確かめる

人材派遣は人が増えるほど事務も増えます。社内のスタッフを雇う場面も出てきます。
厚生労働省は雇用関係助成金の一覧を公開しています。雇入れ関係、人材確保・処遇改善関係、人材開発関係といった分類で並んでいます。
補助金と違い、公募の期間がなく要件を満たしたときに申請するものが多くあります。その代わり事前の手続きが要ります。
会社設立から時間が経つほど、こうした確認が後回しになります。人を増やす予定が出たら、その時点で労働局に相談してください。
要件は年度で変わります。前に調べた内容をそのまま当てにしないでください。
会社設立の直後に整えた就業規則や賃金の規程が、ここで効いてきます。実態と合っていない規程のままだと、支援の審査でつまずきます。
労働局の窓口は、許可の担当と助成金の担当が分かれていることがあります。会社設立のときに許可の相談をした担当者に、助成金の窓口を紹介してもらうとつながりが早くなります。
出典:雇用関係助成金一覧(厚生労働省/2026-09-04 確認)
3年後から逆算して、いまやること

ここまでを、会社設立の後の年間の作業としてまとめます。
- 毎月|教育訓練の実施と記録。変更があれば届出
- 毎年|労働保険料の申告と納付。決算で資産の要件を確認
- 随時|人を増やす前に助成金の要件を確かめる
- 3年目の9か月目まで|許可の更新申請
補助金の準備もこの流れに入れてください。国の補助金の申請はJグランツという電子申請システムを使うものが増えていて、gBizIDプライムの取得には日数がかかります。
Q. 新規の許可は何年ですか。
A. 3年です。更新後は5年になります。
Q. 更新の申請はいつまでですか。
A. 有効期間満了日の3か月前までです。
Q. 更新の手数料はいくらですか。
A. 5万5千円×労働者派遣事業所数の収入印紙です。
Q. 資産が足りなくなったらどうなりますか。
A. 更新できないことがあります。決算のたびに確かめてください。
Q. 教育訓練をやっていないと更新できませんか。
A. 実施状況が確認され、義務違反が是正されない場合は更新しないこととなるとされています。
会社設立の直後にこの表を作り、担当者を決めておいてください。誰が何をいつまでにやるかが決まっていれば、3年後に慌てずに済みます。
出典:Jグランツ ネットで簡単!補助金申請(デジタル庁/2026-09-03 確認)
まとめ|許可を保つことが、事業を保つこと

人材派遣は、許可がなければ続けられない事業です。会社設立の後は、許可を保つことがそのまま事業を保つことになります。
この記事の要点
- 1新規の許可は3年、更新後は5年。更新申請は満了日の3か月前まで
- 2更新の手数料は5万5千円×事業所数
- 3資産の要件は更新でも見られる。使い切らない
- 4教育訓練と雇用安定措置の実施状況が確認される
- 5変更届出は事後10日以内、派遣元責任者の氏名と住所は30日以内
会社設立の登記は一度きりですが、許可は繰り返し更新するものです。事業を続けるかぎり、この作業からは離れられません。
詳しい手続きは、厚生労働省が公開している労働者派遣事業の許可・更新等手続マニュアルに載っています。会社設立の後も、手元に置いておいてください。
この記事は2026年9月時点で厚生労働省や中小機構の公表内容にあたって確認した内容です。要件や手数料は変わります。更新の前に、必ず最新のマニュアルと都道府県労働局でご確認ください。
出典:労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-(厚生労働省/2026-09-04 確認)
許可が下りたばかりの方へ
人材派遣の会社設立から許可の取得まで、半年ほどかかったはずです。ようやく始められる、という気持ちはよく分かります。ただ、3年はあっという間です。教育訓練の記録、資産の維持、変更の届出。どれも月に一度の作業にしてしまえば負担になりません。後からまとめてやろうとすると、間に合わなくなります。いま仕組みを作っておいてください。
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